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コラム10:鰊の昆布巻きに“奇跡的に合った”赤ワイン
鰊という魚がいる。「塩焼きが一番」とか、「数の子が最高」などという声もあるが、わたしにとっては身欠きニシンが最上のものである。
塩焼きにするとヘリンボーン模様のいわれとなった小骨が多いし、身も水っぽい。数の子については、それほど好きではないので置いておく。わたしにとって魅力的とは言えない魚が、身欠きニシンになると一変する。水分は抜け、かすかな渋みも出て滋味あふれた食材となる。
京都のニシン蕎麦なる名品もあるが、炊合せや昆布巻が素晴らしい。昆布巻好き(少数派?)に言わせると、「昆布巻はニシン以外は考えられない」(わたしの意見です)とのことだ。鮭や鮪を巻く地域もあるが、身欠きニシンと比べると少し生臭いのだ。
数年間、料理名人の友人の処へ、泊りがけで正月に酒を飲みに行っていたことがある。その彼が毎年ニシンの昆布巻を作るのだ。その昆布巻は、時々思い出しては身悶えするほど食べたくなるものだ。市販の物のように甘ったるくはなく、酒に合うよう、昆布の旨味も感じられるよう、甘味は最小限に。
毎年それで酒盛りをしていたのだが、ある年に口を変えてみようとワインでやってみた。正月なので、友人秘蔵の25年寝かせた「シャトー・モンローズ」。 奇跡的に合った。
ボルドーでも海に近いサンテステフ地区の産であったことや、25年寝かせたことでヨード系の風味が出ていたことが、マリアージュに影響をあたえたか。
相性とは面白いものですね。