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「いい料理はいいキッチンから」コペンハーゲンの居酒屋で活躍する料理人の挑戦【現地料理人インタビューVol.4 木村元太郎さん】

この記事では、コペンハーゲンの居酒屋「Jah Izakaya」で料理長として活躍する木村元太郎さんの挑戦のストーリーをお届けします。木村さんが異国の地でキャリアをスタートする際に直面した不安や困難をどのように乗り越えたのか、深く掘り下げていきます。また、木村さんが料理長としてチームで働く際に心がけていることや、海外での仕事を考えている方々への貴重なアドバイスもご紹介します!

木村元太郎さん
18歳で料理学校を卒業後、東京で中華やアメリカン料理のお店で修行を積み、28歳でワーキングホリデビザでデンマークに渡る。コペンハーゲンの和食フレンチレストランを経て、「Jah Izakaya」に出会い、現在に至る。現在は料理長として活躍中。



移住当時に抱えた不安とそれを支えたモチベーション

近年、記録的な円安や賃金の停滞などの問題を背景に、海外で働くことを現実的な選択肢と考える人が増えています。しかし、異国で働くということは、文化やルールが異なる社会で一から生活基盤を築かなければならず、当然ながら生活のストレスが発生することが多いです。木村元太郎さんも例外ではなく、移住当初はさまざまな不安やストレスを感じていたといいます。

Jah Izakayaの外観

-Jah Izakayaで働き始めた時、不安はありましたか?
移住に関しては当時パートナーと話し合って決めたことで、自分自身は特に強い海外思考があったわけではなかったので、初めの半年から一年は不安やストレスを感じました。「ここで本当に生活していくんだな」という実感とともに「大丈夫かな」という不安はありましたね。住む場所が決まり、徐々に仕事が安定してくると精神的にも落ち着きました。

-言葉は苦労しましたか?
デンマークではほとんどの人が英語を話すんですが、私はデンマーク語はもちろん英会話もできない状態で来ました。言語の違いこそありましたが、料理という共通の言語があったので、何とか乗り越えることができました。料理の世界では、言葉の壁を越えて意思疎通ができるので、困難を感じることは少なかったです。

-当時抱いていた不安な気持ちをサポートしてくれたものはありましたか?
会社のサポートは大きかったです。ビザの手続きをスムーズにやってくれて、住居探しも手伝ってくれたので、生活基盤ができると安心できました。その上でパートナーと生活していくために頑張ろうっていう思いがあったし、何よりプライベートを重視する働き方が自分にあっていたので、日本に帰りたいと思うことはなかったです。

チームの雰囲気が店を作る

前回の記事で触れたように、デンマークでは静かに料理を楽しむ方が多いそうですが、Jah Izakayaでは大きな笑い声が聞こえ、まさに日本の居酒屋のようにお客さんそれぞれが思い思いに料理を楽しんでいる様子が伺えました。そこで、お客さんによりより良い体験を届けるために重視しているポイントについて聞きました。

-お客さんのいい反応を得るために取り組んだことはありますか?
こっちの人たちにとってあまり親しみがない食材は見せ方や切り方を変えたり、いろんな工夫をしてますが、一番大切なのはキッチンの雰囲気ですね。
僕が思うに、働く人たちがストレスを感じていると、絶対にお客さんにも伝わってしまうと思っているので、まず一緒に働いている人たちとの環境づくりを通してキッチンの雰囲気を良くすることを優先しています。

-職場環境作りは日本にいる時から重要視していることですか?
いえ、日本ではそういうことを考える時間もなかったし、ただ料理を作ることに専念していました。今とは立場が違うということもありますが、先輩の言うことを忠実にやるだけって言う感じでしたね。


スタッフパーティーの様子


-雰囲気を良くするために具体的にどんなことをしていますか?
キッチンで音楽を聴いたり、スタッフの賄いを時々豪華にしたり、デザートを作ってみたりしています。仕事外ではみんなでカフェやレストランに行ったりイベントを催したりしています。僕はあまりコミュニケーションが得意な方ではないので、みんなに助けてもらって今もすごくいい雰囲気が作れていると思います。そういった取り組みの中で、お客さんの大きな笑い声がキッチンまで聞こえると安心できて、楽しんでもらえてよかったなと思います。チームの雰囲気ははっきり言って、料理よりも大事だなと思うぐらい、重要な部分ですね。

アドバイスと求められる資質

木村さんの経験を踏まえ、海外で働くために求められる資質やスキルについて、以下のような考え方をお聞きしました。

-木村さんが働く環境において、求められる資質やスキルはなんだと思いますか?
どうしても日本の環境とは温度差があるので、全スタッフの意識が高い高級店でない限り、「なんで周りはちゃんと仕事しないんだ」っていう苛立ちや葛藤が大きくなってしまうかなと思います。例えば、食材の選択や調理方法においても、和食に慣れていると馴染みのない食材に対して抵抗を感じることがあるかもしれません。だけど当然ここはデンマークであり、あるものでいかに美味しくするかが僕らの仕事でもあるので、そのようなアプローチを楽しめる人はすごくあっていると思います。

-新たに料理人がチームに加わる場合、木村さんはどのような姿勢やアプローチで一緒に仕事をしていきたいと考えていますか?
一番は楽しく仕事することですね。仕事は仕事できちんとして、それ以外は力を抜いて、メリハリをつけた仕事を一緒にしたい。
正直日本の飲食店で修行されてきた方だったら、何も心配要りません。逆に真面目すぎるから、もっと気を抜いて大丈夫ですよということを言ったりします。むしろ少し肩の力を下ろして仕事する方が、ここでは大事なのかなと思います。その方がお客さんを楽しませることができるのかなって個人的には思っています。美味しい料理の提供だけじゃなくて、その場の楽しい雰囲気作りや自分の時間を大事にしたいという人は向いていると思います。


木村さんの経験から学べることは、柔軟性と楽しむ姿勢が海外での成功には不可欠であり、支え合いながら良い環境を作ることが非常に重要だということです。そして移住の過渡期には、支えとなる要素があれば徐々に不安を解消し、生活を安定させることができることがわかりました。
「越境料理人」では転職相談から渡航前の準備、さらに就労後の現地サポートまで、一貫して提供します。定期的な面談やコミュニティの紹介を通じて、皆さんの挑戦に寄り添い、スムーズな移住とキャリアの構築をサポートします。

この記事を通じて、読者の皆様が少しでも北欧での挑戦に興味を持ち、次のステップへの一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです!

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