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ピソの家主と大バトル?
こんにちは!ツアーガイドのFujikoです✨
13年前に書いたスペイン留学ブログ「不惑のハポネサ」を、25回のシリーズで別バージョンでお届けします。映画業界で働いていた頃の体験をお楽しみください!
「眠れない...」😴💭
真っ暗な部屋の天井を見つめ、いつになったら眠りにつけるのか、翌日の授業を心配しながら安眠を願うのだった。
時差ボケは、時差がある国に行けば誰しもが直面するもの。私の場合、4〜5日は時差ボケを引きずる。それを軽減するため、飛行機に搭乗する24時間前は飲酒を控え、現地到着が夕方か夜になる便を選ぶようにしている。それでも旅の高揚感やお酒の誘惑に負けて、機内で飲んでしまうのだが...🍷✈️
今回のスペイン留学は、ビザの都合で大学が始まる1日前の入国となった。そのため、隣国フランスのパリで3日間過ごして、少しでも時差ボケを解消させる対策をしていた。それにもかかわらず、スペイン入りから10日経過しても時差ボケは続いていた🕰️😵
ホームシックなの⁉️🏡
2月から始まる正規授業に備えて、私は1ヶ月間のスペイン語語学研修を受けていた。そこで出会ったマドリード出身のホアン先生(男性)は、授業が始まる前に必ずこの常套句を生徒に投げかける。
「最近の出来事でシェアしたいことや質問はあるかい?なんならジョークでもいいよ」😊
するとアメリカ出身の女子留学生リッキーが、アメリカ人訛りのスペイン語でつぶやく。
「私、ホームシックみたい...」😔
ホアン先生の顔が急にシリアスになる。
「なぜだい?」🤔
リッキー:「最近、笑わなくなったの。いつもアメリカの家族のことを考えているし」👨👩👧👦
ホアン先生:「リッキー、ホームシックは辛いと思うが、君は人生の中ですごく貴重な体験をしているんだ。それを胸に秘めるんだよ」💪✨
そんな感じで会話は続いていたが、いつの間にか2人の姿は私の視界からフェードアウトしていった。そして、ふと思う。
(私はホームシックにかかっているのかしら?)
これまで経験したことのない不眠状態、これはホームシック? いやいや、ただの時差ボケだろう。でも、食欲がなくなってきているし、白髪も増えているような気が...😟💭
ホームシックが原因かは今も定かではないが、確かなことは、体が不調を訴えていたこと。2人の会話はそれに気づくきっかけになった。
この人、信用できる?🤨
スペインでは、大きめのピソ(アパート)を借りて3〜4人でシェアする人が多い。元締めになって家賃収入で生計を立てる人もいるくらいだ。日本でも、この住居スタイルは「シェアハウス」や「ソーシャルアパートメント」と呼ばれ、最近では若者を中心に人気があるようだ🏠👭
到着直後の滞在先は、44歳のスペイン人女性宅だった。私の身元引受人からその家を紹介されたのは、映画祭準備の仕事が多忙な時期だった。所在地をGoogleなどで検索し、しっかりと吟味することなく選んだ家だった。「見つかってラッキー!」程度の考えで決めてしまったのである。実はその判断が、予想もしなかった展開を招くことに……😱💥
私が不審に思い始めたのは滞在3日目からだ。実は、スペイン入りしたマドリード空港で1ヶ月分の生活費を盗まれてしまっていた💸そんなわけですぐに滞在費を払えないことを伝えた時の彼女の表情は、今でも鮮明に思い出すことができる。
盗難に気づいてすぐに奨学金を支給する団体には連絡を取っていた。緊急案件として送金の手続きをしてもらっていたので、家賃の支払いを待ってもらうのはせいぜい1週間程度。そのことをシンプルなスペイン語で伝えた。
ところが、「えっ?!」と彼女の表情と態度が一変。私の言葉がわからないの?心配しているの?それとも怒っているの?戸惑った😳実際、彼女はただただ怒っていたのだ。
異国の地で大金(私には)を盗まれ、意気消沈しているのに、「大変だったわね」の一言もない。むしろ、大いに腹を立てている😤言葉がわからないから彼女の表情や身振りから解読したが、非常に不愉快に思っていることは確かだった。その日から夕食を共にする度に家賃を催促される。日本では感じたことのない種類のストレスがこみ上げてきた😓
さらに悪いことが重なる。滞在先から大学まで、地下鉄を2つ乗り継いで往復3時間もかかるのだ🚇乗り物に酔いやすい私は、毎日ぐったりしていた。スペイン語に囲まれた新生活に、このダブルパンチは効いた。
眠れない、食べられない、気持ち悪い🤢体が痩せ細っていく感覚の中、精神的にも弱っている気がした。
そんな、生気を失いつつあった私に、知人がマドリードを訪れているという吉報が届く📩東京でスペイン語を教えてくれたウリオル先生が、スペイン語教授法を学ぶために私と同じ大学を訪れたのだ。私が通学していた大学はスペイン語教授法では有名で、設立者はスペイン語文法を体系化した偉人だ📚✨
信頼の助言💡
個人的な話もできる打ち解けた仲だったので、さっそく会いに行って現状について相談した。すると、先生はこう言った。
「契約書を交わしていないなら、そこを出るのは問題ないよ。ピソを変えるのはスペインではよくあることだ。大学の近くにすぐに引っ越した方がいい」🏡🚚
「そうなのか…」と安心すると同時に、「本当かな?」という疑問も残った🤔そこで、私の世話人にも同じことを尋ねてみた。
「(ウリオル先生の言う通り)問題ないよ」と世話人も言ってくれた。ほっと一安心😊
2人がそう言うなら善は急げ!その日の夕方、思い切って家主にピソを出る意志を伝えることにした。
案の定、彼女は鬼のような形相に😡「約束が違う!」といったようなスペイン語で怒鳴られた。互いに部屋に戻り、気まずい空気が漂う。その夜もまた、眠れなかった💤💭
私は中途半端な状況が一番嫌いだ😑なので、手紙を書くことにした。今の金銭的な事情や体調がすぐれないこと、そして感謝の気持ちも。そのことを書き並べ、翌朝そっとキッチンに残して学校へ向かった。
その日、大学のカフェテリアで再びウリオル先生に会い、昨夜の出来事を含めて相談した。
「君がその家にいたくないなら、すぐに出た方がいいよ。僕がいる安宿、紹介しようか?なんなら授業が終わったら、君のピソに行って、荷物を引き上げようか?」🧳
「うー、ありがとうウリオル(感涙)。でも、私もいい大人だし、荷物の運び出しは自分でできるから大丈夫。安宿の予約だけ手伝ってくれー」🙏
独立心旺盛な私は、彼の優しい申し出を断り、再び「戦場」へと戻るのでした💪✨