
資産運用について(1)
資産運用というのはギャンブルであってはならない。
前提としてまず書きますが、値が安定していないときに株を購入するのは控えた方が良い、というのは通説ですよね。タイトルが「資産運用について(1)」ということで資産運用の話を何回かパート別に分けて解説していきます。
今回は個人事業主と法人向けにたいしての話なので、そうでない方はすぐに活用はできませんが、今の時代、個人事業主として副業などやっていない人のほうが少ないでしょう。
それにこれは制度の穴を突いた内容ですので早急に記事にする必要がありました。すぐにでも改正される可能性があるので利用できる内に活用していきましょう。
勿論、違法ではなく合法であるので安心して利用して下さい。
個人事業主や法人の方がある条件を満たしたときに制度の穴を突いて節税になって大幅に得をする、というのが今回の内容となります。
賃上げ促進税制
これは個人事業主と法人に受けれるシステムで、従業員がいるのが最低条件となります。
その条件を満たしたうえで、前期よりも従業員の給料を今期上げれば税額控除が受けれる、というのが「賃上げ促進税制」という制度です。
:賃上げ促進税制
企業が従業員の賃金を上げることを奨励するための税制措置です。具体的には、企業が従業員の賃金を一定の割合以上引き上げた場合に、その引き上げ分に対して減税や税額控除を受けられる仕組みです。
前期の役員を省いた従業員の給料・賞与を今期が上回ることが前提として必要になっています。これは書いている通り、役員は省き、給料だけでなく賞与、つまりボーナスなども含みます。
例えば年収500万円の従業員を10人雇っていたとします、これは全体で5000万円です。この5000万円から最低でも1.5%前期より今期が多ければ良くて、さらにそこから+1%、つまり2.5%多ければさらに多くの税額控除が受けれます。
1.5%だと15%の税額が控除され、2.5%だと30%税額が控除されます。
これの意味するところはなるべく2.5%に近づけたい、それ以上でも以下でもないことが望ましいということになります。
例えば前期(A)が5000万円なら、今季(B)は2.5%上乗せすれば良くて、5000万円の2.5%は125万円なので125万円分前回より多く賞与を与えるなり、給料をアップさせれば良い。
今期の増えた分と前期の額を差し引いた金額が控除されるので、以下のように税金控除が受けられる。
”51,250,000円(B) - 50,000,000円(A)× 30% = 375,000円”
”50,750,000円(B) - 50,000,000円(A)× 15% = 112,500円”
教育訓練費
教育訓練費とは社員の研修費と考えて良いです。
ここからが本題になります。
社員研修における費用が前期から今期にたいして全体の5%上回っていれば、教育訓練費として適用されます。
この制度はその教育訓練費が前期より今期が5%上回っていると、先ほどの15か30%控除されたものにたいして更に上乗せで+10%の税金控除がされますよ、という制度です。
5,125万円(B) - 5,000万円(A)× 30% = 375,000円(C)
5,125万円(B) - 5,000万円(A)× 10% = 125,000円(D)
”375,000円(C)+ 125,000円(D)= 500,000円”
これが何を意味するのかというと、教育訓練費が前期0円でもこれが適用されます。つまり、教育訓練費を少しだけ上乗せしてその差額分を頂いてしまおうというものです。
例えば前期が0円で今期が1円でした、そうなると124,999円分手に出来る計算になります。ここに従業員に支払っている給料分が混じることでこの額が大きく変動する。
極端な例ですが、たとえば1億円の給料の支払いがあれば75万円分に+25万円-1円が減税される、2億なら+50万-1円、10億なら+250万-1円、100億なら2500万円-1円といった具合に減税される訳です。
厳密には教育訓練費はもう少しかかるでしょうが、あらかじめここを控えめに設定しておき、あとで回収するという方法を取ります。
全体を通して流れを説明すると、支払っている給料が前期より1.4%多いなら少しの額を投資すれば少しの出費でそれだけ節税になるし、前期より2.4%多いなら少しの額を投資すればその差額分節税できる。さらに前もって教育訓練費をわざと前期で抑えて、今期に少し入れてしまえばその差額分丸々儲かるよ、という寸法です。
教育訓練費などいくらでも抑えれますから、ここだけ注力して極端に下げておけば良い訳です。例えば前期に教育訓練費に3万円かけていて、そこから今期は+1500円にすれば全体の10%から1500円引いた分が節税になります。
通常通り業務がスムーズに進行して企業が盛り上がっているなら従業員は常に増えていくものですから、支払う給与や賞与は自然に上がる、そうなればこの制度を利用すれば常に自然に節税になっている。
それだけでなくさらに教育訓練費の差額で儲かってしまう。
例えば全体で10億円の給料の支払いがあれば、750万円に+250万円されて、そこから教育訓練費である-3万1500円を引く。つまり、全体で996万5千円、246万5千円得をした計算になります。
厳密には前年よりも1500円プラスしただけですから、教育訓練費だけで249万8500円浮いた計算です。
制度設計の穴
これは事実上、教育訓練費にかけた金額を遥かに超えてしまうので制度設計に穴があるということです。
この税額控除の制度は会計検査院を通して国で調べたところ、全体として215億円多く支払っていたという事実があります。
12,800法人がこの税額控除を受けていて、その内9,600法人に多く支払われている。この制度を利用して去年より5万円上乗せしただけで約1,000万円減税に成功した事例もあります。
これは設計にミスがあることは確実であるとわかります。
ただ、あと"2年"は大丈夫です。
これは令和9年まで適用される制度なので使える内に使いましょう。
しかし、この制度の穴は国がもう調べて気付いているので変更されるのも確実でしょう。変更される前に早急に行動することが重要であるのは間違いありません。
◇
最後に。
従業員は身内でも構いません。
例えば夫婦であるとか兄弟であるとか、普段は人手は十分だけどもこれを活用する為だけにスポットで雇ってもいい、その部分的に雇う相手を身内に頼んでも良い訳です。身内なら実質その給料はマイナスになりませんから節税や減税がそのまま収入と同じ位置に入ります
もし、この制度を利用するなら担当の税理士さんに相談してみるのも手です。私がここに書いたことよりもっと詳しく教えてくれることでしょう。
ここに書いていない内容とすれば計算式が複雑になるケースがありますので、その点においては税理士さんに相談した方が楽ができることもあるでしょう。もしこのことを知らないとか、はぐらかすようなことを言われた場合には、その税理士さんはすぐにでも切ってしまいましょう。
今回は以上となります。
次回は個人事業主でなくてもできる節税の話を書いていこうかと思います。
以上。
◇