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ワインコラム28:臭いもの好きが好む3つのもの

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Ryoko☆Sakata


以前、或るバーで“臭い食べものが好き”という共通項で、同席した人と盛り上がったことがある。
彼は私よりひと回り年上の皮膚科の先生で、時々同士を集めては臭いものを持ち寄るパーティまで開いているらしい。
そんな話になったのは、アイラウイスキーの話がきっかけだった。私も彼もアイラウイスキーのファンと分かったのだ。

あのウイスキーは、嫌いな人はまったく受け付けない香りだが、好きな人には、あの診療室の消毒液のような香りがたまらないのである。
こんなことを書くと私がウイスキー通のように思われるが、アイラウイスキーが好きなだけで、他のウイスキーはあまり飲まないし詳しくもない。

後日、先生からお酒のお誘いをうけた。指定された新宿のホテルのバーに先生は待っていた。私が席に着くと、バーテンダーが奥へ2、3回往復して、6、7本のアイラウイスキーを二人の前に並べてみせた。
全て彼のボトルと聞いて驚いた。
ホテルのバーにボトルが有る人に会ったのは初めてだった。
彼はニコニコしながら私に尋ねた。
「さて、どれからいきますかねぇ・・・?」

2つめは、中華好きの人ならご存知かもしれないが「ハムユイ」という食材である。イシモチなどの魚を、塩漬けにして発酵させたものだ。
一般的には刻んで炒飯に入れるようだが、これに生姜の千切りをのせ、サラダオイルを少し垂らして蒸すと、格好のご飯のおかずになる。
これは広東人に教わった。

香港などでは店先に吊るされて売っているが、臭いが強烈なので日本人は敬遠しがちだ。しかし、熱を加えると魅力的な香りに変身する。
以前香港のレストランで、鶏肉とハムユイの土鍋炊き込みご飯(ボウジャイファン)に出くわした。
オコゲまで美味しかったことを覚えている。

3つめは、ブルゴーニュの“エポワス”というチーズである。いわゆる“ウォッシュチーズ”の仲間だ。塩水などで洗って熟成させるのでこの名がある。ウォッシュチーズは、強弱はあるがどれもユニークな風味(臭い)がある。
「美味礼賛」の著者ブリヤ・サヴァランが、「チーズの王様」と賞賛した品位あるチーズである。

ブルゴーニュワインとはとても相性が良い。美味しいブルゴーニュワインとエポワス、少しのバゲットがあれば何も要らない。
もしエポワスを出されたら、それからの“幸せな時間”を思いうっとりしてしまうだろう。


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