見上げた空は青かった
あれから どれくらいの月日が経ったのかは どうでもいい。
疲れているし、今の自分に意味はない。
あの時の記憶は 断片的だ。
ひたすら泣いた。
泣いて泣いて泣きながら眠り、目覚めて泣いた。
終いには嗚咽する声も出なくなった。
そして
感情が止まった。
真顔で目が覚めた。
ベットから起き上がり 向かったのは キッチンだった。
蛇口をひねった。
激しい勢いと 恐ろしい音で 水が一気に跳ね散った。
慌てて止めた。
今度は少しだけ開けて グラスに汲んだ。
粘性のある銀色の液体を 口に含んだ。
なんの味も なんの感動もなかった。
ただ重いものが喉を通過した。
一仕事終えたような疲れに襲われた。
しばらくすると 涙が出ていることに気づいた。
泣いている訳ではないのに、目から流れ出て止まらなくなった。
水分を補給すると こうなるのかと、
タオルで目を抑えながら感心した。
今はもう、真顔で勝手に涙が出てくることにも慣れた。
自分に折り合いをつけて それなりに毎日を生きている。
最後まで律儀だねと たまに笑う。
外界へのドアというドアを片っ端から閉じたこの空間は
信じられないほど居心地がよい
全てを放り出し、記憶すら薄くして生きている。