見出し画像

ありがとうドライアイ【更年期というか緑内障】

スタート地点は人それぞれでも、誰しも起こる加齢現象に【老眼】がある。


私の場合、閉経した44才の時、一気に症状が現れて悪化した。
面白いくらいに時期ぴったり、月経が来なくなったあたりで生活に支障が出るレベルに達した。

もともと強い近視でメガネ生活なのだが、急速に遠くも近くも見えづらくなり、メガネを新調しても効果なし。

ああこれは老眼というやつ。すぐに思い当たる。

祖父母がメガネを外し、新聞や説明書を眉をしかめて見ていた仕草が瞼の裏に浮かぶ。

そうか、閉経したのだから、そんな年齢になったのかとしみじみ感慨深かった2年前のこと。

老化自体にはネガティブな印象のない私は、悲観的になるというよりも不便だなくらいの認識だった。

厄介だったのは老眼よりも、ひどいドライアイの症状が起きたこと。

とにかく涙が止まらない。ひりひりするし、目の奥が常に熱い。

何より困ったのが外出時の流涙。夏場はまだよかったのだが、寒くなるにつれ、ささいな風や気温差でぼろぼろ涙が出る。

コロナ禍真っ最中だったため、流れる涙が頬を伝い、マスクの中がえらいことになっていた。

マスクの鼻ワイヤー部分にティッシュを畳んで挟み、そこでブロックさせて対処していたが、すぐにびしょびしょになってしまうし、何よりずっと泣きながら歩いている訳だから非常に周囲の目が気になる。

年嵩の女が目を真っ赤にして、ぐすぐす鼻を鳴らし、涙を流して現れたのならば、何事かと思うだろう。当然である。目の周りはカピカピになって痛いし、市販の目薬ではもう駄目だと諦め、眼科を受診した。

コンタクトユーザーではないので、ゆうに10年近く受診していなかった眼科。かかりつけもないので、新しく出来た近くの眼科にふらりと訪れた。

まずは最初の検査(眼圧、視力)を受け、先生の問診へ。
症状を説明し、検査薬などを使って目の状態を確認していただく。

やはりひどいドライアイで目が傷ついていた。アレルギー性結膜運にもなっていて、これも悪化の原因になっていたらしい。

視力も下がっていた。
年齢的にも老眼でしょうかと質問したところ、先生はしばしドアップになっている私の眼球画像とPC画面を見つめ、「んー・・・」と唸っている。

見守っていると「眼底検査と視野検査受けたことあります?」と問われた。


ガンテイケンサ。シヤケンサ。


「ないです」
「ちょっとやってもいいですか」


てっきりドライアイと結膜炎で目薬が出て終了だと思っていたところに打診され、ざわりと心が揺れる。


「なにか悪いところがありそうなのでしょうか」
「ちょっと気になるところがあります。念の為受けてみませんか」


よくわからないものの、医師が必要だと判断しているのならば、それは従うほうが絶対によい。

私は一気に不安になりながら了承し、次の予約を取った。視野検査は時間がかかるので当日には受けられないのだ。

初診の日はドライアイ用と結膜炎用の目薬が処方され、1ヶ月後、改めて検査を受けた。

初めて受ける眼底検査と視野検査。

眼底検査は暗室で行われた。この検査自体は眼圧検査とさして変わらず、多少眩しかった程度。

パシュッと目に風があたる眼圧検査の光版(フラッシュ)のような感じ。

そして同じく初めての視野検査。


つらかった。


あくまで私の個人の感想ですが、これが相当きつかった。
かかる時間が長いのもさながら、姿勢体勢がつらい。

前かがみで画面を覗き込み、狭い視野の中に点滅する光を追う。
追うとは言っても眼球はなるべく固定し、瞬きもこらえ、丸い画面(視野)の中で小さく微かに点滅する光を感知し、光ったと思ったら手に握っているボタン(ナースコールみたいな)を押す。

作業自体は単純だが、とにかく長い。地味につらい。瞬きを控えようとすると目が乾き、どんどん目が霞むし痛くなる。必死でこなしたが、終了後ぐったりしてしまった。


ふたつの検査を受け、出た診断結果は【緑内障】だった。


はい、終わった。


と、その時は絶望したのをよくよく覚えている。


つたない知識で【緑内障】=【失明】だと思っていたからだ。

実際に失明の原因TOP3に入っている緑内障だが、失明するかもしれない可能性もそうだし、本人がどれだけ努力したとしても完治しない病気だというのが大ダメージだった。
(ちなみに失明原因に上がる理由としては、、自覚がギリギリまでないため未治療期間が長くなりがち、かつ治療自体を中断してしまう率が高く、悪化しやすいというものらしい)

緑内障は眼圧が上がり、視神経に障害が出て視野が欠けていく。
40才以上になると20人に1人がなると言われているようで、両目が欠けた視野をカバーしてしまうこともあり、長期間自覚症状がなく、気がついた時には進行してしまっているパターンが多いらしい。

実際私にもまったく自覚症状はなかった。しかも眼圧は16だったので一応正常範囲内だったのだ。

なのでたまたま今回ドライアイで受診し、先生の指摘がなければ、思いもつかなかっただろう。

そうなればもっとずっと悪化した状態で数年後、相当視野が欠けてからの発覚になったかもしれないと考えたら、ゾッとした。

緑内障は治らないが、現在は目薬を一日一回持続して使用していれば、ある程度進行を遅らせられる。

告知された当時は一ヶ月ほど落ち込んでいたが、次第にラッキーだったと思えるようになった。

ごく早期ではなかったものの、そこそこ早めに発覚した(少なくとも自覚がない程度)のは、とても幸運だろう。

老眼だけならば多分受診しなかった。メガネの度数を調整したり、市販の疲れ目用の目薬を使い、サプリを飲んだりしてやり過ごしていたに違いない。
ここまでドライアイが悪化してくれなければ、眼科には行かなかった自信がある。えらそうにいえるものではないけれど。


この話を更年期のひとつとして書いてみたのは、更年期症状の中に女性ホルモンの低下によりドライアイになることがよくある、と知ったからだった。
しみじみと女性ホルモンの仕事の有能さには頭が下がる。

当たり前にあった頃どれだけの恩恵を受けていたのか、なくなってから初めて知った。

たまたま閉経時期と重なっただけかもしれない。それでも無関係とは言えないんじゃないかなとも思う。

何でもかんでも更年期に紐づけるのはアレだが、同世代の方は一度眼科で調べてもらってもいいのかもしれない。そんな気持ちでつらつらと書いている。

余談だが、緑内障発覚から今日で2年が経った。
正確には私は【開放隅角緑内障】で【正常眼圧緑内障】である。日本人の大多数はこれらしい。

余談だが、強度近視の人や親が緑内障だと遺伝する確率もそこそこ高いようで、私もこれが当てはまる。

私の父はこれまた偶然にも、ほぼ同じ年齢の頃(45才)に緑内障になっている。私は父の体質を結構色濃く受け継いでいるようで、体格や顔立ちもよく似ていた。これも受け入れられた要素の1つかもしれない。遺伝だけはどうしようもない。
ご家族に緑内障の人がいたら、さらに強く検査を勧めたい。

使用している薬は、ミケルナという合剤点眼薬。
半年~一年に一回視野検査を受け、今のところ進行はしていない。


絶賛女性ホルモン枯渇中につき、ドライアイはなかなか良くならないものの、これもまた年を重ねていくライフステージの一環だと程よく諦め、一生付き合っていこうと思、


―――うけれど、視野検査だけは!これだけは!今後の改善を心の底から願っている。



いいなと思ったら応援しよう!