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モネを見に行き、地獄について考える
先日、国立西洋美術館で開催中の「モネ睡蓮のとき」を見てきました。
チケットを事前購入して平日の昼間に行ってきたのですが、まず美術館内に入るまでが大変な行列っぷり。さすがねモネ。
入館待ちの行列は、美術館の敷地のぐるりと庭園内に張り巡らされてのんびり進むので、いつになく庭の置き物を見る機会になりました。
美術館の玄関(たぶん臨時的な入館者が多いとき用の入口)を入る手前に鎮座しているのはオーギュスト・ロダンの「地獄の門」。もちろん大きいのですが、その先に地獄があることを思うとこぢんまりしている気もしてしまった。開口部を考えると特に。たぶん哺乳類霊長目ヒト科用の入口。
門の上には、かの有名な「考える人」。加えて200人以上の人物の像がはめ込まれているらしい。なるほど。人間がその縮尺だとすると、おおかたの地球上生命体はここをくぐることができそうだ。
となると、本物(人間1/1スケール)が存在しているのか。はたまた目の前の門は本物か贋物か。本物ならこんな雨ざらしになっているはずがないのでは、とは同行者の談。
国立西洋美術館のHPでは次のように載っています。
この大モニュメントは、しかし結局実際には使用されず、ロダンの生前にブロンズに鋳造されることもなかった。1920年代になって漸く鋳造が実現し、最近の鋳造を含め現在世界に七つのブロンズが存在する。
ふむ。続いて、こちらも「地獄の門」がある静岡県立美術館のHPより
ロダンの彫刻はいずれも12体しか鋳造できないようフランス政府によって決められています。
≪地獄の門≫の最初の作品は東京・上野の国立西洋美術館の庭に置かれ、6体目がこの静岡のロダン館の作品です。日本にはこの2体しかありません。
そもそも鋳型で造られているんですね。
ウィキペディア先生によると、鋳型を作るための基となる石膏原型はフランスのオルセー美術館にあるとのこと。
Youtube>オルセー美術館公式チャンネル に地獄の門(石膏原型)がいた。
LA PORTE DE L’ENFER DE RODIN - Chapitre 1 - Le projet muséographique - FR | Musée d’Orsay
オルセー美術館HP>New presentation of Rodin's Gates of Hell
こちらでも、plaster model=石膏模型(ChatGPT氏:訳)として載っています
結論
1.オルセー美術館に「地獄の門」の石膏模型がある
2.国立西洋美術館、静岡県立美術館に1の石膏模型から鋳造した「地獄の門」がある
3.オルセー美術館にある「地獄の門」と国立西洋美術館、静岡県立美術館にある「地獄の門」のサイズは同じ
行列の待ち時間のあいだには、この結論までたどり着かなかったのですが
美術館の中でも、モネのこれでもかというくらい同じ構図の同じ絵が並んでいて、そのおかげでやっと輪郭が見える絵もいくつか。
複製とは。本物とは。