見出し画像

Cymbals「Mr.Noone Special」

はじめに

 本作は、土岐麻子、沖井礼二、矢野博康の3組で結成された「かわいくっていじわるな感じのバンド。ただしパンク」というコンセプトのいわゆるポスト渋谷系のバンド「Cymbals」が2000年9月21日(自分の生まれる1日前!!)に発売した2ndアルバムです。 
 アルバムとはいっても約30分という比較的収録時間が短いためEPのように聴ける上に、Intermissionが曲間に挿入されているなど、アルバム全体で一つの物語になっているような作りなので聴いていて楽しいです。

全曲レビュー

※:☆の数は自分の好みの程度 

1. Mr.Noone Special ☆☆☆☆☆

 本作の一曲目は、イントロからいきなりギターの轟音が鳴ります!轟音とはいっても子供が遊んでいるような可愛らしい雰囲気もあるのでバンドのコンセプトも頷けます。
 それに、この曲といったら縦横無尽に動きまくるベースです!!まるで、ベースが生きているかのように自由に動いているのが印象的です。
 "I'm Mr.Noone Special, Noone Special(私は何者でもない者なのです)"のフレーズもキャッチーで口ずさみたくなるほど楽しいです。
 ところで、Mr.Noone Specialって誰なんだろう…

2. Low cost,Low price&High return ☆☆☆☆☆+☆

 個人的な本作のベストトラックで、初聴時から衝撃を受けてそこからずっと好きな一曲。
 この曲は、ひたすらに転がり跳ねるピアノが疾走感があり、聴いてて気持ち良い。ジャズの要素が入った邦楽が好きな人は間違いなく気に入ると思います!
 歌詞も全て英語で、題名も相まって憎たらしいほどに小洒落た雰囲気です!笑

3. Intermission#1

 #1をアレンジした音源をバックにして、ナレーションのように語られる40秒ほどの小曲。
 こういう演出があるとアルバムを通して聴くのが楽しくなるので、個人的に結構好きです!

4. All You Need Is WORD ☆☆☆

 ミディアムテンポの優しい曲調で、ジャズ要素の入ったギターに癒される曲。雨の休日に部屋に篭りながら聴きたい感じです。
 題名は"All You Need Is Love"のオマージュ…?

5. Do You Believe In Magic? ☆☆☆☆

 前の曲とは一変して、かなり疾走感のある一曲。また、本作の中で数少ない日本語の歌詞の曲。
 サビの"Do You Believe Magic?"のフレーズがキャッチーで、#9のHighway Star,Speed Starと合わせて深夜のドライブで聴きたいです。

6. LIAR・SADIST・COWARD ☆☆☆☆

 小気味良いカッティングが印象的な一曲。ベースの動きも気持ちいいです!
 こういう曲をサラッとアルバムの中に忍ばせるところにバンドのセンスの良さを感じます!

7. Hey,Leader! ☆☆☆☆

 「さあ、ここで大事なお話です。バンドの誕生について話さなくてはいけませんでしたね。」というナレーションから始まるバンドの自伝的な一曲。
 バンドの結成の流れや、バンド名の裏話などを歌っており、歌詞カードを手に取りながら聴くと楽しいです!(歌詞は英語なので対訳があるのがありがたいです!)
 全体的に可愛らしい雰囲気の曲なんですが、ギターソロになると一気に歪んだ強烈なファズギターが暴れるようなギャップがたまりません!このバンドならではの魅力ですね…!
 バンド名候補の「スパゲッティ・チャーリー」にはあえて触れないです…笑(猛反対にあったのかわいそう)

8. Intermission#2

#3と同様に#1をアレンジした音源をバックにして、ナレーションのように語られる40秒ほどの小曲。次の曲への期待が高まります…!!

9.Highway Star,Speed Star ☆☆☆☆☆+☆

 個人的な本作のベストトラック②であり、Cymbalsの代表曲の一つ。
 冒頭のバスドラムやピアノから曲の終わりまでキラキラした疾走感があり、聴いてて物凄い高揚感があります!まさに自分が渋谷系に求めているものを体現化したような曲です!!
 #5のときにも言いましたが、夜の首都高でこの曲を聴きながら車を走らせたいです。万が一、テンションが上がりすぎて事故を起こしてしまった際には、パトカーのサイレンにハモらせて口笛を吹き鳴らしましょう!素直に然るべき対応を受けましょう。。
 こんなドライブに合いそうな曲を作っているにもかかわらず、バンドの3人の誰も免許を持っていないという…

10. River Deep,Mountain High ☆☆☆☆

 疾走感があり多幸感満載の#9の後に相応しいような少し落ち着いたミディアムテンポの一曲で、間奏のホーンやジャズギターの優しいサウンドも印象的です。
 クールダウンしつつも、暖かい幸せな空気が残っていてそのバランス加減が絶妙です。

11.

題名のないトラックで、ベースが印象的です。#3のときにも言いましたが、こういうトラックって箸休めになったり、次の曲への期待値が高まったりするので好きです。遊び心というかアルバムを作る楽しみのようなものも感じられます!

12. Mr.Noone Special (Reprise) ☆☆☆

 最後は、「さてそろそろ結論です」から始まる本作をまとめたような曲。
 楽曲としては、#1をアレンジしたものです。
 また、「今まで話してきたことをデジャブのように感じましたよね?」「私の話はあなたの(してきた/見てきた)ことの話じゃありませんか?」と歌われ、最終的に「I'm Mr. Noone Special, you too(私は何者でもない者です、あなたと同じく)」で締められます。
 最初の曲の Noone Specialの部分を最後にyou tooに変えて本作を締めるあたりにセンスを感じます…!
 さらに、歌詞カードの裏表紙に本作のテーマが示唆されているので是非自分の目で見てみて下さい!

最後に

 本作は、曲のクオリティも高い上に、アルバム全体にも色々な仕掛けがあったりして聴いてて非常に楽しい一枚です!
 Cymbalsは個人的に大好きなバンドなのですが、渋谷系の時代から少し遅れて登場したからなのか、楽曲のレベルのわりにあまり世間の知名度が高くない印象です。(全盛期をリアルタイムで生きていないので違ったらすいません…)
 そのため、大好きなアルバムをレビューしたいというのも勿論、ネットに記事を残すことで誰かが検索に引っかかり、一人でも多くの人に知ってもらいたいというかなりおこがましい気持ちからレビューしてみました。もし、たまたまこの記事を発見してここまで読んでくれた方がいたり、実際に聴いてくれた方がいたら本当に嬉しいです!
(もっと広く知られて評価されるべきアルバムだと思っているので…)

いいなと思ったら応援しよう!