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【クソゲー】FC|マインドシーカー(MINDSEEKER)【プレイレビュー】


”このソフトは あなたの せんざいいしきの

なかに ねむっている サイキックパワーを

ひきだすために かいはつされた、

ちょうのうりょくかいはつソフトです。”




 いきなりバイト数の少ない宇宙らしき画像見せては、訳のわからない文言を妙な空白スペースを用いながら画像に書かれた文字を読ませて恐縮だが、勿論これはその印象の通り怪しい宗教のようなものの話であり、ゲームの内容を端的に書くならば、エスパーキヨタたる人物の主観的体験に基づいてシミュレートされた超能力を開発する為のソフトだ。

 今回はそんなマインドシーカー(MINDSEEKER)と呼ばれる超能力を鍛える為のゲームをプレイしていきたいと思う。


本編プレイレビュー


 このゲームのコンセプトとして、誰でもこのゲームをプレイすれば超能力を得ることができるとしている。超能力といっても多様にあるが、その多様にあるものを網羅できるらしい。

 それは身体発火を利用すればガス代は節約できるだろうし、空中浮遊をしては移動に伴う時間を節約できるだろうし、そのふたつの要素を使って全身を発火させながら空を飛んでは、隕石のように過ごすという無益なこともできる、ということだ。

 現代までに様々な科学が発展してきたが、ついに超能力を得れるというのは、もはやそれはある意味では最先端であるだろうが、いにしえの時代から存在するファミリーコンピュータに現代の科学を超えることが可能になるというのは、否が応にも期待せざるをえない。


 ゲームを始めると名前の入力を求められる。私の名前は「ekksuii」である為、そのままローマ字読みでえっくしぃ、あるいはえっくしーと入力しようかと思う。


▲プレイヤー : えっくし

 おっと、どうやら4文字以上は入力できないみたいだ、ゲーム冒頭でいきなりの8ビットCPUの力を幸先悪く体感。これも超能力を手にする為だ、我慢せざるを得ない。


▲えっくしさん こんにちは!
 さあ これから ちょうのうりょくの
 かいはつトレーニングを はじめましょう。

 はい、こんにちは。


▲ここでは ちょっかんが だいじです
 なにか かんじたら フィールコマンドを
 つかってみましょう。

 フィールコマンドね、了解。


▲もし なにもかんじないときは コンピュータを
 フィールして じょうほうを きくことも
 だいじです。

 そうなんだ、よくわからんが、まあ、わかったよ。

 能力なんて持って無いし、何も感じる訳も無いので、とりあえず試しにコンピュータでもフィールしてみるか。


▲メッセージが ながれてきたぞ!
 「まず コンピュータルームにいきなさい・・・・

 という事らしいので、向かう事にした。

 と思ったのはいいが、すぐ目の前にある扉に干渉できずにこの部屋から出ることができない。

 そうか、先ほど説明があったフィール、そしてここは超能力を扱う施設、つまりこの2つの要素から恐らくは扉をフィールすれば出られるのだろう。

 という訳で扉をフィール。


▲なにも かんじないぞ!

 ん?

 扉じゃないのか、という事はテーブルの下か?

「なにも かんじないぞ!」

 あ、違ったか、じゃあ、ベットの下とか。

「なにも かんじないぞ!」

 な、なるほど、手強いな。

 じゃあ、多分鍵とか扉を開くスイッチだとかどこかにあるんだろう、とにかくそれっぽいものを手当たり次第にフィールしてみる事にしよう。

 まずは、タンス。

「なにも かんじないぞ!」

 タンスの上にあるよくわからん物体。

「なにも かんじないぞ!」

 天井!

「なにも かんじないぞ!」

 壁っ!

「なにも かんじないぞ!」

 扉の上にある何か!

「なにも かんじないぞ!」

 もう何なんだよっ!

「なにも かんじないぞ!」

「なにも かんじないぞ!」

「なにも かんじないぞ!」


感じろよ!


 と、この時私は無茶な事をファミリーコンピュータに向かって叫んでいた。

 これに関してはACアダプタを激しく刺激しては「もっと感じろよ!」と叫ぶようなもの。そんなことに意味が無い事は確かであり、ACアダプタほど感じちゃって熱くなられて困るものは無い。

 そうして室内が何も感じ無くなって数分、適当にボタンを押していたらEXITの項目を発見。それを選択すると難無くコンピュータルームへ。

 開幕ファミリーコンピュータの8ビットCPUの限界を感じながらも自身の知能の低さをも体験してしまい、これはすぐにでも超能力を手に入れなければ私のこの先の人生が思いやられるなと感じさせてくる。

 まさか自身にも感じてしまう、つまりフィールしてしまうとは。これにはこれからもフィールはしていきたいなと思わされた。

 No pain, no FEEL、痛み無くしてフィールはできない。

 NO FEEL NO LIFE、フィールの無い人生なんてありえない。

 Feel for All, All for Feel、フィールはみんなのために、みんなはフィールのために。

 もうずっとフィールしていこう。

 そう、人生とはフィールすることで開かれる。

 しらんけど。


▲こんにちは エスパーキヨタです
 えっくしが エスパーになれるように
 ぼくが ガイドやくを つとめよう

 はい、こんにちは、宜しくお願いします!


▲イメージできるせかいは すべて げんじつの
 せかいに おきかわる ものなんだ。
 すべては イメージが つくっているんだ!

 キヨタいきなり凄いこと言うね、でも私には超能力が必要なんだ、さっきそう感じたからね、そうフィールしたから。だからこそこのキヨタの言葉をしっかりと受け止めよう。

 すべてはイメージがつくっている、そういうことっすねキヨタさん!


▲とりあえず きょうは じしつに もどって
 あしたからの トレーニングに そなえて
 ゆっくり やすもう。 それでは またあおう!

まじかよ。


 来て10秒足らずで帰って休んでまた来いとか、先ほどはフィールしていきたいと考えさせられたが、このキヨタには一切フィールしたくないと思わせてくる。NOキヨタ、 NOフィール、キヨタもいらないしフィールもいらない。

 施設内を案内される訳でもなく、施設内のルールを説明される訳でもなく、どうでもいい三行で終わる話を聞かされて終わりとは。

 かといってここにいてもやる事もなく、行く所もないので仕方なく自室に戻ると「おやすみなさい」といきなりコンピュータに話しかけられ、不感症で感じることをしない物で溢れた部屋の中で即就寝させられる。

 そうして寝て起きて間髪入れずに、

「おはよう! さあ、コンピュータルームへ行きなさい」

 と、テンション高めに起こされては、寝起きに行き場所を命令口調で伝えられる。

 数秒で帰らせたがるキヨタに、無理やり寝かしつけてくるコンピュータ。相手の未熟さを表す言葉として「顔を洗って出直してこい」や「くそして寝ろ」という乱暴な言葉があるが、それ以下の待遇を受けては恐ろしくなってくる。

 私はこれからこいつらと上手くやっていけるのかと不安になるも、これも超能力を得るためなのだから仕方ないと覚悟を決め、コンピュータルームへ。

 すると何やら姿勢のトレーニングが始まった。


▲きほんしせいの れんしゅうをしよう。
 いちばんらくだと おもう しせいをつくるんだ
 そして そのまま ぜんしんに ちからをいれる!


▲これいじょう がまんできないと かんじたら
 いっきに ぜんしんの ちからをぬくんだ。
 これが リラックスの ポーズだぞ!


▲それでは もういちど れんしゅうしよう
 ちゃんとできたら Aボタンでおわろう。

 よし、やってみるか。

 まず横になるのが一番楽だから、横になってと。

 それで力を入れて、いっきに力を抜く。

 ふー、なるほど、よし、終わったしAボタンを押すかー。


▲こら ちゃんとれんしゅうしないと だめだぞ!
 もういちど しっかりやるように!

真剣にやったんだが怒られた……。


 てかキヨタはちゃんと私をみているのか?

 そう思いながらも見てる訳ないよなとむしろ冷静になってしまって、私はいったいひとりで何をやっているんだと虚しさを覚えてしまう。

 キヨタの指導はまだまだ続く、次は呼吸法らしい。


▲まず からだにエネルギーを とりこむつもりで
 ゆっくりと おおきく いきをすいこむんだ。
 そのまま すこしのあいだ いきをとめる・・・・・

 エ、エネルギーがよくわからんのだが……。


▲そして すったときよりも
 ややゆっくりと すこしづつ いきを はくんだ。
 あせらず なんども くりかえすことがだいじだぞ!

 お、おう、あせらないようにするよ……。


▲それでは がめんにあわせて れんしゅうしよう
 なお やめるときは Bぼたんをおすこと。

 おお! エネルギーがよくわからなかったから、画面をみせてくれるとわかりやすくていいかもね、参考にさせていただくよ、キヨタさん!


▲すって・・・

えぇ……



▲すって・・・

下ネタかよキヨタ!



▲とめて・・・

いや止めるの遅すぎだろ!


 吸引力でここまで伸ばしちまってお前、吸い上げ過ぎてもはやアレ・・が脳に直撃してるじゃねえか!

 それともその止めてというのは、

「あの、誰か私のこれを静めてくれませんか・・・」

 という意味か?

 うーん、まあ、それはその、吸ってたら時期におさまるのかもしれないが。

 次もどうやら何かあるらしい。


▲Aボタンをおすと たまが ひょうじされる
 その たまを めをそらさずに じっとみつめる。
 しばらくすると たまが てんめつをじめるぞ!

次は玉か。


 確かAボタンを押すんだったな。

 よし、押したぞ。





おおっ!










 確かにボタンを押すことで玉が点滅を始めたが、それ以上はボタンを押しても特に何かある訳でもなかった。

 いったいなんなんだこれは……。


▲リラクゼーションは できたかな?
 きょうの レッスンは これで おわりだ。
 あしたは ちょうのうりょくの きそくんれんだ!

もう終わりかよ


 時間にして約3分。まあ、なんというか、アレ・・を吸わせたり点滅する玉を散々みせつけた挙句にそのリラクゼーションという言い回しで「出来たかな?」と言われても、もはやそれは行為におけるフィニッシュの要素としてでしか捉えられない。

 とにかくようやく明日には超能力の基礎があると言われたし、これは明日に期待する他ないな。明日を乗り切れさえすればこれで私もエスパーの仲間入りという事だ、もはやこの要素だけがここでの生活の心の支えになっている。


▲あしたは マインドパワーを つかうから
 へやに もどって めいそう してくるんだぞ!

 そうして自室に戻るとコンピュータにフィールする事で瞑想が始まった。


▲キヨタの言う「めいそう」が始まる。




えーっと……


 つまりキヨタの言う「めいそう」とは私のイメージしている瞑想・・では無く、めいそうという名称のことなんだろう。つまりこの画面に映っているものが所謂「めいそう」なのであって、それを今行っているということか。

 つまりめいそうとは瞑想ではなく「めいそう」である。

 ではそのめいそうとは何かと聞かれれば、めいそうとはなんかこう丸っぽいやつ、ということだ。


▲めいそうはBボタンを押すことで終了する。

 そうしてそのめいそうが終わると当たり前かのようにこちらの都合もおかまいなしにコンピュータに無理やり眠らされる。

 そして寝起きにすかさず、

「さあ コンピュータルームへ むかいなさい」

 と、ひらがなとカタカナと謎の空白スペースを駆使してコンピュータの案内が始まる。流石にこれで二度目であるから順応してそのままコンピュータルームへ。


▲マインドレベルが かなり いいみたいだね!
 きょうは このスクールで トレーニングする
 ないようを しょうかいするよ。

 マインドレベルに関してはよくわからんが、昨日のリラクゼーションのストレスによってストレスホルモンが発生して、コルチゾールが脳内に3ガロンは発生しているだろう。


▲これから とうしの トレーニングをはじめます
 5しゅるいの カードが ひょうじされたあとに
 うえのほうから ふせたカードが でてきます。


▲いしきを しゅうちゅうし
 ふせた カードのしゅるいを とうしして
 これだとおもうカードをえらび Aボタンをおします

 ほう、これはなんかそれっぽいね、頑張ってみるか。

 どうやら平均ヒット数は4回らしい、ならばとりあえず4回のヒットを目指すことにしよう。


 カードに絵柄が描かれたものが5枚現れる、このどれかからひとつを選べということらしい。

 ここは迷っても仕方ない、適当に右端の赤十字にしよう。

 戦争や大規模な事故や、災害の際に敵味方区別なく中立機関として人道的支援を行う「国際赤十字」に似たこのマーク。

 私をこいつを選択する、来い赤十字!

 ま、丸か……。

 でも、懲りずに赤十字!

 四角か……。

 赤十字よ、我に力を!


 よし、当たった!

 このまま私は赤十字しか押さないぞ、このまま全部連打してしまえ!


 おお!

 赤十字のみで平均の4ヒットを超えて5ヒット獲得してしまったぞ!

 やった、やったぞ、私は平均を超えたんだ!

 適当に連打したおかげで5ヒットもしたぞ、やったー!


ってなんやねんこれ……


 連打で平均超えるとかただの運ゲーであるし、これをゲームでやる必要が果たしてあるのか、そもそもこんなものは適当にトランプでも並べてやればいいだけのことのような気がするが、まあキヨタの言うマインドパワーとかいうやつがなんとなく絶好調だとでも思っておけばいいのか。


▲これから ねんりきの トレーニングをはじめます
 がめんに ランプがひょうじされますので
 ランプが つくような ビジョンをうかべます

 次は念力か。


▲いしきを しゅうちゅうし Aボタンをおします。
 ねんりきが はたらくと ランプがつきます。
 なお へいきん ヒットすうは 20かいです。

 何かよくわからんが、まあとりあえず20回目指すか。


 さて、おそらく真ん中のシャボン玉らしきものがランプだろう、これが発光するのかな? 

 よし、Aボタンを押したぞ。


 赤くなった!

 じゃあためしに連打してみるか。


 こいつめちゃくちゃ赤くなりやがる!

 よし、もっと連打してやるぞ!


 きたきたっ、やったぞ!

 適当に連打したら21ヒットもしたぞ!

 平均とされてる20より1多いじゃねえか、すげー!

 ただ手元にあるボタンを連打するだけで平均を超えたんだ、こんなことってあるんだ、よっしゃあっ!


ってだからなんなんだよこれは……


 ここでひとつ大きなため息をついてしまう。それを文字で表すには表現に困るが、ゲロが出そうなぐらいのため息をついたとだけ伝えておきたい。そんな嘔吐のようなため息が出たのは人生でこれが初めてかもしれない。ランプはお味噌汁かよ。


▲これから よちの トレーニングをはじめます
 がめんに 5つのランプがひょうじされます。
 そのうち 1つが これから ひかりますので

 またランプか。


▲どれがひかるか よちのうりょくを つかって
 カーソルで えらび Aボタンをおしてください。
 なお へいきん ヒットすうは 4かいです。

 予知能力か、語感の響きはいいんだが嫌な予感しかしない。


 おおっ!

 ここからどれが光るのか選べというのかっ!

 なるほどなるほど、という事は5分の1の確率でいけるのかっ!

 よーっし、これからまた適当に選んで連打でもするかー!

 それそれ連打連打ー!


って最初にやった記号当てと何が違うのか教えろキヨタ!



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