EKKYO.CONFERENCE vol.11 - みんなの食の価値観をトークしよう -
昨年12月に行われましたEKKYO.CONFERENCE vol.5「持続可能性×食の価値」では、100年後の食卓がどのようになっているのかを想像しました。そこで、「食に対する日々の選択にこだわっていこう」といった意見が出ました。
今回のEKKYO.CONFERENCE vol.11では、食の選択の重要性を踏まえたうえで、食を選択する場面において何が選択肢としてあるのか、何を基準に考えるべきかを話していきました。選択の解像度を高め、豊かな選択肢を持つことで、日々の生活により納得感や満足感を与えることを狙いとしています。生産者と消費者でどのような目線の違いがあるのか、また食に対する異分野からのアプローチはないか考えつつ、議論を楽しんでいただきました。ぜひ本記事を読みながら、日々の身近な食を見つめなおす機会としてみてください。🥬
サステナブルレストラン、アグリビジネス、農家の想い
今回の越境カンファは以下の3名の方にキーノートトークをしていただきました。レストラン、ビジネス全体、農家という異なる目線からのお話しで発見がたくさんありました。🍅
また、プレゼンターの皆さまからは
事前にメッセージをいただいていました。🍍
そんな皆さんの発表はこちらからご覧いただけます!↓↓🥝
越境カンファを終えて、改めて登壇していただいた3名の方々に今回の会で伝えたかった内容を以下のようにまとめていただきました。飲食店、テクノロジー、考え方、生産者など様々な視点での食に対する価値観を窺えます。🍽️
飲食店が生産と消費を繋ぐ
サステナブルレストランと呼ばれる、環境や地域に配慮した活動をするレストランが増えてきている。その背景には、シェフ、消費者双方の地産地消や有機栽培、フードロスなどへの関心の高まりや、そういった取り組みを行う飲食店への評価制度の開始がある。一方、サステナビリティ疲れという言葉もあるように、お客様への伝え方の課題や、曖昧で乱立する評価基準など、今後の課題も残っている。しかし、ハイエンドレストランで広がっていた取り組みも、チェーン店レベルまで浸透しきており、サステナブルレストランは生産の背景や想いを消費者に伝達する架け橋の役割を果たしている。また、消費者の意識を変えたり、気付きを与えるきっかけとなり、「大人の教育の場」にもなる可能性を秘めている。(文: 古瀬さん)
テクノロジーへのポジティブさ
今日の日本では、農家の高齢化と新規就農する若者の数の減少が深刻化している。しかし、実は農業人口の高齢化が進んでいるのは、日本だけではない。農業大国アメリカでも、同じ現象が見られている。だが、新たなテクノロジーへの向き合い方は、両国で大きく異なる。アメリカの農家は高齢者の方々でも、新たなテクノロジーが発表されたときに「どうやれば自分の農業に取り入れられるか」を前のめりに考えている。仕事が取られるのではなく、利用したいという感覚、そして新しいテクノロジーへの好奇心が強いのだろう。結果的に、アメリカは農業人口の割合は低くとも、生産力を上げている。もちろん効率化に伴う課題も山積みだが、農家のテクノロジーへの好奇心が、新たなニーズを作り、それを産業を支えるテクノロジーの開発につなげていく一面は、日本も取り入れていくべき、ポジティブな要素として考えられるのではないだろうか。(文: 井上さん)
欧米化されたマインドのリセット
日本では、欧米の影響を受けやすい、欧米化されたマインドが垣間見える。一方で、日本は自然とバランスの良い食事がしやすい、ユニークな食文化を持っている。日本では、欧米ほどにはビーガンやベジタリアンの波が強まらない印象があるが、それはむしろ、欧米ほど積極的に意識しなくても、肉に偏った食生活にならずに済むという、食文化が持つバランスの恩恵と見ることもできる。こうした観点から、現代社会の「食」に対して何か特定的な「正解」を決めつけるのではなく、日本ならではの、ユニークなポテンシャルを大きくしていくことの重要性を捉えることがきる。農業も食文化も、ただ欧米について行くだけではなく、日本の良さを認識したうえで、独自の発展の道を探ることも必要ではないだろうか。(文: 井上さん)
生産者の思いに触れる
環境や食の分配等、複雑な問題に目を向けすぎることで、中には食事が苦しい、楽しくないと感じる方もいるのではないだろうか。楽しみの伴わない食はwell-eatingと言えるのだろうか。そんなとき、生産者の思いに触れるという体験が、あなたのwell-eatingを実現するために役立つかもしれない。
実は、消費者の思いが様々なように、生産者の思いも様々だ。環境や健康に配慮して有機栽培を行っている農家もいれば、本物の味を届けたいという思いのもと土作りにこだわっている有機農家もいる。さらには、自分自身が自然の循環の中で暮らしたいという思いから、循環型農業に取り組む農家もいる。そうした様々な農家の思いや暮らしに触れることで、「こんな食事をしなければならない」という使命感や強迫観念から逃れ、「こんな食事をしてみたい」「こんな食事をすることが幸せだ」、そんな気持ちが自然に生まれてくることがある。自分自身の豊かな食、豊かな生活を実現するためのヒントが生産の現場にはきっとある。農産物のパッケージや有機認証の有無だけでは見えてこない生産者の顔や暮らしを覗いてみてはどうだろうか。(文: 岡さん)
多視点報告はこちら。
越境カンファに参加していただいた皆さんと出したアウトプットはこちらです!食への考え方がアップデートされて日常が少し良くなるきっかけになれば幸いです😊
1. 直売のハードルを下げる
ファーマーズマーケットのように農家さんと関わる機会は作れるが、楽しむ一歩目のハードルが高い。直送サービスやテクノロジーの活用により一歩目の「よっこらしょ感」を減らせれば、より生産現場を知り、食を楽しむことができそうである。
2. みんな忙しすぎ
ウェルビーイングの要素の中で
日本は「幸福」が課題だと感じる。忙しいという理由で、一人で食べたりコンビニで済ませたりすることは多いが、もっと料理に時間をかけたり食事に時間をかけたりしていいのではないだろうか。
3. 自然との距離を近くする
食の源流である生産現場や自然界には、癒しやリラックス効果のような「食」以外の幸福感も眠っている。こうした「食」に付随する多様な幸福に目を向け、自然や生産地と触れ合う機会を増やすことで、自然から「頂く」という感覚が芽生え、「より良く食べる=ウェルイーティング」に繋がるのではないか。
4. 欧米化されたマインドのリセット
日本では欧米化されたマインドが垣間見えるが、日本は自然とバランスの良い食事がしやすい食文化を持っている。農業も食文化も日本の良さを認識したうえで、独自の発展の道を探ることも可能ではないだろうか。
おすすめの日本酒コーナー!
最後に発表の中でもありました登壇者3名によるおすすめの日本酒コーナー!皆さん、ぜひ一度お試しください🍶
古瀬さんおすすめの日本酒はこちら!
「醸し人九平次」
華やかで、お酒だけでも料理と合わせても、いつ飲んでおいしいとのことです!
続いて、岡さんのおすすめはこちら!
「但馬の酒 香住鶴」
岡さんの実家はお米の兼業農家、岡さんのおじい様が「香住鶴」の杜氏(とうじ)をされていたとのことです!すごい!✨
最後に井上さんのおすすめはこちら!
「AKABU」
皆さんぜひ一度お試しください🍶
いかがでしたでしょうか?
食に対する価値観は変わりましたか?もしくは、自分が大切にしたいものを考えるきっかけになったのではないでしょうか?日々の食の選択が私たちの未来をつくっています。これからも楽しく食べていきましょう!☘️
次回の越境カンファ
今週日曜日は越境カンファvol.12です!📕
是非お気軽にお越しください!😁
イベント名: EKKYO.CONFERENCE vol.12
テーマ: 教室の未来を描く〜個別の学び×集団の学び〜
問い: 個々を大切にしながら,集団として価値を生み出す学校を実現するためには?
プレゼンター: 五十嵐健太、藤森あまね
日時: 2024年1月28日(日) 19時-21時(日本時間)
場所: オンライン zoom
参加費: 無料
イベント主催: EKKYO.HUB
協力: 学習PF