Momodora: 月下のレクイエム 感想
久々にSteamで新しいゲームを買った。
おれのパソコンはMacなんだけど、steamでMac対応のゲームってなかなか見当たらない。これまでに買えたのは
『Undertale』
『PRGツクールMV』
『Momodora: 月下のレクイエム』
の3つだけ。
こういうときはWindowsが羨ましい。
さて、買ったのはこちら。
綺麗なドット絵の2D横スクロール探索アクション。
メトロイドヴァニアと呼ばれるジャンルらしく(この単語は初めて聞いた)、有名どころだとそれこそメトロイド、ダークソウル、それから星のカービィ鏡の大迷宮なんかもこのジャンルに含まれるらしい。なるほど。
これ実はMomodoraシリーズ4作目らしく、ちょっと躊躇ったけどこれ前日譚だからこれからプレイしても問題ないとのこと。よかった。
さて、おれはアクションゲームへたくそマンを自称しているが、たぶん名実ともにそうだと思う。
さきほどやっとのことでクリアしたけど、たぶん死んだ回数は優に3桁を超えているはず(数えてない)。
しかも「4, 5時間ほどで1周できてしまう」などと書かれたレビューを尻目に、9時間かけてようやく1周できるという有様。不器用か。
2周目に突入する前に感想でも書いておくか……と思い立ったので、達成感とともにこの文章を書いている。鉄は熱いうちに打て。感想は読んだらすぐ書け。
軽いネタバレも含むから注意してください。
さて、キーボードで操作するアクションゲームというのは慣れるまでが難しい。コントローラがあればいいんだけど、持ってないし。
このゲームに関しても、
・十字キー 移動(左右、階段や薄い床では上下も含む)
・A ジャンプ(二段ジャンプ可能)
・S 近距離攻撃(楓の葉を振り回す。連打でコンボ攻撃になる)
・D 遠距離攻撃(弓矢。溜めると強力になる)
・W ローリング(回避用。空中でも使えるようになる)
・C 装備しているアイテムを使用
・E 装備アイテム切り替え
……と非常に多くのボタンを使うんだけど、もう混乱すること山の如し。
特にローリングは使いどころが難しく、転がっているあいだは無敵になるので上手に使って回避していかないといけないのに、「ローリングってどこだっけ」とボタンを探しているあいだに死ぬ。
とにかく死ぬ。
そう、このゲーム難易度がおかしい。
アクションゲームに関してはマリオとかスタフィー、カービィなどをやってきたけど、どれも子供向けなだけはあって非常に簡単だった。おれでもそこそこ簡単にクリアできた。
でもこれは違う。
気を抜くと死ぬ。気を抜いてないのに死ぬ。
おかしい。おれは難易度ノーマルで始めたはずだ。なんで一番最初の雑魚敵で死ぬんだ。最初のワドルディで死ぬカービィがどこにいる。貧弱にも程があるだろ。
体力が低いというか、敵の攻撃が強いのだ。一発でゲージがびっくりするほど減る。二、三回喰らったら当たり前のように死ぬ。しかも
・盾を持ってて正面からの攻撃が効かなかったり(ローリングで後ろに回り込んで倒すしかない。ローリング苦手だって言ってんだろ)
・画面の外からエネルギー弾とか槍とか飛ばしてきたり(飛んできてるのは音でわかるけど、どこから来るかまではわからん。きつい)
・何もないところから突然現れたり(ふざけんなマジで)
ありとあらゆる方法で殺しにかかってくる。
これが『死にゲー』というやつか。何回も死にながら敵配置とか攻撃パターンを覚えて、見極めて、攻略していく系のゲーム。初体験。なんかもう、爽快感さえ感じる。
カホの断末魔、もう何回聞いたことか……。
ああ、まだストーリーを書いてなかった。
主人公はカホという女の子。ルンという小さな村の司祭で、村に広がった呪いをどうにかするために呪いの発生源であるカルスト王国にやってきた。でも、王国はすでに呪いに覆われた死者の国になってしまっていた……。
言ってしまえばそれだけ。
あまり多くは語られないし、あとは出会うキャラクターの台詞とかアイテムの説明文からイメージを膨らませていく感じ。シンプルでありながら考察の余地も残してて素敵だと思う。
(ブラジル産のゲームなのに、プレイしててまったく違和感というかそういうものを感じない。国産のゲームやってる感覚。それどころか日本人っぽい名前も見かける。開発者の方が日本のゲームに影響受けてたりするんだろうか?)
さて、主人公カホは聖なる楓の葉っぱを振り回して攻撃するし、セーブポイントでは祈ったりするし、白いフード被った女の子だし、まあ司祭って感じがする。ただ一点、赤のニーハイを履いてることを除いては。
派手じゃない? 司祭って普通は全身ローブか何か着てるものじゃない? 太腿出してていいの?
いや、きっと司祭だっておしゃれしたいんだろう。そういうことにしとこう。それでいいです。かわいいし。
そう、全体的にドット絵がかわいらしい。主人公のみならず、敵も魔女とかインプとか、半分くらいはかわいい姿をしている(もう半分は血まみれの骸骨とか野犬とか。こっちは不気味)
何ならボスだってかわいい。免罪人フェネル、高位司祭クワイア、ここらへんはカホと同じサイズだし、両方かわいらしい女性だし。まあ攻撃は凶悪そのものだし、結局倒すんだけど。
ただし腐敗の魔女ルベラはかわいいというかなんというか……綺麗だけど肌が土気色というか死人の色をしてるんだよね。ちょっとね。たぶん腐ってるんだろうね、名前の通り。
背景も綺麗。森、街、地下墓地、庭園……各エリアごとに異なる背景や足場たちが、見ているだけで楽しい。足元の草は揺れるし、虫なんかも飛んでるし。作り込みが細かくて、ステージを走り回って背景を眺めるだけですでに感嘆の吐息が漏れる。
おれは最近の高画質3Dグラフィックゲームよりも、ちょっとレトロな感じのドット絵ゲームのほうが好きだったりする。その中でもこのゲームは特に好きかもしれない。
アイテム選びも楽しい。
広大なマップの中にはいろいろなアイテムが隠されていて、手に入れて装備すると使えるんだけど、弓矢の性能を上げたりするものから自分を毒状態にするものまで(どう使うねん)、とにかくいろいろある。
アクティブ(ボタンを押して使用)とパッシブ(装備してたら効果が発動)の二種類あって、パッシブのほうは2つしか装備できないから選定が難しい。
体力を犠牲にして攻撃力を上げる。弓矢に毒効果を付与する。いろいろあるから、場面ごとに装備を変更していく必要がある。それを考えて、試していく。楽しい。うまくハマって楽にボスを倒せたときなんかもう、うっひょーって感じ。
色鮮やかだけど、全体を通してはダークな雰囲気。
カホが原因を探りに来た呪いはどうやら王国の女王が原因らしく、カルスト王国にはとっくに呪いが蔓延してしまっている。死人だのモンスターだのがうろつく文字通りの「死者の国」だ。
そこを探索していく中で、死にかけのキャラクター、すでに死んでいるキャラクター、いろいろ出会う。わずかな会話から、王国がもうほとんど死に絶えていること、呪いの原因が女王であることなどがわかる。女王に謁見しようとしていたカホの目的は、女王を倒すことに変わる。
決して多くはない文章から世界観を漂わせるの、上手だなあと思う。このあたり、文字だけですべてを説明する小説とは真逆の技能というかなんというか。
ストーリー、グラフィック、音楽、すべて使って表現していくゲーム作りは小説にはない面白さがある。PRGツクールでやってみたことあるからわかる。小説とは段違いに手間がかかるけど、本当に面白い。
レビューには「やり込んだ人には物足りない」「メトロイドヴァニア初心者にはちょうどいい」と書かれていたけど、まさにその通りだと思う。頑張って工夫すればクリアできた。ちょうどよかった。
ボス戦とかすごく難しくて、初見で倒すのとかほぼ無理なんだけど、何回も負けて死んでカホの断末魔を聞きながら攻撃パターンを覚えていく。アイテムの組み合わせを試す。いろいろやってみながらだんだんダメージ与えられるようになって、とうとう倒せたときの達成感はすごく心地良かった。
ボスのサイズに関して。
主人公より大きいのが普通だし、そのほうがやりやすい。自分と同じサイズ、自分と同じ速さとかだとかなり難しく感じる。だから星のカービィでいうとメタナイトは苦手だった。
カービィ夢の泉では、メタナイト戦に突入すると強制的にソードカービィになる。ソードどうしで斬り合うんだけど、カービィは体力が6個しかない。つまり6回斬られたら死ぬ。なのに、こっちは10回以上バンバン斬らないと倒せない。ここが一番難しかった。ラスボスのナイトメアより死んだ回数は多いと思う。
そして今回、ボスの半分はこのメタナイトタイプだった。
同じサイズの敵から強い攻撃が飛んでくる。自分は2回ぐらい攻撃受けたら死ぬのに相手は何十回も殴らないと死なない。超ハンデありの格闘ゲームだ。
攻撃にはパターンがあるとはいえ、見切るまでがすごく難しかった(もちろんその過程が楽しかったんだけど)。
反射神経に自信がないので遠くからチクチクネチネチ弓矢で攻撃するスタイルなんだけど、弓矢って一発一発が軽いから、ボタンを連打する指が疲れてもまだ死なない。
近くに寄って攻撃すれば多少はダメージが通るけど、反撃が躱せなくて死にやすい。反撃一発で体力が半分以上持ってかれるのだ。冗談じゃない。
中には鎧か何かで弓矢が通らないボスまでいて、近づいて攻撃してカウンター喰らってあー……ってのを何度繰り返したことだろう。
いやあ、強かった。
これから2周目やっていこうと思う。
なんと各ボスをノーダメージで倒すと貴重なアイテムがもらえるらしく、これからガンガンやっていきたい。けど、正直無理な予感しかしない。
回復アイテム使ってギリギリだったボスをノーダメージで倒す。将棋で言うと、羽生さんと駒落ちそれも歩三兵で指して、ギリギリ勝ったとして、「じゃあ次は平手ね」って感じ。絶望。
やり込み要素として「一度も死なずにクリア」とか「雑魚敵を一匹も倒さずにクリア」とかいろいろあるけど、これらも常軌を逸した集中力とか経験とかそういうのがないと無理だと思います。はい。
おとなしくアイテムのコンプリートとかマップ全踏破とか、軽いのを目指していこうと思う。
総評。
久々に買ったゲームは大当たりでした。ただ、インディーズゲームだけあって、周囲の誰もプレイしたことがないし、誰も知らない。誰とも話せない。それが非常に悲しい。
興味が湧いたらプレイしてみてほしい。あれが難しかった、とか、あそこで何回も死んだ、とか話したい。誰か。お願いします。
そういうわけで『Momodora: 月下のレクイエム』をプレイした感想でした。
最近文章を書いてなかったからリハビリも兼ねてね。
文フリ戦利品の感想書く書く詐欺してるから、次の記事はそれになるかな。もしくは空アンソロの感想とか。書かないといけないって思うとやる気が指数関数的に減少するから、書きたいと思う必要がある。
書きたい書きたい書きたい……(自己暗示)
ではまた。
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