藤井風 MV「帰ろう」 バルーンリリースについて
藤井風の帰ろうという曲は、多くの人々に共感されたくさんの感動を与えてくれた。
私が思う違和感は、赤い風船が空に向かって一斉に飛んでいくところだった。
これもまた、ラストシーンで盛り上がる感動が一気に削ぎ落とされ、はっとさせられた。
風船には、生とした魂を投影しているのだと思うけど、バルーンリリースは、環境破壊を助長するアクションである事には間違いない。
もしかしたら、一部CGであるかもしれないけど、他の表現方法があったのでは、とついつい考えてしまう。
ゴム製であれば、土にかえるなんて言われているけれど、空に登って破裂して地上に落ちてきた時点でそれはゴミだ。それらのゴミは当然ゴミ箱目指して落ちてくるわけではない。
アメリカやイギリスを始めとした先進国では、バルーンの野生生物への如何なる影響力を減らすことに真剣に向き合われている。
飛ばされたバルーンの5~10%が原型を留めて地上や海に落下する。
土には還るので「エコ」と言われるが、その分解スピードは非常にゆっくりで、海水で分解されるには1年かかることも。
また、劣化前のゴムは、動物が飲み込むと大変危険である。
オーストラリアを拠点とした Pro Environment Balloon Alliance (PEBA)(プロ環境バルーンアライアンス)も“ゴミとなるバルーンリリースを廃止し、可環境へのインパクトを減らす法令を支持する。とある。
THE SOLUTION IS TO BAN DELIBERATE BALLOON RELEASES,
NOT BALLOONS.
世界中で風船は飛ばすな!重しをつけて、楽しめ!という風潮の中でのこのMV。
日本の環境への意識の遅れが露わになっているかのようで悲しかった。
才能溢れ、日本を代表して海外に誇れるアーティストである藤井 風であるからこそ、色んな側面を意識したアートディレクションが行われる事を切に願う。
【余談】
1986年にオハイオ州クリーブランドで行われたバルーンフェスティバル。
このイベントは、大きな汚点として歴史に名を残すことになった。
風船が空に放たれた後、近くの空港は滑走路を閉鎖を余儀なくされ、風船の嵐に巻き込まれて行方不明になった釣り人2名の救出が、大量の風船が浮かぶ湖では困難で、その後遺体で発見された悲劇。
風船は、いかなる理由であっても空に飛ばすべきものではない。