2ヶ月のフィンランド滞在を終えて。離れてみなければわからなかった日本の尊さ
こんにちは。エラマプロジェクト代表、フィンランド生涯教育研究家の石原侑美です。
2024年もあと少しとなりましたが、みなさんにとって今年1年はどのような年だったでしょうか。
わたしは今年も現地での研究、スタディツアー開催のため夏から秋にかけて2ヶ月間フィンランドに滞在しました。昨年と違い、今回は家族と一緒ではなく1人でその期間を過ごしました。
その間に、フィンランドの良さを感じつつも日本の良さ、すばらしさをあらためて実感することになりましたのでそれについて今回はお話したいと思います。
物価の高さはやはりつらい
日本も以前から物価がどんどん上がっている状況ですが、フィンランドも物価がかなり高いので滞在中の生活はやはり楽ではありません。
例えばランチ。フィンランドのランチはビュッフェランチが基本なので、安いところでも18ユーロ、3,000円(2024年11月12日現在のレート)くらいかかります。だから気軽に外に食べに行けないんです。
ファストフードやカフェに行けばもちろんもう少し安く済みますが、それでもそれなりの価格です。そのためやはり気軽には外食できません。
だからスーパーで食材を買って自分で調理して食事を摂ることがほとんどでした。イタリアのリゾット用のお米(ジャポニカ米)がフィンランドのスーパーで手に入ったのですが、それを鍋で炊くと日本のお米と同じように食べられたので、基本食はご飯を炊き、持参していたお味噌で味噌汁を作っていました。
他にはそのお米を使ってリゾットを作るなどして料理はそれなりに楽しんでやっていました。
ただ、日本ではわたしの場合、義母が食事の支度をしてくれることもあるので自分が作った料理をずっと食べ続けるということはあまりありません。なので、ちょっとしたお惣菜を買いたくなる日もあったんです。でも、お惣菜であっても「がんばって自分で料理するか」……という気になるくらいの値段なんです。
そんな物価の高さなので、フィンランドでは日本の生活でイメージするほどお腹いっぱい食べるということができませんでした。
講座などでお話したこともあるんですが、フィンランド人は1日5食食べるんです。日本のように定食並みのしっかりとしたご飯というよりは、ちょこちょこ食べる感じです。むしろそうしたほうがフィンランドの場合は経済的にもお腹的にもちょうどいいというわけなんです。
10月下旬に帰国しましたが、帰国後は食事の面で日本のありがたさをすごく感じました。食事が美味しいこと、自宅で収穫できる新鮮な野菜はもちろん、スーパーで買う場合でも国産の野菜がたくさんあることがとても幸せです。帰ってきて漬物をボリボリ食べたときどれほど幸せを感じたか(笑)。
JALと羽田空港にも感謝
帰国便はJALを利用したのですが、実はJALの機内食で泣いたんです。味噌汁の美味しさに(笑)。
あとは、JAL専用の亀田製菓おつまみミックスと日本茶でもかなり気分が上がってしまいました!
そして日本に到着したらまた別の驚きと発見がありました。羽田空港の国際線ターミナルにある「江戸小路」をご存じですか。
第3ターミナルの4階には江戸の町並みが再現されています。
外国人観光客向けのいかにもなおもてなしの風景を見ると、住み慣れている日本人からすると冷めた目で見てしまうこともあるかもしれません。しかしフィンランドで仕事をたくさんして2ヶ月ぶりに帰ってきたわたしは、「江戸小路」を見てすごく落ち着いた気持ちになり、安心感に包まれたのです。
奇をてらってやっていることにではなく、ここまで世界観を作って歓迎してくれているという心に感動しました。
到着後わざわざ4階まで行きましたし、そこでほっとして一息つきました。
見方が変わると違った角度で景色や良さに気づけるひとつの例かなと思います。
エネルギッシュさの違いは日照時間の差なのか?
日差しがあるというのも幸せポイントの大きな要素ですね。フィンランド滞在は8月〜10月にかけてだったので、9月〜10月になると日照時間が少なくなり曇りの日が多くなるんです。以前にもお話したことがあるんですが、太陽の光のあるなしは心身にどうしても影響が出ます。
フィンランドの人たちはそういった環境に工夫を凝らし日々生活しています。そしてフィンランドの良さと言えば、静寂だと思います。日本では味わえないくらい耳にとっての静かさもありますし、デザイン的にも広告が少ないため、目にもうるさくないというか、静寂を享受しやすい環境であるのがすごくいいんです。
一方で日本に帰ってきていいなと思ったのは、フィンランドとは逆のエネルギッシュさでした。心地いいなと思ってしまいました。日本の人と話しているとエネルギッシュだなと感じたんです。
フィンランドの人は落ち着きすぎているので「エネルギッシュ」とは言い難いんですね。なので、日本の人と話していると元気がもらえます。帰国してからの3週間くらいの間にその明るさも大きな魅力に思えました。
フィンランドと比べて太陽の出ている時間が長いからなのか、四季を感じてみんなが変化を楽しんでいるからなのか、日本(人)のエネルギッシュさに今さらながらに気づきました。
アジアの中ではまだ落ち着いているほうかもしれませんが、それでも日本に住んでいる人からはかなりの熱量を感じ取りましたよ。
感じ取ったことを形にしていきたい
ここまでわたしが日本や日本的なものを良い!と感じたのは、パートナーと離れて1人でフィンランドで過ごしたというのも大きいのかなと思っています。滞在期間中、お互い時間が合わずオンラインですら顔を合わせてコミュニケーションがとれない日が続いたこともありました。
ツアーを実施したことでそれなりに日本語を話したので、言語の面でストレスが溜まったことはありませんでした。ただ、家族と離れている期間が2ヶ月あったのはかなり久々だったので、孤独感に襲われる瞬間は多かったです。
大人になると時間の流れが速く感じるでしょう?でも今回、嫌なことがあったわけでもないのに2ヶ月間がとても長く感じたんです。
もちろんフィンランドの心地よさも感じてはいました。先述した静寂さのほかにも、わたしにとってフィンランドの人との距離感は心地いいものでした。離れて見守ってくれているあの感じがすごく好きなんです。自然もいちいち全部美しいし、人にも恵まれているのですごくいい環境なんです。
それでも家族ロスがひどく、本当にホームシックか!っていうぐらい、日本シックではなくて石原家シックみたいな感じで早く帰りたいって思うこともたびたび……。
そういう体験をしたので、帰国後、小さな幸せを一つ一つ噛みしめています。幸せに対する感度がとても高まっている感じがします。
いつも住んでいる場所から外へ、日本から海外へ出るからこそわかることがあるんですよね。わたしが住んでいる高山市でもずっと地元にいる人よりもUターンした人や移住者のほうが高山の良さを語れるとよく言われています。今回のわたしの体験もそういったことと近いのかなと思いました。しみじみと日本の良さを感じることになりました。
今後は、これまでエラマでやってきたことを含め、日本に帰ってきたときに感じたエネルギッシュさやものを大切にするときなどの精神性を海外の人にも発信することを考えています。そんな講座をたくさんご用意していますので、ぜひエラマプロジェクトのHP「エラマの学校」ページをチェックしてみてください。
また、エラマプロジェクトの情報はWebサイトやSNSでお知らせしていますので、こちらもぜひチェックしてみてくださいね!
By 石原侑美(エラマプロジェクト代表)
Interview & Text by nakagawa momo(フリーライター)