FF14日記②

FF14を始めてからしばらく経った。上限のレベルは80で、現在のレベルは40過ぎ。メインのクラスは「剣術士」で、今はクラスからジョブに格上げされて「ナイト」になった。どうして剣術士を選んだのかというと、ファイナルファンタジーの主人公が剣と盾を持っていなくてどうする、という先入観があったからだ。おれはファイナルファンタジーを4しかプレイしたことがないので、たぶんそのせいだろう。このときのおれはプレイヤーの役割が「タンク」「ヒーラー」「DPS(アタッカー)」に分かれており、剣術士が「タンク」に該当することなど知る由もなかった。タンクはダンジョンで先頭を走らねばならない。ボスの攻撃を一手に引き受けて耐えたり、味方が殴りやすい位置に誘導したりしなければならない。とてもオンラインゲーム初心者のやる役割ではない。どうして剣術士なんか……と泣きながらダンジョンを駆け回り、おれはなんとかレベルを上げていった。友人たちと一緒でなければとっくに放り出していただろうと思う。しかし長い。着々と冒険を進めていったが、いまだストーリーの区切りとしては半分どころか四分の一にも満たなかった。ストーリーは「新生エオルゼア」がレベル1-50、「蒼天のイシュガルド」が50-60、「紅蓮のリベレーター」が60-70、「漆黒のヴィランズ」が70-80、という区切りだ。だからまだ一番最初のストーリーも終わっていないことになる。さて、問題はここからだ。レベルとともにダンジョンの難易度が上がり始めたのだ。おれはタンクなのでダンジョンで複数体の敵の攻撃をすべて自分で受けるのだが、なんだか一撃一撃が重い。体力があっという間に減り、すぐ死んでしまうようになった。決してヒーラーが下手なわけではない。たしかにおれは下手だが、それだけでは説明できない気がする。では、どうして……?と頭を捻りながら挑んだダンジョン「ストーンヴィジル」で、すべての謎は解けた。おれと友人二人、そして友人の友人が手伝いに来てくれたのだが、その方が教えてくれたのだ。「それアタッカー用の装備だよ」と。なるほど。タンクはタンク用の、防御力に優れた装備を身につけなければならない。言われてみれば当たり前のことであった。一緒にプレイしていた友人たちは別のオンラインゲームの経験もあり、ゲームに対する経験値のようなものがおれよりはるかに蓄積されていた。まさかおれがそんな初歩的なところから躓いているとは思ってなかったに違いない。その後、タンク用装備を身につけたおれは全然死ななくなり、レベル50に到達し、無事「新生エオルゼア」をクリアすることができた。ここまでの冒険でおれが学んだことは、無知は罪になり得るということだ。シングルプレイとは違って、重要な知識が抜け落ちていると自分が躓くだけでなく他のプレイヤーに迷惑がかかる。それがオンラインゲームなのだ。それ以降、おれはそれを常に心に刻んでプレイしている。始めてから一年近く経った今もまだ、他人とパーティーを組むときの緊張感には慣れないままだ。

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