見出し画像

おすすめのケーブル

当たり前ですが、ケーブルで音は変わります。もし変わらないのならば、世の中のオーディオ用電線はいじっても意味がないから、すべて太さ1ミリ位のコードで統一されているはずです(実際、AMラジオと電気蓄音器しかなかった時代は、ケーブルで音は変わらなかったのでそんな感じです)。

ケーブルで音が変わる要因を少し難しく言うと、機材の入出力インピーダンスとケーブルの浮遊容量・インダクタンス・導体抵抗の影響で音楽信号波形が変化し、さらに再生音による振動(この要因が意外と大きい)や機材からの誘導結合・容量結合・逆起電力によって、再生音と相関のある雑音が歪みとなって加わる、その割合がケーブルごとに異なるからです。

まず、音が元より良くなるケーブルはありません。そしてケーブルは調味料と割り切ってしまえば、話は簡単。隠し味もあれば特濃ケチャップもあり、極甘極辛ソースも、普通の水もある訳です。

結論を言ってしまうと、「原材料や加工が良く、万人が好む味(音)のケーブルは、売れるので結果的にメーカーが大量生産し安価で提供される。」となります。謎理論で武装した原材料と、訳の分からない加工がほどこされた、変な味付けの高価なケーブルは、不味くて誰も見向きをしないから高価で売らざるを得ないのです。

・レコードプレイヤーの出力ケーブル
MMカートリッジの場合
ビクター CN-180G 

MCカートリッジの場合 
オーディオテクニカ AT564A/1.0
ベルデン 1503 
カナレ ラペリアマイク用2芯シールドケーブル 

・レコードプレイヤー「には」向かないケーブル
 ベルデン 8412 やカナレ 4E6は、浮遊容量が大きくローファイになります。8412や4E6はボーカルマイク用ローインピーダンスケーブルで、ハイインピーダンスで使うと8KHz以上がバッサリ落ちます。

ベルデン 88760は、アクセントのついた、ボーカル主体の禁欲的BGM風になります。88760など赤色テフロン使用のケーブルは消火設備用の消防指揮ケーブルなので、消防士の話す内容が冷静正確に伝わることのみに全振りしてます。

モガミ 2497は、ローインピーダンス・電力伝送では良いのですが、ハイインピーダンス・電圧伝送で使用するとノイズレベルが上がります。

特にSL1200シリーズで、「簡単にできる」というネットの情報を信じて、これらのケーブルに付け替えようとして失敗し、当店に修理を依頼される方々が年間数十人いらっしゃいます。SL1200のアーム出力基板のハンダ除去とハンダ付け、後処理は熟練者でも難易度が高い作業なので、廃物を再生した中国製百均ゴミハンダと、温度管理のできない激安ハンダごてを使う素人作業は本当に無謀ですし、たまたま上手くいっても、上記の通り音が悪くなるのでやらない方がマシです。

・アナログケーブル 
オーディオテクニカ AT564A
ベルデン 1503 または 8451 

・スピーカーケーブル 
ベルデン 8460 または 8470 
AWG18位、緩いツイストのビンテージ(ウエスタンやビクター等)

電流は水道管を流れる水とよく似ています。水道管の途中が急に太くなったり細くなったりすると、水の流れは滞ります。
直径2.5ミリ以上のぶっといスピーカーケーブルを使っても、市販のトランジスタアンプは直径1ミリ程度のリレー接点を通りますし、真空管アンプはトランスの巻線が細いので、そこがボトルネック過ぎてぶっとさも全く台無しで全く無駄です。

ビンテージスピーカーの音作りに多用されるベルデン 9497(497) は、低域高域が伸びません。9497はギターアンプ用ケーブルで、50Hz以下8KHz以上はバッサリ落ちます。

ウエスタンのケーブルは、劇場用と電話用の2種類あります。
エナメルなど細い単線は電話用で、音も全く有り難みがありません。しっかり勉強して、劇場用を購入するよう気をつけてください。

・電源ケーブル
電源ケーブルが決まらず、過度にのめり込むのは糞耳の証拠。
普通はハッベルのプラグとAWG18位のケーブルで充分です。

オーディオは趣味性が高いとはいえ、一般人より耳は悪いが文章だけは上手い評論家(髪の毛が耳に被っている連中は特に)が絶賛する、超高額で変な理論のケーブルを購入してしまうのは本当に馬鹿げていて、99.9999%銅やらロジウムやらクライオやらマイナスイオンやら特殊構造やらのケーブルを満足できずとっかえひっかえするより、99.99の金貨を数枚買ったほうがよっぽど充足感が高いので、冷静に考えたほうが良いと思います。

オーディオは、電磁気学と古典力学が支配するガチガチの物理学ですから、 自然科学のフリをした、謎物質や謎純度や謎加工などの化け学(錬金術)は通用しません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?