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【クソゲー】PS|BODY HAZARD【プレイレビュー】
はじめに
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このBODY HAZARDのタイトルを見て皆一様に感じるであろう疑視感。
漠然と現れるこの文字の並び、誇らしげに登場するタイトル画面。ここで試しにGoogle先生で”あるワード”を画像検索してみる事にした。
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数々の『BIO HAZARD』に突如現れる『BODY HAZARD』のタイトル。しかし、私が画像検索した文面は『バイオハザード タイトル』である。
開発者は間違えて買う購買層をターゲットにコンセプトしたかのように、画面を下にスクロールすると「にゅっ」と突如姿を現す。
まさに木を隠すなら森、ボディ隠してバイオ隠さず、この検索結果に思わず「うわっ、こわ……」と声を出してしまった程の恐ろしさだ。
こんな方はいないとは思うが「バイオと間違えて買っちまったじゃねえか!ったく似た名前しやがってよ!エロ同人みたいにぃ!エロ同人みたいにぃッ!」と、憤怒した購買層がいたとすれば、ここで悲しいお知らせがある。
何と『BODY HAZARD』と同タイトルのエロ同人が存在する。同人であるので元ネタがあるのだが、それも同じく『BIO HAZARD』という共通点があるのだ。
要するに『BODY HAZARD』は『エロ同人』であるといっても過言ではなく、文法としては何1つ間違っていないのである、残念ながら。
本編プレイレビュー
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タイトル画面を眺めていると、このメニュー画面へと切り替わる。
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『ADVENTURE』から『NEW GAME』を選択することでゲームが開始される。
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開始直後、水面らしきところの中心部に『LOADING』の文字列が浮かぶ世界へと飛ばされる。
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しばらく待つと左下から赤いバーが右に向かってゆっくりと伸びてくる。
ここでLOADINGの文字列と合わせて考えて「ああ、このバーはローディングがどこまで進んでるか示してるんだな」と理解する。
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そこに赤いバーが中央を越えた瞬間「バーンッ」と何かが破裂する音が突如鳴り響き「何だ?」と動揺するも、そんな戸惑いをよそにどんどんバーは進んでいく。
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そして、のろのろと右端に突入。
何事も無かったかのようにバーが右端に入り、少々困惑しながらもこれでロード完了かと、ゲームパッドを持ち直し、いよいよ始まるのかと心待ちにしながら身構えていると、
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右端から緑のバーが静かに折り返してくる。
「え、じゃあ緑が折り返して左端までいったら完了か」と、再度パッドを持ち直し眺めていると、

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「まだまだ終わらせねえぜ?」と青いバーが再々度折り返してくる。
「何だよ」と軽く舌打ちしたのちに「次で終わる可能性もあるが、油断しているとやられるな」と、ロード中にしてはよくわからない感情も芽生えてくる。
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そして黄色が当たり前かの様に再々再度折り返してくる。
ここまでは想定済みだったが、しかしここである異変が、なんとここにきて小気味悪いBGMが追加されて、黄色いバーが折り返してきたのだ。
もはやこれはローディングではない、開発者のくだらないフェイントの連続を、いかに私が読みきれるか試されているのだ。
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よし、さすがに意味ありげにBGMが流れてきたし、もういい加減最後になるだろうと構え、黄色いバーが端に到達するまで見送る。
しかし、数々のバー達のフェイントに私の精神は崩壊。
ひょっとしてまだあるのでは、と、ここまできても疑ってしまう。
すると、
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「チーッス」と左端から赤いバーが現れる。
「やっぱりかい!」と思わず画面につっこんでしまったが、こうなると「いつ終わるんだ?」という妙な不安にも襲われる。
この単調な画面『LOADING』に踊りに踊らされ、ある種このロード画面は悪い意味で退屈させないものにまで昇華している。
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緑が中央部分より先に達した。
それは最低でも左端まではバーが移動する事を意味するはずだが。
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それすらもフェイントで、バーが半端な位置で突如ふわっ…と画面がフェードアウトしてLOADINGが完了する。
はは、やっと終わったか、いやー長かったなー、結構ローディングに待たされたし、いろんな色を見せられたなー。
ってじゃあ今までのバーの意味よ
数々のカラフルなバー達全てを台無しにするこのローディングの終え方、破裂音やらBGMを鳴らす演出さえも必要の無いものとなっていて、
所謂、
よーい…
どんぶり。
のような、間を空けすぎたフェイントによる、わかっていても面倒くさい読み合いになっており、そもそも読み合いにしても深すぎて、裏の選択肢の多さが湯水のように溢れ、裏の裏の裏のさらに裏からの「まだまだ裏があるぞー」とイキって裏が散々しゃしゃり出てくる為、
「もうええわ」
と、一言で終わってしまう浅さに変化してしまっている。
そもそも何故このロード画面で読み合わないといけないのか、それが1番の謎であるのは言うまでも無い。
ここから次に何やらムービーが流れるのだが、これもまた意味不明である。
▲ゲーム開始からLOADINGも含めて動画にしてみたので、是非とも確認していただきたい。
肝心のムービーは説明もなく突如始まる。
それはキックボクシングらしき試合のようで、最後にはよく分からない何かで殴られてしまう。
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▲どこかで見た事があるようなこの何かの部品らしきもの。武器にするにはとても微妙だが、間違いなくこれで殴られれば痛いのは確実だ。
これは何であろうかと考えているとすぐに答えが出た。これはアレである、アレのあの部分に使われているあの部品だ。
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こいつである。
どうだろうか、見た目における大体の形状はそっくりであると思うが、しかしこれだけだとこれが何であるか何とも伝わりにくので、全体像を載せて説明すると、
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▲そう、自転車のペダルにある『ギアクランク』である。画像にはギヤクランクとあるが意味するところは同じだ。
試合後にチャリの部品で殴られる主人公、実に痛そうであるが、相手側の心境がいまいちわからない。
こいつは「くそっ、もう我慢の限界だ」と怒りをあらわにして「アイツをギアクランクで殴ってやる」といった歪みに歪んだ怒りが爆発し、自転車を解体してはギアクランクを取り外し、使用したのだろうか。
仮にも主人公は格闘技らしき試合で勝利するほどの身体能力を持っているのだ、映像を確認すると不意にしては正面からである。現役の格闘家にギアクランクというマニアックな部品で殴りかかれる、これだけでもこいつは相当なギアクランクの使い手であろう。
そう考えると相手は自転車のパーツを専門に扱う忍者である可能性がある。
月夜にまぎれ1人の忍者がチャリで屋内へと侵入。
天井裏まで辿り着くとターゲットを確認。
ターゲットが部屋を出た瞬間、忍者がタイヤのチェーンで縛った『リアディレイラー』をぶんぶん振り回し投擲。
それが見事ターゲットの顔面にヒット、怯んだ隙に乗じて背後に回っては『スポーク』を首にぶっ刺し倒れるターゲット。
忍者は任務完了と心の中で呟き、倒れた相手の顔に前カゴを被せ、へそにチャリのカギを回し入れる。そうして自身の自転車にまたがり、ケツをブリブリと左右に振りながら立ちこぎでさっそうとその場から去っていく。
チャリ忍者、想像するだけでも恐ろしいやつだ。
道が無い
▲謎のムービーが終わると突如始まる。先程殴られた後の展開にしてはあまりに唐突だ。
開幕岩場で主人公が1人で何やらブツブツと呟く。
独り言にしては長い、もうげっそりするぐらい長い、それは約30秒も続く。自転車の部品で殴られたショックで気でもふれたのだろうか、この間は一切動く事は出来ないが、一応この漫談はスキップする事が可能なようだ。
独り言が終わってやっと動けるぞと意気込むも、クソゲーにありがちなインプットラグ、キーを倒してから動くまでにワンテンポずれる。
ただ、もうこの手の操作感には数々のクソゲー達に揉まれたせいで慣れてしまっていて「ああ、またか」ぐらいなものであるが、しかし、

▲目が痛くなるような視点の切り替わりが随所で突如発生する。
この現象は「そこで視点替える必要あるか?」といった場面で何度も頻繁に起こり、例えば、敵が出現し意気揚々と殴っていると、いきなり視点が切り替わり、右に居た自身が気付けば左へ。
戸惑っていると視界の外からアホほど殴られる。
先程までこちらが敵を追い詰めていたはずが、この強制視点変更から敵の形勢逆転劇が繰り広げられてしまうという仕様になっている。
さらに、この主人公には妙な口癖があり、ことあるごとに何度も耳にするのだが、その口癖が何ともうっとおしく、このゲームで1番耳にする言葉でもある。
しかし口癖とは相方が居て会話なりで成立するものだが、こいつは1人で狂ったように何度も呟く少々妙な癖を持っているのだ。もはやそれは性癖といっても差し支え無いであろう。その言葉を謎の奇病に疾患してしまったかのように永遠と呟き続ける。
それは、
「no way」
川に向かってno way、壁に向かってはno way、視点が切り替わってはno way、そして何も無いところでも結局no way。
とにかくこいつは所構わずno wayと言い続ける精神を貫いている。
この言葉は直訳して「道が無い」であるが「まさか」や「嘘だろ」といった否定的な意味であり、さらに「すげえ」「ハンパねえな」といった意味でもある。
とにかく困ればno way、何かしらのリアクションは全てこの一言に集約されている。
そして、追い討ちをかけるように操作性が邪魔をする。
走るには数歩歩いてからしかできないのだが、壁や障害物にぶつかればピタッと止まる仕様である為、また走り出すには再度数歩歩かなければならない。
勿論no wayとその度におほざきになられる。
さらに厄介なものがある、それはジャンプである。大体はジャンプなら○ボタン、もしくは×ボタンを思い浮かべるだろう。
しかし、R1。
そう、このせいで初見プレイ時はおのずと動きが制限され、必ず皆、同じ道を辿るようになっている。
▼初見プレイで誰もが経験する一連の流れ▼
Let’s get started!
(1)ジャンプがR1というわかりにくさに加え、そもそもこのゲームにジャンプがあるという発想に中々辿り着かないので、開幕はまたいで通れる程の距離にある次の足場へと飛べず、脱出ゲーと化す。
(2)その為、うろうろする事で「no way」を何度も聞かされる羽目になる。
(3)直感的にプレイできないので、説明書に何かヒントになるものが無いかを確認する。
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(4)ここで説明書内の操作方法でジャンプの存在を知ると同時に、パッケージ裏にある『頼れるのは、俺のBODYだけだ!』の表記に驚愕する。
(5)再開すると主人公が画面上で謎のジャグリングを始めている。
Finish!
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その場で何も操作せず待機していると、時間経過でいきなり始まるジャグリング。何人かの友人にこのゲームをプレイさせたことがあるが、漏れなくこの(1)~(4)の流れに入り、説明書を確認していると画面上でジャグリングを始める(5)の展開までを体験する。
実に楽しそうだが、開幕の長い独り言といい、観客の居ない1人ジャグリングといい、画面を通して彼の闇の部分を常に見せられている気分にさせられる。
格ゲー要素を足してみました
ようやくジャンプの方法を覚え、囲まれていた岩場から抜け出し先へと進むと、2匹のワンちゃんと対峙することになるが、犬くんかわいいと侮るとこいつが結構厄介で、
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▲犬くんは四足歩行で低姿勢な為、こちらの攻撃の大半が当たらない。
この状態はこちらの攻撃だけがブンブンと空振りし、相手の攻撃は全て食らうという非常にまずい状況である。
この状況を打破するには下方向に判定のある攻撃を繰り出す必要がある。所謂初見殺しなのだが、初見でもさほど苦労せずにいけるのが救いといったところだ。
▲倒すとふわっと浮き上がり文字通り召される。そしてついでに「no way」と呟く主人公。これが”no wayゲー”たる所以だ。
このオーラを纏って浮き上がるのが何とも物悲しいが、血まみれでやられるよりは天国へ安らかに旅立ったかのようで、幾分見た目的にマシである。
他の敵もぶっ倒せばもれなくふわっと浮かび召されて逝く、さながら天使気分だが……
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▲パッケージ裏で「頼れるのは、俺のBODYだけだ!」と死んだ目で裏拳と左ハイキックを同時に繰り出して無双する主人公。そこに天使要素は皆無である。
身体だけが頼りと自ら自身は脳筋タイプであると言うように、そこに慈悲やしっかりとした思想などある訳もなく、彼の脳にあるのは殴る事とno way。
彼は常にno wayに始まりno wayで終わる。
そんな短絡的な発言を繰り返す彼だが、攻撃スタイルだけは実に多彩だ。
▼死んだ目から放たれる使える各無双技一覧▼
:振り向きハイキックロー
↓×↓入れっぱ×
:掴んで2回膝蹴り
密着状態で○+△
:ダブルラリアート
□+△
:力んでからパンチ
↓入れっぱから□+△
:2段下段蹴り
↓○○
:2段上段蹴り
○○
他に使えない技約40種類……。
ここに載せてない技があと無駄に40近くあるが、他はあまり使えず、主にこの6種類を使い分ける事になる。
多彩ながらに無駄の多いレパートリー、何故ここまで多いのかといえばこのゲームのコンセプトとして「格闘マニアでも十分楽しめる」というのがあり、格ゲー好きなら「ん?」となる技も用意されている。
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▲1つ目が『ボディハザ』の下段蹴り。2つ目が3D格ゲーの代表『鉄拳』による奈落払い。
このボディハザの下段蹴りを見た鉄拳勢の民はもれなく、
「な、奈落払い、い、いい、一発止めやてぇ!?プッチーンッ!(プッチンプリンを取り出す音)」
と、どうでもええわ、そんなことよりプリンでも食べよ、となるだろうが、しかし、それだけでなく、敵と遭遇する度にそれは発生するのだが、バイオハザードが如く自由に動き回っていると、その敵に対して主人公は格ゲーらしく前後にステップを踏み、半身を前に突き出し、肘を曲げ、両腕を上げて自身のアゴ先付近に拳を持ってくるスタイルとなる。
その間は強制的に格ゲー専用の動きに制限され、TPSの状態から急に操作が切り替わり、鉄拳のような操作感に入ってしまいストレスしか感じないように設計されている。
これはTPSと格ゲーを足せば良い物になると開発者は思ったのだろうか。
「はは、まさかそんなアホおらんやろ……」と鼻で笑っていると、
”ゲームの開発は、バイオハザードの様な多彩なカメラワーク視点のアドベンチャーゲーム的要素に、鉄拳2の様な格闘ゲームの要素を合わせ持ったゲームを作ったら、もしかしたら面白くなるのでは?と、配信元のパブリッシャーのエレクトロニック・アーツによって広告され、難しかったが、ASC GamesリリースでGray Matter Interactiveの開発者らによりこのゲームの開発がされ、Perfect Weaponのゲームが作られた”
まじかよ…
まあ、ウィキの当てにならない情報に踊らされるのも何だが、バイオと鉄拳ありきで作られたそれは、たとえ本当だとしても「そこは嘘だと言ってくれよ」と思ったのは言うまでも無い。
慣れ
このクソゲーは初見殺しが多くそれなりに初めはつらいが、慣れると一気にヌルゲーへと化すという、2つの表情を見せてくれる。
ただ慣れるまでこのゲームを続ける事が1番つらいのだが、そこを乗り越えると得れるものもある、それは、
時間の浪費。
そう、無駄が構築されていくのだ。
▲上記画像の上部緑のバーに注目して頂きたい。誰にやられた訳でも無く、ただうろうろしていただけでこの減りである。
これがこのゲームの初見殺しとなっていて「何かバーがみるみる減っていくぞ!?」と分かりながらも、何故減っているのかは製作者の演出によるさじ加減なので知りようも無いが、それをどうやって回復させるのかが非常にわかりづらいのだ。
ここでアイテム覧を開く為に1つずつ全ボタンを押していくが、おおよそ最後辺りに押すであろうセレクトボタンを押す事で、ようやく所持しているアイテムを確認する事が出来る。

▲ちなみに、落ちているアイテムは拾うと『埋まる』
この斬新な表現に加え、効果音は「にょきっ」である。
あきらかに何かが伸びる音だが、画面上では埋まっていくという絵を見せてくれる。勿論埋まったアイテムはしっかりと手に入っているので安心して頂きたい。いやー演出が憎いぜ、角材で殴りたいほどに。

▲これが問題のアイテム覧兼マップである。
下部左右にアイテムのアイコンが見えるが、これを使用するには、相当の難関を乗り越える必要がある。
:アイテムを使用する為の道のり
(0)埋まっていくアイテムはゲットしていると認識する。
(1)セレクトボタンを押してマップ画面を開く。
(2)マップ画面がアイテム欄でもあると理解する。
(3)L2かR2ボタンを押す
(4)×ボタンを押してアイテムを使用する。
ここまでやってようやく完了という『おたわけ仕様』で、埋まっているアイテムを手に入れているという認識がまず必須であり、次に明らかにマップの画面にしか見えない状況でここはアイテム欄でもあると理解する必要もある。
この推理ゲームを2回制してからがスタート地点。
そうしてからこの裏技コマンド的要素から初めて体力バーを回復させたり、アイテムを使用することができるのだが、通常初期のプレステの決定ボタンはおおよそ〇ボタンが普通であり、使用に伴うボタンも〇ボタンを押しがちなのだが、〇を押してしまうとキャンセル扱いとなってしまう。
最後の最後にもこのようなトラップが用意されていて、アイテムを使用したと思っていても実際にはキャンセル扱いとなっていた、なんてことは初プレイなら必ず体験するだろう。
このようにアイテムを使用するまでに一切隙がない仕様となっている。
この遠い道のりが回復がすぐにできない要素となっているのだ。
これに気付かずにうろうろしていると、急に画面が白くフェイドアウトし、謎のムービーが始まり「なんだ?」とボスが登場する際の何らかの演出なのかと眺めていると、何事も無かったかのようにタイトル画面に戻されることになる。
ここで脳がこの事態を呑み込めず、大体の人はなんとなく再度プレイする。

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

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そうして折り返し続けるカラフルなバーを眺めながら「あ、さっきのはゲームオーバーだったんだ」とここでようやく理解し、電源を落とす。
ここまでがこのゲームをする際の一例の動きとなっている。
そうして締めに本体からディスクを取り出してはフリスビーを行い、このゲームのディスクケースを手に取っては、パッケージ裏を眺めながら無意識に皆はこう呟くこととなる。
