”アーリースクランブラー”HONDA CL250
早すぎた、というのも変かもしれません。CL250は「オフロードバイク」というジャンルの確立する以前の、本当の意味での「スクランブラー」ですから……。
最近のバイク業界は「ネオクラシック」が一種のブームとなっています。
この風潮はYAMAHAからXSRが発表された2015年ごろから、外見はクラシックでもエンジン・電子制御は最新式、けれど基本的なオートバイという概念からは逸脱しない「ヘリテイジ」なモデルとして盛り上がってきました。その後kawasakiからはZ900RS、HONDAからはCB1000R、C110など、一通りのメーカーからネオクラシックなモデルが出そろっています。
(SUZUKIは少し出遅れの感がありますが……)
そんなネオクラシックの流れの中で無視できないのが、2016年発売のDUCATI スクランブラーです。これは大型スポーツ偏重というイメージだったDUCATIのラインナップの中で、400ccのカウルレスなエントリーモデルとして爆発的に人気が出ています。特徴は簡単に言えば、「軽く」「取り回しがよく」「パキパキのオンロードバイクではない」ということ。
とはいえ、そんなスクランブラーモデルは日本メーカーにとっては、すでに通った道でした。ここで本題であるCL250の話題に戻ります。
CL250はHONDAがCBシリーズで成功しているさなかの、1968年に発売された「オフロードバイク」です。ところがこの時代には、まだ「オフロードバイク」がどういったものなのか、誰も正解を知りませんでした。そもそもこの年は東名高速が初めて開通した年でもあります。郊外にはたくさんの未舗装道路があり、完全なオンロードモデルは立ち往生の危険が常にありました。
そんな中でオンロードモデルに小改造を施し、未舗装路を走ろう! というコンセプトが出てくるのは自然なことです。これに対するHONDAの回答は、オンロードのCBにアップマフラーを搭載し、アップハンドル化したSLシリーズの投入でした。そしてSLシリーズの後継機としてデビューしたのが、表題のCL250なのでした。