
白湯を極める徹底解説
最近ではアーユルヴェーダを知らない人の間でも朝の白湯活が流行していますがアーユルヴェーダ的に見て
その白湯活は理にかなっていないと思う事があったので
白湯について徹底解説しようと思いました。
・この時期に白湯を始めると春が楽になる理由
・理にかなった白湯の作り方
・白湯に使う水はどんなものが安全か
・白湯が禁忌となる状態や状況
・朝活だけでなく夜活にも白湯が優れる場合
・白湯を飲む量
・白湯が甘く感じるのは大丈夫なのか
・白湯の飲み方 発展編
これら上記について詳しく解説します
・この時期に白湯を始めると春が楽になる理由
なぜ春は不調になりやすいのか
アーユルヴェーダーでは春は心身に溜まったカパ(アーマ(未消化、毒素や老廃物))が溶け出し、冬の間に消化に脂っこいもの、重い食べ物や冷たい飲み物を摂りすぎていたり、体を冷やす行動、運動不足、怠けた生活、太陽の日差しを避け暗い部屋で過ごしていたこと等で心身はカパドーシャが蓄積されていきます。
蓄積したドーシャが溢れ溶け出すため、精神的にはやる気、活力に欠け、鬱気味、眠気、だるさを感じます
体内では余分な水分が溜まり、それが溶け出し(粘液、毒素)鼻が詰まる、咳や痰が出る、アレルギーの症状で鼻炎や体中あちこちにかゆみがでる、肌がベタベタする、体に脂肪が溜まる、胃腸がすっきりしない、リュウマチの持病がある方は春先にさらに悪化しやすくなるなどの症状で春を過ごすことになります。
そうならないためにも冬の間の養生をすることが大切ですが、春を迎えるこの時期に、アーユルヴェーダーのセルフケアをして爽やかな春を過ごしたいものです。
白湯を飲むことで何を改善できるのか
適切な白湯を飲むことは心身のアーマを排出するアーユルヴェーダーの数ある中のひとつの智慧です。
配管にこびりついた粘着性の油を想像してください、人の身体の経路にも毒素や脂がこびりつき、経路を狭くしたり、詰まらせる、それを洗い流すのに役立つ白湯です。
アーマは心身の大小様々な経路(血管系、リンパ、呼吸器系、心臓血管系、その他)を詰まらせ大きな病気の発症の原因になります。
適切な白湯を飲むことで閉塞を防ぎ、閉塞を解消します。
・脂肪沈着を減らす
・経路の詰まりをとることで、あらゆる病気の予防をする
・膀胱を浄化する
・風邪を引きにくくする
・アレルギー疾患を緩和する
・呼吸器系を楽にする
・消化力を強くする
・眠気、だるさをとりさる
・微量の残留毒素を取り除く
順番としては朝一番、歯磨き、舌苔を取り除いた後、朝食を取る前、空腹時に白湯を飲みます。
・理にかなった白湯の作り方
小鍋やポットの用意
まず清潔な汚れのない小鍋やポットを用意してください。
白湯を作る際、煮詰めていくため汚れがあると焦げが混入しやすくなりますので必ず汚れが付着してないこと、すすぎの足りなかったために洗剤が落ちていないことがないように注意してください。
使用する水、安全な水とは
アーユルヴェーダーの古典の時代は水道水のない時代でしたので現代とは状況が異なります。
古典では水の品質として次のように書かれています。
水は清潔で、純粋で、匂いや味がなく、冷たく、喉の渇きを癒し、消化に良く、誰もが好む(フルディヤ)ものでなければなりません。
飲料水には 6 つの特徴ー清潔で、純粋で、満足感があり、健康的で、軽くて甘いものでなければなりません。
水には 4 つの効果があります。
喉の渇いた人にとっての「チャㇳラ」 - 影、傘
「日の出前の早朝に飲む水」- 甘露アムリタ
「空腹のときだけ水を飲む人」- 毒
「食事と一緒に水を飲むと、体が鉄のように非常に健康になる「ヴァジュル」 - 鉄
川から汲み上げ、土瓶に入れて昼は太陽に、夜は月に当てて澄んだ水は、蓮や松の花で味付けすると健康に良い
水道水には消毒剤として残留塩素や微量の不純物、トリハロメタンが含まれていることがあります。
ミネラルウォーターには硝酸態窒素を含むものもあります。
白湯を作る際に煮詰めていくことで、これらが濃縮される可能性があります。
白湯を作るには浄水器に通して不純物や残留塩素を除去した水を使用することをおすすめします。
また長時間放置した水ではなくなるべく新鮮な水がおすすめです。
推奨されない水
一晩置いておいた水は摂取しないことをお勧めします。
酸性になり、カパを悪化させます。
朝沸かしたお湯を夕方に飲んだり、夜に沸かしたお湯を朝に飲んだりすると、消化に負担がかかり重くなるのでお勧めできません。
これはカパの性質が増えてしまったからです。
適切な白湯の作り方
まず大切なこととして、これは薬草オイルを作る際にも同じことですが
蓋付きの鍋やポットなら、蓋は使いません。
蓋をするほうが早く白湯ができると思うかもしれませんが
アーユルヴェーダーではNGです。
一言で言うとアーユルヴェーダー的に蓋をすると消化に重くなるからです。
蓋をすることで3つのドーシャのバランスが崩れ、目的を果たすための良い白湯になりません。
アーユルヴェーダーの飯盒炊爨の話を聞いた方は思い出されたでしょうか。
ドーシャのバランスを説明する時にわかりやすく説明されてきました。
屋外で飯盒炊爨をする時、美味しいご飯を作るための条件は米の量に対し適切な大きさの容器(米と水と空きスペースが適切になる)、適度な強さの風が当たることで適度な火加減になり、適切な水の量が消化されて美味しいごはんができることを例にあげてドーシャのバランスを説明しています。
火をおこす風が弱すぎれば、火は消えますから、容器の中の米は生煮えで炊きあがりませんし、風が強すぎれば、火も強すぎて容器の中の米は煮える前に水分がなくなり焦げてしまいます。
アーユルヴェーダーでは水には生命エネルギーである「プラーナ」が含まれていると考えられています。
このプラーナは身体の生命活動を維持するために不可欠であり、水を通じて体内に取り込まれます。
蓋をして白湯を作ると水蒸気が逃げず鍋やポット内にこもります。
この状態では水の分子運動が活発になりすぎ、プラーナが失われてしまうと考えられています。
また水蒸気が水に戻る過程で水分子の構造が変化しプラーナが正しく伝わらなくなるという解釈もあります。
一方、蓋をせずに沸騰させると水蒸気が自然に蒸発し、水の分子運動が適度に保たれます。
これによりプラーナが失われにくく水本来のエネルギーが最大限に活かされると考えられています。
白湯を煮詰めると水分が蒸発し結果として白湯の濃度が濃くなります。
これは単に水分が減るだけでなく、白湯に含まれるエネルギーや性質が変化すると考えられています。
アーユルヴェーダーでは白湯には飯盒炊爨の例のように白湯を作る際にも空間、風、火、水の元素をバランスさせることをで良い白湯になると考えます。
白湯を作る際に蓋をしてしまうことで、
カパ(水)が重くなり、ドーシャのバランスが崩れた白湯になります。
白湯は消化促進のために飲むという目的があるので、カパドーシャが重い白湯になると、その目的とズレてしまいます。
薬草オイルを作る時の理論も同じです。
蓋をせずに沸騰させることで水中の不純物が蒸発しシュッド(サンスクリット語で清浄、純粋)な水になると言われています。
沸騰したら、少し火を弱めてゆっくり煮詰めていきます。
目で見た時、沸騰後の大きな泡がおさまり、発泡が減り、水が穏やかになり、澄んで透明になったら適切な白湯になったとみなされます。
ドーシャ別の白湯を煮詰める量
訂正しました。
1リットルの浄水でそれぞれ、煮詰めるとヴァータ750ml、ピッタ500ml、250mlとなります。500mlの場合は375ml、250ml,125mlとなります。
ヴァーター元の水の量が3/4程度まで煮詰める
3/4まで煮詰めることで温める力が最大限に引き出され、エネルギーが不足しやすいヴァータにエネルギーを補う適した白湯になります。
ヴァータのアンバランス、ヴァータ障害、神経障害を和らげる
冷えやすく乾燥しやすいヴァータには白湯の温める力、水の潤す力のバランスがよい白湯がおすすめです。
温かい白湯を飲んでください
ピッター元の水の量が1/2になるまで煮詰める
ピッタドーシャを調和させる
白湯の温める力と冷ます力のバランスがあとれた熱くなりやすいピッタに適した白湯です
ピッタ体質は冷まして飲んでください
カパー元の水の量が1/4になるまで煮詰める
消化が遅いカパには1/4まで煮詰めた白湯は消化力を高める白湯が適しています。
白湯を煮詰めていくと水分が蒸発し最終的にはミネラル(固形物)が残ります。アーユルヴェーダではカパのエレメント地・土は密集したものという意味も含んでいます。
消化には火のエレメントだけでなく水のエネルギーも必要ですので、1/4程度にすることで
アグニを増加させ、消化力を強化し、カパに適した白湯です
熱々をすするように飲んでください
出来上がった白湯は熱いまま、もしくはまだ温かいうちにゆっくり飲むと消化の火の増強し、内臓を浄化し、駆風剤として機能します。
・白湯が禁忌となる状態や状況
白湯はピッタをあげやすいため、ピッタが極度に悪化している場合、灼熱感めまい、せん妄、下痢、血液の悪化による病気などの時には禁忌です。
ピッタの症状がある場合は定期的に飲むことは推奨されません。
生理中でピッタが重くなっている時ー生理のプロセスはヴァータとピッタドーシャに関係しているため、熱い白湯はピッタを増加するため生理が重くなることがあります。
しかしピッタの問題がないピッタドーシャの場合、ドーシャ別の白湯を煮詰める量で、ぬるいまたは冷めた白湯を飲んでください。
・朝活だけでなく夜活に白湯が優れる場合
・夜寝る前に白湯を飲むことは舌苔を除去する方法のひとつです。
・脂っこい食べ物、ジャンクフード、ギーやオイルを摂取した日には白湯は胃腸の重さを改善し余分な脂肪を腸から洗浄してくれます。
・夜間に白湯を飲むことーこれは夜だけに限ったことではないのですがアーユルヴェーダーでは熱の発生源はアマーシャヤ(胃)であることから、病気の原因となる未熟なドーシャを成熟させるために発熱時に白湯を飲むことを勧めます。
それにより、ヴァータ(ガス、放屁)が下降し、アグニ(消化酵素)が活性化され、消化活動が促進されてカパを乾燥させることが目的です。
・熱いまたは温かい白湯を夜間に飲むことで消化能力が即座に高まり消化不良に対処します。
・白湯を飲む量と温度
白湯の摂取量は明確な推奨量はありませんが、一回につき150ml〜200mlが目安になります。
またドーシャや季節によっても考慮します。
ヴァータであるなら、乾燥しやすいため多めに飲む、ピッタであるなら、ぬるめで適度に、カパは特に消化力が弱いため、少量ずつこまめに飲みます。
50℃前後でカパは熱め、ピッタはぬるめ、ヴァータは程よい熱さのうちに飲みます。
夏であれば、ピッタならぬるいまたは冷めた白湯でも大丈夫です。
・白湯が甘く感じるのは大丈夫なのか
白湯を飲むとなぜ甘く感じるのか
白湯を飲むと冷たい水よりも舌の味蕾を刺激しやすく甘みを感じやすくなります。
また白湯は健康に良いというイメージがあり、その期待感でプラセボ効果により甘く感じることがあります。
水に含まれるミネラル成分が甘みとして感じられることがあります。
水のpH値が中性に近いほど甘みを感じやすいと言われています。
白湯を飲むことによるリラックス感で心が満たされ甘みを感じやすくなります。
白湯を飲んで甘く感じる時に注意する場合
白湯を飲んでほんのり、微かに甘みを感じる場合は心配なないのですが
白湯がそれよりもさらに甘く感じる場合は次のような可能性があります。
・味覚障害
亜鉛不足、神経の損傷、薬の副作用、ストレス過多により味覚障害がおき、本来は甘くないものでも甘く感じたりすることがあります。
・糖尿病
糖尿病になると血糖値が異常に高くなることがあり、高血糖が続くと味覚に変化があり甘みを強くかんじることがあります。
・唾液の変化
唾液の成分や分泌量の変化で味覚が変わることがあります。
・口腔内の状態
口内炎や歯周病の状態が味覚に影響を与えることがあります。
・白湯の飲み方 発展編
白湯と組み合わせるスパイスでさらに効果を
腹部膨満、ガスの悩みー
白湯150−200mlにクミンをひとつまみ
水の代わりに一日数回飲みます。
アレルギー、鼻炎、ストレス緩和、気分転換ー
生のミントリーフを手のひらでパンと叩いて白湯に入れます。
爽やかなミントの香りですっきりします。
風邪、咳、発熱、喘息ー
生のトゥルシーの葉4-5枚を1リットルの水で白湯を作るように30分ほど煮るか、ドライリーフを入れて白湯を作り、濾して一日数回飲む
消化不良ー
アグニを増やし、アーマを除去するトリカトゥを白湯にひとつまみ入れます。
トリカトゥは乾燥生姜、粒胡椒、長胡椒の3つの辛味スパイスミックスです。
消化の火を強くし毒素を排出するトリカトゥを白湯150-200mlにひとつまみ加えます。