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こんにちは!ツアーガイドのFujikoです✨
13年前に書いたスペイン留学ブログ「不惑のハポネサ」を、25回のシリーズで別バージョンでお届けします。映画業界で働いていた頃の体験をお楽しみください!


■捨てる神あれば・・・🌙

マドリードの夜道。
街灯が少なく薄暗い🌌
スーツケース2つを引きずり、肩を落としてトボトボと歩く🚶‍♀️

40歳を過ぎてこの様か...
高校、大学時代の留学でもこんな惨事(所持金は盗まれ、家主と喧嘩して家を出るなんて事態)は起きなかったと、自分の未熟さと準備の悪さを責め立てる
アルモドバルの映画に憧れていたからといって、スペインに来たのは間違いだったのか...

(こんな思いまでして、残り5か月間過ごせるのかなー?)
「帰国」の二文字が頭をよぎり、長年の夢に近づき得られたはずの高揚感を払いのける

近所の犬が私に向かって吠え立てた🐕
小心者の私は何にでもすぐにビクつくが、この時ばかりは驚きすぎて声も出なかった
そしてキョロキョロと不審者がいないか辺りを見渡す👀
誰もいないが、不安にかられ早足で大通りまでたどり着く🚶‍♀️💨
バルの明るい店内で楽しそうに飲んでいる老若男女の姿が見えた🍻

じっと見ていたらますます悲しくなってきた😢

タクシーを止める🚕
(ドライバーが変な人だったら嫌だな)と、不安で不安で、何もかもに疑心暗鬼になっている私

大荷物を抱えた私を見た初老のドライバーは、タクシーから降り、不自由な足を引きずりながらスーツケースをトランクに詰めてくれた🧳
レディとして扱われたことで、打ちひしがれていた心が少し軽くなった💓

知人のウリオルが予約してくれたオステルの近くにあるマドリード市の中心広場プエルタ・デル・ソルまで行ってくださいと伝え、若干気を良くしていた私は、日本から来た留学生であることをドライバーに話し始めた📖
人が恋しかったのか、まともな会話を求めていたのか、下手なスペイン語で自ら声をかけた自分に驚きながら、彼のタクシー歴などを尋ねてみた🚕

すると彼はタバコの吸い過ぎでつぶれたようなハスキー声で、40年にわたるタクシー人生をやさしく語って聞かせてくれた📜
スペイン生まれで、若い頃はイギリスやドイツなどヨーロッパ各国でタクシー業を営んでいたという🌍
そうするなかで奥さんと出会い、マドリードに戻ったそうだ
今は子供が2人いることも教えてくれた👨‍👩‍👦‍👦

「一番運転しやすい街はどこ?」

「それはもちろんマドリードさ
Esta ciudad es maravillosa!(この都市は最高だよ!)」✨

そう告げられた瞬間、タクシーのヘッドライトが観光名所の記念碑「プエルタ・デ・トレード」を照らし出した🏛
光り輝くそれは、まるで夢の国のメリーゴーランドのように見えた🎠

マドリード・メトロポリスビル

(「maravillosa=最高な」は、こんな景色を指して使うんだなー、女性形容詞なんだなー)などと冷静に文法を確認しつつ、この言葉が持つ真の意味を理解できたという満足感がこみ上げてきた😌

もしかしたら、意気消沈した自分を少しでも元気づけるために、もう一人の私が自作自演したのかもしれない
それでもよかった💪
氷のように固まりかけていた心が、穏やかに溶けていく気がした❄️💧

20分ほど、おじさんとの心和む会話を楽しんだ☺️

目的地に着いてタクシーから降りかかった時、「スリには気をつけて」と、おじさんは人差し指を目の下にあてた👀
日本でいうアッカンベーの、舌の「ベー」がないジェスチャーだ😛
これはスペインで「要注意」の意味
このジェスチャーもまた、その日の午前中に大学の授業でホアン先生から学んだばかりだった🧑‍🏫

「あー、ホアン、あなたの教えは、私のマドリード生活ですぐに実践できるモノばかりだよ!
Gracias! (ありがとう!)」💕


■何てステキなの!🌟

広場には木曜の夜にも関わらず、観光客や騒がしい若者たち、パントマイマー、労働集会、そして見回りの警官たちでぐちゃぐちゃになっていた👮‍♂️

プエルタ・デル・ソルで抗議中
プエルタ・デル・ソルにある銅像「熊といちごの木 Osa y Madroño 」

「プエルタ・デル・ソル」は、サッカーのワールドカップやヨーロッパカップでスペインが優勝した時に選手が訪れ、凱旋集会が開かれることで有名だ🏆⚽
そのほかにも政治集会やデモなどにも利用されている🌍
一方で、不法移民がスリのチャンスを狙い、酒やドラッグの違法な売買も横行している危険な場所でもある⚠️

そこから再びスーツケースを引きずり、ウリオルが予約してくれたホステルへ向かった🧳

マドリードは東京と違い、簡単に徒歩で移動できる🚶‍♀️
歌舞伎町のような風俗店とショッピング街、バルが軒を連ねる通りを抜け、チュエカ地区にある「Hostel Dolcevita」🏨
日本語で言うなら「ホテル 甘い生活」
フェデリコ・フェリーニ監督によるイタリア映画の名作『甘い生活』にちなんだのかな、と思う🎥

赤いネオンサイン🔴
ベルを鳴らし、滞在客であることを告げる🔔
ドアの鍵が自動で解除された🔑
えっちらおっちらと、5階にある受付へ向かった🏃‍♀️

なんとそこにはウリオルがいるではないか!👀

ようやく知り合いに会えた安堵感が沸き上がる😊
彼も私を見つけ、喜び、そしてすぐに謝罪の言葉を口にした

「パパから借りた携帯のバッテリーが切れて、連絡ができなくてごめんね
大丈夫だった?」📱

一瞬、「なんてタイミングの悪い人だろう」とイラッとしたが😤
私はチェックインすることも忘れて堰を切ったかのように狂女との戦いについて話し出した💬

「その人、頭がおかしいんじゃないか
ペドロ・アルモドバル映画に出てくる女みたいだ」🎬

アルモドバル監督作品には狂女の登場が付き物だが、そんな女性がその辺にもよくいるわけではないらしい🎥

ウリオルはこう続けた

「藤子、ごめんね
君の話をゆっくり聞いてあげたいけど、これからクラスメートと打ち上げがあるんだ
僕は明日、日本に帰るからね
良かったら君も来るかい?」🍷🎉

携帯電話の不通に続いて、またもやタイミングの悪さを感じる📱
疲労困憊した今の私に、これ以上スペイン語漬けの環境は毒だと思い、丁寧に断った🙅‍♀️
よって、ここでウリオルともお別れだ
若干の間の悪さはあったものの、彼の存在が私を勇気づけてくれたことには変わりない🤝

そんな私たちの会話の一部始終を黙って聞いていた男性スタッフがチェックインを促した📝
背が高く、ブロンドの短髪、清潔感のある容姿だ💇‍♂️
赤いパスポートを出して見せると、彼は

「Qué bonito! (なんて素敵なの!このパスポート)」と満面の笑顔で褒めてくれた😄
しかも、お姉口調で👩‍🦱

一瞬、彼の意外な言葉に驚いたが、心の氷がほぼ解けて潤いとなり、今度は心が温まっていくのを感じた💗
片言のスペイン語で話をすると、私の一言一言に彼が反応してくれる📢
ちょっと過剰気味に

「あなた、今日はお疲れのようね
だから静かなお部屋を用意したワ」🛏️

私とウリオルの会話を聞いていたのね👂
姉さんの気遣いにジーンときてしまった😭

部屋に入ると、赤、緑、黄色のど派手な3色でコーディネートされた内装にクラクラする🎨
なんだかここもアルモドバルっぽいなぁ😅
小さなスペースだけど、ベッドとソファ、机があり、私ひとりには十分だ💤

部屋が小さくても、外のネオンがゲイの方々の好みっぽくても、受付のお兄さんがゲイでも、このホステルを選んで良かったと心底思った👍
華やかで賑やかな色たちに包まれて、その日に起きたどんより暗い出来事を振り返りながら深い眠りについた🌙💤

それでも待望のスペイン留学の出鼻をくじかれたことには変わりない
そして、次の日の朝を迎える・・・

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