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短編映画のような夢
そこは不思議な街だった。
ハリボテのようなチープなレンガ調の家が上から下へと並んでいる街。いくつかのエリアに分かれたその街は全て雑居ビルにあるような質素な階段で繋がっていた。
そこには都会にある最新式のビルがひとつだけ建っている。特別なエレベーターだってある。とにかく、立派なビルだ。
そこで僕たちは鬼ごっこをすることにした。参加者は街のみんな。街中を使った鬼ごっこだ。勿論、企画した僕たちも参加する。僕たちは最新のビルに入ったハリボテのようなスーパーマーケットでお菓子を買って鬼ごっこを楽しみに待った。参加者リストなんてものも用意した。
鬼ごっこが始まると僕たちも街のみんなも街中を逃げ回った。鬼はどこにいたよ、とかお互いに話しながら。
隣のエリアに鬼がいると聞いた時は、みんなで質素な階段を駆け上がる。たんたんと鳴る音なんて気にしないで、とにかく鬼から逃げた。
一回目の鬼ごっこはすぐにみんな捕まってしまった。
すぐに捕まってしまって面白くないから、二回目をやることにした。
二回目、僕はひとりで質素な階段を駆け上がった。階段を抜けるとすぐにレンガ調のハリボテ街にたどり着く。そこにはたくさんの人がいた。
ハリボテの街には月が浮かんでいた。空はクレヨンで描いた紫。月はダンボールで作った偽物だ。
僕は少しだけそこで息を整えて、また質素な階段を登った。
階段を登ると最新式のビルにたどり着いた。そこに着くと受付のお姉さんが僕を出迎えてくれた。
お姉さんは僕を特別なエレベーターに乗せてくれると言った。僕はドキドキしながらお姉さんに着いて言って、大きなビルの大きなエレベーターに乗る。鬼ごっこをしてる最中なのに……っていう罪悪感は少しだけ。
黄色い三角のランプが点灯して、エレベーターはぐんぐん上がっていく。
エレベーターが開くと、淡い光が差し込むエントランスに到着した。ドーム状のその部屋は天井がクラゲみたいな模様をしている。
外を見るとそこはハリボテの街じゃなくて、現代的なオフィス街で、僕はさっきまで自分がいたハリボテの街とのギャップに挟まれてくらくらと目眩がした。
以上、わたしが見た夢の話でした。
たまにこうやってストーリー仕立ての夢をみるのであんまり休めていないと思ったり。