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悪口を言うときに脳内で起こっている事
人は人のことを悪く言うときに、その悪く言った内容が自身に向かわないようにしている。
はじめに
これから書いていく内容は損得勘定の話であると先に書いておきます。読み進めていく合間にでも、それを念頭に置いて頂ければ理解がしやすいと思われます。
つまり、それが良くないという倫理観という正義の心で書いているのではない、ということです。
これは倫理観という損得勘定の話です。
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悪口
揶揄や人を悪く言うという行為は単純にみえて、その人の内面に現れる非情にわかりやすいコンプレックスの表れであり、自衛の働きを同時に持っています。
自尊心だったり、優れていると思われたいという無意識の意識に入っている。これは自己実現をそこに投影しているに過ぎません。
人を悪く言うというのは最も簡単な自身の正しさの証明と相手の否定となり、相手を否定することで自身を優れているとしながら相手が劣っているとできるので、中身が無くとも数値が無くともその場限りで優劣を自身でつけれる動作になっている。
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嘘を付き通したいときや、都合が悪い場合に怒りっぽくなっては悪口が増えるのもこれが入る場合があります。あるいは相手が間違えている、自身が攻撃されているとする場合、これも自己実現の法則から"怒り"に変わります。
以下にその内面に潜む精神の働きを書いていきます。
自己実現の法則
人々は自分が信じていることや感じていることを、無意識に行動や言動を通じて表現する。悪口を言うことで自身もそのような人間であるという自己認識が強まり、結果として自身にも悪口が跳ね返ってくる可能性がある。
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感情の法則
カール・ロジャース(Carl Rogers)は、アメリカの心理学者で、人間中心療法(ホリスティック・セラピー)の創始者として知られている。彼の理論は人間の自己実現と成長を促進するために非常に影響力があった。
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感情の法則:
・感情は行動を引き起こし、その行動がさらに感情を強化するというサイクルが存在します。
・悪口を言うことで否定的な感情が強まり、その感情が自身にも影響を及ぼすことがあります。
他にも彼の主な貢献には以下のものがある。
非指示的対話:
セラピストが患者に対して指示を出すのではなく、患者が自分自身の感情や考えを探求する手助けをすること。
無条件の肯定的受容:
セラピストが患者を無条件に受け入れ、価値を持つ存在として認めること。
自己実現の概念:
人間は自己実現の欲求を持ち、その過程で成長し続けるという考え。
カール・ロジャースの理論は、心理学やカウンセリングの分野で広く受け入れられ、多くのセラピストに影響を与えた。彼のアプローチは患者が自分自身をより深く理解し、自己成長を遂げる手助けをすることを目指していた。
認知的不協和
人は自身の信念や行動が矛盾すると不快感を感じる。
悪口を言うことで、自己イメージと矛盾する行動をとるため不快感が増し、それがストレスや自己否定につながることがある。
投影
自身の内面の不安やコンプレックスを他人に投影し、それに対して攻撃的な言葉を使うことがある。投影された不安やコンプレックスが自身にも跳ね返り、自己評価を低下させることもあります。
社会的認知理論
他人の行動や言動を観察し、それを元に自身の行動を学ぶ。悪口を言うことで他人の悪口も受けやすくなり、否定的な環境が自己評価に悪影響を及ぼすことがある。
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攻撃する言葉
例えば気持ち悪いと言えば自身がそうなりたくないと意識する、デブと言った場合は自分がそうなりたくないと意識している。
脳の中で起きているのはその言葉の羅列であって、状況を込みで捉えるということは瞬時にできないようになっている。つまり、悪口を言うと自身もそれを意識していて、無意識に意識するので脳は自分に言われているかも、と錯覚する。
悪口というのは相手に対する揶揄にみえて、自身が気にしている内容も入る「こうはなりたくない」という要素は自身に入っている。
これは自分にあるコンプレックスの内面に存在する発声しやすい内容に入っていて、余計にその発言した悪口は自身にひっかかる要素として残ることになる。
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聞き取りやすい言葉
例えば、自分の知っている大事な情報を100人いる中で聞こえた場合、小さな声であっても大きい声に聞こえては、はっきりとそれが聞き取れる。
これのもっともわかりやすいのが自身の名前だ。
たとえどれだけ人がいて騒がしくとも、名前やニックネームを呼ばれると脊髄で反応する。
このとき、気にしている内容、例えばチビとかブスとかハゲとか何でもいいが、その自身が気にしている言葉はどれだけそこが騒がしくてもはっきりと聞こえる。
これは誰しもがそうで、普段からその言葉を使ったり使われているとその言葉を意識するので、基本的にはそれが跳ね返る現象があり、使わなくても気にしている言葉は瞬時に入ってくる。
瞬時に入ってくる内容はその状況込みで行えないので、状況を把握してその言葉を理解するのに時間がかかる。このときにそれを理解できないぐらいに余裕がない場合は、瞬時に入ってくるその情報をそのまま受け止める訳だ。
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SNSで汚い言葉を見て、自身と一切関係が無いのにイラついたりする人がいますね。あるいはまったく関係がない他者の不倫を見て殺意を覚える人さえいます。
これはその原理が働いています。
自身が発してもそうなるし、発していた習慣が周りの発しているものや声に対して瞬時にキャッチしやすくもなる訳です。
情報源は自分にある
普段から死ねなどと言っているとその言葉に敏感になり、その言葉をすぐにキャッチしてしまい、人は状況を込みで瞬時には捉えられないのでそれがしばらく残る。
その状況を把握するのには心理的選択疲れのようなものが起きてしまい、その都度考えなくてはならないので脳が疲弊する。
:心理的選択疲れ(Decision Fatigue)
長時間にわたって多くの選択を行うことで、精神的に疲れてしまう現象のこと。これは、脳が選択を行うためのエネルギーを消耗し、最終的には選択の質が低下したり、選択を避けたりすることがあります。
普段から悪口を言われ過ぎているひとも同様になる、つまり言っても言われてもそれは危ういということ。
これはトラウマの原理であり、精神病になっていく原理でもある。
自身が発しても他人が発してもそれを気にしているならそれをキャッチしてしまう、特に最も身近な習慣は自身の考えや声だから、その習慣がそれを意識してしまうということ。
SNSにある酷い言葉に夢中になってしまうのも、ニュースで悲惨な内容を見たり読んだりして不快な気持ちになるのもここに入っている。
言う習慣があっても危ういし、言われる習慣があっても危うい、ということだ。
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発言
その中でも最も危ういのが自身が発すること、それが最も習慣化されやすく最も入り込む要素が大きいから。
例えば自身が言われたくない悪口を他人に言ってみてください、どうもすっきりしない自分に気付くはずです。その悪口に悪意を入れにくくなります。
例えばホモと言われたくないと思っていた場合、心底相手に悪口でホモと言いにくいし、言えても冗談が関の山です。無理して言った場合、つまり悪意を持って悪口として言った場合にとても自身に不快感が残ります。
これは他者に悪口を言うときに自身を意識するという原理です。
なりたくない自分とを重ね、なってしまっている自身は悪くいえない、これは同じ位置にあって、言った瞬間から意識してしまう。
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欲望と損得勘定
悪い言葉を発すると損をする場面がある。単純に嫌われるだろうし、そのような人とは関わり合いたくないものです。
ただ相手を攻撃するというのは一種の快楽にも繋がる訳だから、ある種、欲望に忠実ということでもある訳で、悪く言わないというのは禁欲の一種でもある。
これは我慢ができない欲望のひとつということ。
お酒に依存する、煙草に依存する、暴飲暴食、これらと同じ位置に入ることがあります。
このどれらも健康的に被害を受けるのと同様に、その欲望の解放は他者にも自身にも関わること、良い習慣とはいえないでしょう。
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インフレーション
AIが人の知能を超えたときにどう発展していくかの観点からして、数値で測れるものはインフレを起こしては価値がどんどん下がっていくと予想できます。
IQ、数値、外面的偏差値。
その中で残るのが、礼節、物事の正しさを知る、倫理観。
私は別に悪口を嫌っている訳ではなく、このインフレーションに備えるべきであると考えています。
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◇
最後に。
仮に普段からババアという悪口を言っていたとして、自身は年を重ねても受け入れるなどと公言しながら、いざ中年期に差し掛かると普段食べていなかった若返りに良いとされる食物を摂取する、所詮人というのはそういうものです。悪口というのはある種、自身の中のコンプレックスを増やす作業になっています。
ここでそれをわかっていると自分は弱い存在であると認識しながら、自身に直接的に攻撃されなければ他人にとやかく言わなくなります。
攻撃されれば痛い訳ですから、自衛のために抗わないといけないという理由がありますね。なければ他人事、攻撃する理由もなければ理由もなく攻撃すれば自身にも影響があるということになります。
何度も書くようですが、これは悪口が許せないという感情の話ではありません、損得勘定の話であり、近い未来にはそれが危ういだけのものになると考えているからです。
以上。
◇