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フィンランドの「大和魂」を見た!映画「SISU/シス 不死身の男」が教えてくれる

こんにちは!エラマライターのひらみんです。
今回はいつもより興奮度高めの映画レビューです。

これまで、SISUをテーマにした本のブックレビューを2本書いてきました。

https://note.com/elamajp/n/n0be0c66659a5

https://note.com/elamajp/n/n1dbd6ab2e963

しかしここにきて、SISUをテーマにした映画がフィンランドからやってきました。
これは映画レビューを書かねば!ということで、上映初日に行ってきました。



映画『SISU/シス 不死身の男』公式サイト


実は私、好きな映画は007とダイハードで、死なないおじさんが大活躍するアクション映画が大好き。ハリウッドぽい、爆弾どかーん!マシンガンダダダー!炎メラメラ〜!ヘリコプターひゅーん!っていう映画を見ていると、日常生活ではありえない状況に笑っちゃって、なんだかスッキリするんです。

とはいえ、人が殺されるのは苦手、という方もおられると思います。この映画は、後半はほぼそんなシーンで、しかもけっこう残虐だし、痛そうなシーンもたくさんありますので、苦手な方は、やめといた方がいいかもしれません。ポスターをご覧の通り、フィンランドだからと言って、ほんわか幸せな映画ではございませんのでね。

死なないおじさんアアタミ

ストーリーは、映画のサイトにあるので、興味をお持ちいただけた方はそちらをご覧いただけるといいなと思いますが、ロシアとの戦争で家も家族も失ったアアタミが主人公です。ロシア兵から「不死身」とあだ名をつけられた伝説のフィンランド兵でしたが、今は軍隊を引退した状態で、金を掘っています。
第二次世界大戦終盤のドイツ兵に金を狙われて追いかけられ、フィンランドの大地を逃げるんですけど、さすがに殺されかけて金を強奪されます。けど、そこからさらにそいつらを追いかけて…というのが大まかな話です。

最初は、曇り空で高い木も山もなく、平地が広がり、大地の草が赤く映えるフィンランドの晩秋みたいな景色が綺麗です。馬と犬とともに生きる男の生活が描かれていて、ここから怒涛の殺し合いが行われるとは思えない牧歌的な雰囲気。

そこから、金を掘り当てて、ドイツ兵に追われます。

大事な馬は殺されて、金も取られて、犬も殺されそうになって、誰も味方はいない。挙げ句に街が焼き尽くされて、フィンランドの民たちが殺されていることに対して、アアタミはめちゃめちゃ怒って、容赦なくドイツ兵をバリエーション豊かに殺していきます。

しかしアアタミが本当に不死身なんです。死ななすぎて笑っちゃう。
銃で撃たれても銃弾を身体から無理やり出して、麻酔もなしで、傷跡を自分でホチキスするし、背中が燃えても池に飛び込んで逃げ延びるし、池の中でも酸素を得て、絞り首にあっても、身体を支えて生き延びます。
これでもかというほどやられても死なない。

SISUとはなにか

しかし、単なるアクション映画に収まらないこの映画では「SISUとはなにか」ということを説明してくれています。

映画の冒頭で、SISUについて「持っているものをすべて奪われて、最後に出てくるもの」と説明されていました。
また映画の中盤では、ドイツ兵に「彼は不死身なのか」と聞かれて、女性が「彼はあきらめない」と説明するシーンもあります。
ここにSISUの本質があったように思います。

SISUをwebで検索すると、強い意志とか反骨精神とかっていうのが出てきますし、SISUの本のブックレビューでもそういうことは思いました。しかし私は、映画の中でも言われているように、SISUとは「諦めない」なんじゃないかなと思い始めています。

この映画では極限状態ではあるものの、諦めないから、逆境にあっても立ち向かっていけるし、諦めないから、目標達成のための道筋を見出せるし、諦めないから、努力を継続できるんじゃないかなと思います。

「なにを諦めないのか」という「なにを」の部分は、その人や状況によって変わってくるから、翻訳できないのかなと感じました。
この映画では、「金を取り戻す」ということですが、私たちの生活の中だと、その人によって違うと思うんです。仕事の成功かもしれないし、健康に生きることかもしれないし、パートナーとの関係の維持かもしれません。

SISUがある人は周りを目覚めさせる

映画の中で、アアタミの存在が、捕らえられていた女性たちのSISUに火をつけたように感じました。ドイツ兵からアアタミの話が出てきたときに、彼女たちの目が変わったように見えたんですよね。

この映画を見て、SISUを持っているアアタミが物理的に強いことだけじゃなくて、強いSISUを持つ人は誰かのSISUを目覚めさせるイグナイターの役割をも果たすんじゃないか、という新しい視点が自分の中に生まれました。

映画のサイトに
観終えた後 己の心に”たぎるもの”、それが<SISU>だ!
とあるんですが、SISUは誰しもが持っているのに気づいていないだけで、それにアアタミが火をつけてくれるような気がするんです。映画の中の女性たちのように。
この映画を見て、しびれる人は、あなたの中にあるSISUをアアタミに目覚めさせられているんじゃないかなと思います。

これぞフィンランドを感じる映画

SISUとは言ってませんが、ダイハードでもジョンマクレーンはSISUを持ってたと思うんです。もうダメだ、と思った時にも「負けたくない・負けられない・負けるわけにいかない」と相手に向かっていく、そんな姿がかっこいいんじゃないかなと感じました。
この「負けない三段活用」がSISUを形作り、諦めずに戦おうとする姿に、私たちはグッとくるのではないでしょうか。ぴったりと翻訳できないからと言って、フィンランド人以外は持っていないということはないと思うんです。

フィンランドの映画って、これといった大事件も起きずに淡々と日常の話が進む、どことなくおしゃれな映画というイメージが強いと思うのですが、それらとは全然違う方向だけど、私はこの映画はとってもフィンランドらしい映画だと思います。

晩秋のフィンランドで、曇り空で色の少ない景色も楽しめるし、不死身のおじさんアアタミは典型的なフィンランド人のイメージで、むっつり無表情で、口数も少なく、薄幸そうな感じです。犬も馬もかわいい。
SISUについて考えるきっかけをくれる映画なんて、フィンランド以外で作り出せません。興味がわいた方はぜひ劇場へ!

映画『SISU/シス 不死身の男』公式サイト

Text by ひらみん(ふつうの会社員)

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