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【コラボハイク】 #3 ハーフムーン×大切な人

皆さま、こんにちは。俳句と戦国をこよなく愛するリモートワーカーのIshiada Reiko(俳号:佐久良花)です。今日もよろしくお願いします。

緊急事態宣言も解除され、日々の新規感染者数もかなり少なくなってきていますね。それでもまだ以前のように旅行を楽しんだり、多くの仲間とワイワイ食事を共にするのはまだまだ難しい。

そんな中、会いたい人に会えない、切ない想いをしている方も少なくないと思います。今回はそんな想いを月に託して句にしています。

俳句と月

句を紹介する前に、俳句における「月」の扱いについてお話させて頂こうと思います。

「月」は年中楽しめるものですが、俳句の世界で「月」と言うと秋の季語になります。それは月が最も美しく見えるのが秋だから。秋の今が月を詠むベストシーズンなのです!

(ちなみに、秋以外の季節の月を詠みたいと時には「春の月」「梅雨の月」「夏の月」「冬の月」などそれぞれに応じた季語を使います。)

「月」は季語ですが、子季語(傍題)は実にたくさんあります。

四日月、五日月、八日月、十日月、月更くる、月上る、遅月、月傾く、月落つ、月の秋、月の桂、桂男、月の兎玉兎、月の蛙、嫦娥、孀娥、月の鼠、月の都、月宮殿、月の鏡、月の顔、胸の月、心の月、真如の月、袖の月、朝月日、夕月日、月の出潮、月待ち、昼の月、薄月、月の蝕、月の暈、月の輪、月の出、月の入、月渡る、秋の月、月夜、月光、月明、月影、月下、上弦、下弦、弓張月、半月、有明月(出典:きごさい歳時記)

📘(きごさい歳時記)

更に月に関連する季語もありますので、月を詠む場合には実にたくさんの季語の選択肢があります。

📕秋の月の季語(季語とこよみ)

どの季語を使うか歳時記を眺めるだけでも楽しくなりますね♪

和歌と月

「月」を詠んだ俳句はたくさんありますが、和歌にも「月」はたくさん使われています。例えば、百人一首には月を詠んだ歌が12首あります。少しだけご紹介しましょう。

秋風にたなびく雲の絶え間より もれ出づる月の影のさやけさ 左京大夫顕輔

これは誰しもが共感できる光景ではないかと思います。

「秋風に吹かれてたなびく雲の切れ間から、もれ差している月の光のなんと清く澄み切って美しいことでしょう」

まさに先日娘と一緒に月を眺めていたら、秋風に吹かれた雲が邪魔をして月が隠れてしまっていました。「残念だね」と話していると、雲の切れ間から月の光が差し、思わず「あぁー」と声が出てしまいました。

月見ればちぢに物こそ悲しけれ わが身ひとつの秋にはあらねど 大江千里

「月を見ると、あれこれいろんなことが悲しくなってしまいます。秋は私ひとりに訪れた訳ではないのだけれど。」

これも誰もが共感できる歌ではないでしょうか。月はとっても綺麗なのだけど、少し肌寒さを感じようになった秋に月を眺めていると、何だか悲しくなってしまうことってありますよね。

有明のつれなく見えし別れより 暁ばかり憂きものはなし 壬生忠岑 

「明け方の月がそっけなく見えたあのつれない別れから、私にとっては夜明け前ほど辛いものはないのです。」

これは切ない歌ですね。月って自分の心の中を表しているのではないかと、私は思っています。とても元気で幸せな時は、月を素直に美しいと思える。反対に、落ち込んでいる時、悲しいときに月を見上げるまばゆく、美しいからゆえに悲しみが深くなる、そんな時もあります。美しき月だからこそ、誰もが眺め、自然に自分を見つめることができる。だからこそ古の時代から月が多く詠まれていると思います。

平安、鎌倉の歌聖と仰がれた藤原俊成、定家父子を祖先に持つ「和歌の家」である冷泉家。その25代当主夫人の冷泉貴実子さんが月についてお話された記事がありましたので、ぜひこちらもご覧下さいませ。

大切な人と月を見る

話を戻しますが、まだまだ自由に外出しづらい状況が続く中、会いたい人に会えずもどかしい思いをされていらっしゃる方もたくさんいらっしゃると思います。

そんなときにオススメなのが、大切な人と一緒に月を眺めることです。家族や友人、恋人など大切な人と一緒に月を見上げてみてください。そばにいる必要もないのです。月ならどこからでも見ることができるので。

先日はこんな面白い現象がありました。

もちろん、この日も家族や友人と一緒に月を楽しみました。14日は雲が多かったのですが、雲の切れ間から月が顔を見せることもあり、明るく光る土星と一緒に楽しむことができました。翌日15日は雲ひとつない夜空に、堂々と月と木星が二人寄り添って光っていましたよ💕

半月の美しさ

満月が好きな人は多いと思います。また、まるで折れてしまいそうな細い三日月も美しいですね。

そして半月。小さい頃から満月でもなく、三日月でもなく、半月だと何だか残念な気持ちになったものですが、最近はその半分だけ欠けている姿が愛おしく感じるようになりました。そんな中、詠んでみたのがこちらの一句。

半月の残り半分君と待つ 佐久良花

半月って見えているとこが半分なので、半月なのですが、時間が経てば満月になるもの。また、半分しかないことで満たされない思い、孤独な自分に重ねることもできます。

まだ半分しか見えない月を遠くにいる大切な人と眺めて、「月はまだ半分しか見えていないけれど、いつか満月になったら会いたいね。」とそう遠くない未来に想いを馳せるのはいかがでしょうか。

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