キノコに触って新しい人生がはじまる
私がこれまで手で触れたことのあるもののうち、最高だったのが北欧の森の墓地のキノコです。その弾力は、脳まで直結して伝わりました。脳が刺激を受ければ、世界の見え方も変わります。新しい人生です。
キノコといえば北欧
羽田から飛行機でスウェーデンへ
スウェーデンは秋で雨で寒かった。羽田空港までは半袖Tシャツだったのに。そういえば、その羽田空港までの道すがら新幹線のドクターイエローを目撃するという幸運がありました。
キノコ@アスプルンドの森の墓地
ストックホルムには、建築家アスプルンドの広大で繊細なインスタレーションがあります。それが森の墓地と呼ばれている場所です。世界遺産です。
墓地の正門を入ると遠くに十字架が見えます。早速のハイライト、道が十字架に向かって続き、そこを歩きます。足元の巨大な石の石畳と緩やかな丘が平衡感覚を狂わせ、日常との連続性が歪みます。日常から死者の世界へのワープのような時空間の歪みです。
ちなみに十字架の側に行くとその危うさを感じました。大きな十字架が倒れそうで近寄るのが怖かった。地震大国日本人ならではの感覚なのかもしれません。
十字架の先に進むと墓地が広がっています。途中の整列した人工的な秩序の林が、空気を整え、脳を整え、心を整えてくれました。
キノコを発見
墓石の側に生えたキノコを発見。毒ではない正統派のキノコを代表する形と色。白色が透き通るように美しい。
そして運命の瞬間です。私はその傘に指で触れました。まとわりつくような弾力とプニプニ、しっとり&もっちり、強く押したら柄が軋んだ。まさに生命の感触です。
人生最高の触感。
帰り道、それは天国へ?
墓地中央を走る真っ直ぐの小道、信じられないほど良く計算されてできています。道は適度に上下することで、人工的な要素が取り除かれています。垂直に伸びた高い木々に挟まれていることで、道はその先の空まで続いていきます。墓地からの帰り、視線は足元から道、道からその先の空へ。いつしか上を向いていました。視線の先が天国かもしれません。
このアスプルンドの演出、世界最高のインスタレーションです。この国は豊かだなと思わずにはいられません。
この道、仕事の帰りに通りたい。
帰国、そしてキノコ触感欠乏症
あの森の墓地でのキノコの感触が忘れられない。しっとり、もっちり。もう一度言います、しっとり、もっちり。指先の触覚がキノコを渇望しています。脳みそに染み付いた触覚はとても厄介です。拭いようがない。
キノコ触感を求めることで世界が変わった
キノコの触感を求めるうちに、触感への解像度が非常に高くなっていました。私はあらゆるものを触って脳みそにその触感を伝えたい。この際、もっちりしていなくても、硬くても、熱くても問題ではないらしい。とにかく脳に伝えたい。触覚という概念が私の日常世界に誕生しました。
あなたもぜひ理想のキノコ触感を探してみてください。道端で見つけたら、とにかく触れてみることをオススメします。