腎臓の働き

「腎は尿を作る臓器」だろうか?間違ってはいないが不正確だ。

「腎は老廃物や薬物などの不要なものを排泄し、身体にとって必要な栄養素はできる限り再吸収して、体液の恒常性を保つ臓器」が正解としたいと思う。

「不要なもの、余剰なもののみの含まれた尿を作るという手段」によって「体液の恒常性を厳密に保つ」目的のために働いている臓器が腎臓といえる。

150Lの原尿から1.5Lの尿を作るため、通常の水・Naの再吸収率は99%だけど濾過・再吸収という2段階の仕事をしているため再吸収率を1%から2%にするだけで1.5Lの尿を3Lにすることができるし、0.5%にすることで750mLにすることができる。


だから腎機能の良い人はビールを大ジョッキ2杯(1.5L)飲んでも浮腫にならないし、水がなくても脱水で即死することはないが、これは健康な腎臓を持っているおかげなのだ。これは最初の原尿産生量が150Lという大量だから、余裕にできる芸当なのだ。もしも健康な人の原尿産生量、つまりGFRが150L/日から100L/日に減少するだけで、GFRは69mL/minと計算される。ということは少し悪化しただけで60mL/min未満になればCKDになってしまう。

すなわち、150L/日(GFR100mL/min)という十分な余力がないと、速やかにCKD(慢性腎臓病)になり、ヒトの死亡率トップはがんや心臓病ではなく、猫のように腎不全がトップの死因になってしまうかもしれない。だから1.5Lの尿を作るのに150Lの原尿を濾過していることは全く無駄な仕事ではないのだ。

慢性腎不全

腎臓は“体液の恒常性(Homeostasis)維持”を司る臓器

水・塩分・電解質などの摂取量(in)は毎日、大きく変動しうるが、腎臓が尿の組成を変化させることによって(out)、体液量,体液の組成をほぼ一定で、狭い正常範囲に調節されている。
 ① 老廃物・薬物の排泄
 ② 体内水分を一定に保つ
 ③ 体液電解質濃度を正常に保つ
 ④ 血液のpHを7.4に保つ(酸塩基平衡の調節)
これらに加えて以下の3つのホルモン作用も腎臓が関わっているので、覚えておこう。
 ⑤ 尿細管間質における造血ホルモン(エリスロポエチン)の産生 
 ⑥ ビタミンDの活性化
 ⑦レニン分泌(血圧を調節し、体内の体液バランスを維持する)

以上、平田薬剤師塾より

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