生物多様性条約COP15 重要論点 / The Gardian
昨日、このnoteを始めるにあたって紹介したThe Gardian 8月30日付の生物多様性条約COP15についての記事。
以下の記事では、このThe Gardianの記事にどんなことが書いてあるかについて、紹介したいと思います。(翻訳ではなく超訳ですのであしからず)
記事ではまず、生物多様性条約(CBD)は気候変動防止枠組み条約(UNFCCC)と同時、1992年のリオ会議の時に決まった双子の環境条約であることが紹介されています。
今年2022年晩秋には気候変動条約のCOP27がエジプト・シャルム=エル=シェイク*1 で開かれます。そして、生物多様性条約COP15もCOP27と日にちを隔てることなく開かれることになっています。
記事では、ウクライナ戦争やエネルギー危機、またこの二つのCOPと同時期に開催予定のサッカーワールドカップなどもあり、これら環境条約に対する関心が盛り上がらないことも懸念されています。が、少なくともCOP15に関しては、Global Biodiversity Framework(GBF)と呼ばれ、今後10年間(2030年まで)の活動目標の合意がなされる必要があります。
なお、この記事では、2010年に日本で採択されたこれまでの愛知目標について「失敗 failure」という言葉を使って、厳しい評価をしています。
さて、現在の地球は、予測される大量絶滅、熱帯雨林の減少、パンデミック、干ばつや熱波の増加、海の急速な枯渇といった深刻な危機に直面しています。また、それらを防ぐための行動計画の実現も遅れています。
GBF(Global Biodiversity Framework)と呼ばれるこの目標案では、今後10 年間、各国ごとまた全体が何をするべきか整理し、同時に、2050年までの長期目標である「自然と調和して生きるLiving in harmony with nature」の実現を目指しています。
目標案では、保護地域を拡大し、生物多様性の損失を促すような補助金を段階的に廃止し、汚染を減らすという方針が掲げられています。
記事によるとこれらの目標案は、おおむね合意に至るとみられていますが、いくつか、議論の的となるだろう論点も指摘されています。
例えば、遺伝資源の取り扱い、農薬の使用制限、途上国への資金提供などが指摘されています。同時に、この記事が指摘するもっともデリケートな論点は「30×30(thirty by thirty)」と呼ばれる保護地域の設定に関するものです。
これは、現在設定されている保護区(陸域17%、海域8%)を大幅に超えて地球全体の30%を2030年までに保護区として認めようという野心的な提案です。
「30×30」は、西側の自然保護団体、野生保護団体などが強く目指してきたもので、科学者も生態系の回復には大きな意義があるとみなしています。
ではなぜこの「30×30」がデリケートな論点とされているのか。
保護地域が設定されるという事は、同時に植民地主義から続く政府による暴力、搾取といった長い歴史も喚起され、警戒されているのです。
保護区が設定されることで、もともとその地域で自然と共生する生活をしていた先住民族など地元の人々の土地をめぐる所有権や、信仰の聖地、墓地などといった、祖先から引き継いできた文化的、精神的に大切な土地に自由にアクセスできなくなるのではないか、という恐れもあるのです。一説によると、3億人の土地が収奪され、立ち退きさせられる恐れもあるという指摘もされています。
「30 x 30」をめぐるこうした議論は、二極化しつつある人権と野生生物保護をどう整理し、行動に移していくかといった点からも、理解することができるかもしれません。現在、自然環境を長年の知恵によって守り共生してきた地域の人々や先住民族こそが、保全の重要な担い手であるという認識も高まりつつあるからです。
COP15はこれから行われるので、まだ、GBFは合意も採択もされていませんが、12月のCOPでは、これからの人間がどのように自然を守っていくのか、重要な議論がなされる会議であることは、間違いありませんね。
*1 エジプト、シャルム=エル=シェイクは2018年の生物多様性条約COP14での開催地となったシナイ半島、紅海に面したリゾート地です。
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