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101回箱根駅伝復路雑感

箱根駅伝、終わってしまいましたね。ロスです。もう何もしたくないですが、生存本能というものには逆らえないもので今も平然と息をしています。
なかなか今回も面白いレースとなりました。振り返っていきます。

【優勝・青山学院大学】往路優勝 復路2位
往路を逆転で優勝した青山学院。優勝に向けての現実的なライバルは4位の駒澤のみといった展開。
6区野村が衝撃の区間新記録。56分47秒。館澤の記録はしばらく破られないものだと思っていましたがまさか30秒上回ってくるとは思いませんでした。というか数年前まで57分台が出るかで盛り上がっていた記憶が…。野村自身は56分台出す気満々でインスタのストーリーで、56分台を出すためのラップタイムを提示して、「沿道から声掛けしてほしい」と呼びかけていました。この記録でMVPおよび金栗四三杯も獲得しました。
こうなれば7区からは青学ピクニックラン。7区白石が区間9位はもう一つ物足りなかったものも、6区の恩恵を受ける形となりました。
そして8区の塩出が2年連続の区間賞。全日本8区で國學院、駒沢に逆転され優勝を逃した悔しさを晴らしてくれました。しかしあれですね。8区の区間記録いい加減誰か更新してくれませんかね。区間記録保持者の東海大の小松が前半ゆっくりで後半だいぶペース上げたせいで、毎回前半に「区間記録を上回るペースです!」っていう実況が入って飽き飽きしてるんですよね。来年の塩出に期待大です。
9区主将田中が区間2位で後続との差をさらに広げ優勝を決定づけました。状態上がってないという噂だったので心配だったのですがどこ吹く風ですね。給水のシーンがやはり印象的でした。乾杯して2人で飲むってシンプルに面白かった。いやはや自分ももっと面白い人間になりたいものですね。
そしてアンカー小河原が区間歴代2位の記録で区間賞。原監督が10区に1年生を起用したのは史上初のことで、その起用に応える素晴らしい走りでした。青学の1年生世代は小河原に加え、折田、飯田、安島、佐藤、黒田然、遠藤と粒揃い。原監督もこの世代が4年生になったら10000メートル28分台を10人揃えたいとのことでこの世代に要注目です。
総合新記録も樹立し充実の箱根となりました。

【2位・駒澤大学】往路4位 復路優勝
往路は伸びずも復路で青学を上回り力を見せつけました。下級生主体のチーム編成でしたね。
6区伊藤が史上5人目の57分台で区間2位。この走りをして青学と差を広げられるとは思ってもいなかったでしょう。もともと平地での走力も高い伊藤、来年は往路で起用されるのか、はたまた3度目の6区で56分台を狙うのか要注目です。
7区佐藤圭汰が圧巻の区間新記録。いやこれもっと騒がれていいレベルの記録ですよ。もともと61分台も1人しかいなかった中で、別格の60分台。区間2位には1分40秒もの大差をつけています。怪我明けで状態は7割ほどだったらしいのですが、それでこの記録とは…末恐ろしいですね。来年はフル稼働が見たいです。
8区から10区は2年生トリオを並べました。今年に入って一気に台頭してきた学年です。8区安原が区間4位、9区村上が区間5位、10区小山が区間2位と想定以上の安定感を見せつけました。青学との差が2分切ってきた中で突っ込まざるを得ない展開で全員が区間5位以内でまとめてきたのは結果以上に実力が評価できます。来年にはもっと強くなってると思いますし、出雲5区2位の島子を含めて期待が大きい世代です。

【3位・國學院大学】往路6位 復路3位
往路苦しんだ國學院も復路で挽回し、三強の意地を見せつけてくれました。
6区嘉数が区間16位とで遅れる形に。想定とは違った区間配置になったそうですが、それにしても國學院はまたしても山で苦戦する結果に。前田監督のインタビューでは、原監督等に相談して1年間かけてしっかり山対策をしていくとのことです。
7区辻原は区間2位タイの力走。地元二宮を2年連続で快走しました。本来はここで青学に追いつきたかったはずですがちょっとビハインドが大きすぎましたね。それからタスキを落としたのがもったいなかった。あれで15秒は損してますね。タスキと単位は落とすなってか。爆笑。
8区佐藤は区間7位も3位以内を射程に入れる好走。もともと5区候補と聞いていたので5区を走っていたらどうなっていたかも非常に気になるところ。この4年間で大きなレースに出てきたのは2年前の箱根10区と今回くらいなものですが、少ないチャンスでインパクトのある走りを見せてくれました。
9区上原は前半は良いペースで走っていたものの差し込みが来たようで区間6位。来年はエースとなるべき選手なだけにこんなところで苦戦している場合ではないというのが正直な感想です。それにしてと「差し込み」って言葉、陸上長距離でしか聞かないですよね。なぜもっと浸透しないのだろう。
10区吉田が早稲田との3位争いを制して三強のメンツを保ちました。ケツメイシの息子ということで走り以外で注目を集めがちですが、この結果で國學院の来年以降の箱根に欠かせない存在という認識になりました。正直走ると思ってなかったですし。お父さんも大喜びでしょう。

【4位・早稲田大学】往路3位 復路10位
往路を下級生だけで最高の形で終えて迎えた復路。三強崩しの目標に最も違い存在として注目していました。
6区山﨑が区間5位の力走。上りだけでなく下りの山問題も解決してしまいました。大平台以降で駒澤伊藤に追いつくわけですから尋常じゃない。上りの工藤と下りの山﨑、どちらもまだ2年生。私と同い年ですね。来年以降が楽しみです。私が早稲田で彼らと切磋琢磨している世界線もあったのかな。ないな。
7区〜10区を実績のあるオール4年生で固めてきました。このため6区終了時には非常に三共崩しに近づいたと思ったのですが…。結果的には7区伊藤(主将)が区間11位、8区伊福(延岡西日本マラソン優勝)も区間11位、9区石塚(10000m27分台)が区間15位と3人連続で区間二桁に沈み、ほろ苦い箱根駅伝ラストランとなりました。唯一区間5位と力走した10区の菅野もラスト勝負に敗れ目標まであと一歩ともどかしいレースとなってしまいました。

【5位・中央大学】往路2位 復路13位
往路を100点満点の形で終えた中大。青学との差は2分以内でしたが流石に復路は阿部が使えないなど青学との差は歴然で現順位のキープが現実的な目標でした。
6区浦田が区間6位と2年連続の好走。幸先の良いスタートとなりました。5区の園木も区間6位と山2区間で結果を残しました。今回の箱根では5区6区ともに区間6位以内に入ったのが5大学(青学、駒澤、城西、早稲田、中央)と山対策ができている大学とできていない大学の差が浮き彫りになりました。その中で結果を残した中央ですが、それでも山だけで青学に4分34秒離されているということで青学の傑出度合いも見て取れます。今回の箱根、青学が山で勝ったと言っても過言ではないでしょう。
7区ルーキー岡田は区間7位。同区間を走った洛南高校の先輩、佐藤圭汰と一時は並走するも結果的にすぐに離され、2分半ほどの差をつけられたのは力のなさを実感する機会となったのでは。世界レベルの走りを体感した岡田の来年からが楽しみです。それにしても洛南の箱根での活躍率は高いですね。先述の佐藤圭汰、岡田に青学の5区区間新の若林、中央の2区溜池も洛南です。三浦龍司も洛南出身ですしね。京都市民の誇りです。まあ2年も経ってないですが。
8区佐藤が区間最下位のフラフラの走り。体調不良の昨年の阿部より1分以上遅いということでおそらく何かアクシデントでしょうね。一気にここで順位を落とすことに。まだ箱根予選、全日本とまとめてきて期待もしていましたが、1年生ですしこれからの巻き返しに期待です。
それでもここからズルズル行かずに9区吉中、10区藤田で前との差を詰め5位まで返り咲いたのは収穫ではないでしょうか。今年走った8人が来年も残りますし、再び来年優勝にチャレンジしてほしいものです。

【6位・城西大学】往路7位 復路8位
往路はうまく噛み合わず一時はシード争いに巻き込まれるかとも思ったのですが、逆に順位を上げてきました。
6区ルーキー小林が一年生記録となる好記録で区間3位。城西の6区は出世区間とも呼ばれていますし、来年以降エース候補となるのか、あるいは山下のスペシャリストとなるのか期待大です。
7区三宅が区間14位、8区岩田が区間16位と苦しみ、この7区8区でシード権争いをしている大学が軒並み好走をしたため、シード争いに巻き込まれそうになりました。戸塚中継所時点ではおそらくシード権の大学からもう前に見えていたのでは。
しかしこのピンチを救ったのが9区桜井。区間賞の走りで一気にシード争いを抜け出しました。桜井に関してはいぶし銀といったイメージで、ここまでの走りを見せる存在だとは思っておらずビックリしました。いやはや失礼いたしました。舐めてました。来年は往路も見えてくるであろう存在に一気に躍り出てきました。
10区中島も区間7位の力走で順位をキープして6位でゴール。簡単にはシードを落とさない存在に成長した印象。まだ若いチームですしこれから優勝争いをしていく存在になれば面白いですね。

【7位・創価大学】往路5位 復路11位
キラリと光る走りを見せた選手もいるのですが、経験者が力を発揮できずに順位を落としてしまいました。
6区の前回区間3位の川上、9区の主将吉田凌、10区のエース候補小池と実力者を3人そろえてさらなる上位を伺おうとしたのですが、結果的にこの3人が足を引っ張ってしまうという展開。この展開は創価大学の人間でさえ予想できなかったのではないでしょうか。
一方、7区織橋が区間8位、8区ルーキー石丸修が区間11位と初出場組が粘りの走りを見せたのは来年以降への大きな収穫でした。それでも小暮、石丸と主力が走れなかった影響を感じさせる走りでしたね。


ここまでお読みになった皆さん、すでにお気づきかと思いますが、そうです。疲れてきました。
ここからは各大学ごとに一言で
【8位・東京国際大学】
もう留学生頼りとは言わせない日本人の強さ光る
【9位・東洋大学】
石田、梅崎、松山欠いてシード取るって凄すぎ
【10位・帝京大学】
走るべき選手がしっかり走った叩き上げ集団
【11位・順天堂大学】
予選で1秒に笑い、本戦で7秒に泣く
【12位・日本体育大学】
往路10位・復路9位、なぜシードが取れない
【13位・立教大学】
終盤までシード争いに絡んだことが大きな財産に
【14位・中央学院大学】
吉田礼志の力走に報いることができず
【15位・法政大学】
ほぼ空気。勝ち筋が全くなかった。
【16位・神奈川大学】
あの展開でよくぞ16位まで上げてきたという印象
【17位・専修大学】
この大学が箱根で活躍するイメージが湧かない
【18位・山梨学院大学】
8区3位の阿部を始め随所に光るものあり
【19位・大東文化大学】
負の連鎖とはこういうこと、こんなことになるならワンジルのラストランが見たかった
【20位・日本大学】
留学生で稼げず、日本人で耐えれず

【来年以降の展望】
 来年の優勝候補として今回の三強に加えて、早稲田大学が入ってくるかなと予想。往路3位の今年のメンバーが全て残り、鈴木、佐々木と全大学No. 1のルーキーが入ってくるのはかなり大きいです。。ただ伊福や菅野のように一般組から箱根を上位で走れる選手が出てこないと選手層で負ける恐れがあります。
 青学は太田、鶴川、若林、野村、白石、田中の6人が卒業。上位校で最も穴が大きい大学となります。ただ青学の選手層を持ってすればすぐに埋まりはするでしょう。来年の主力は現一年生世代となる若い世代になってくると思うので経験値がどうか。それから未だ箱根出走がない2年生世代からの台頭がないと厳しいですね。
 駒澤は来年結構勝負の年になるのでは。今年走った9人が残る布陣は強力。佐藤圭汰、山川中心にエース力もトップクラスですし、篠原が抜けた後の精神的主柱がどうなるかがキーですね。
 國學院も同様。戦力は充実していますが、強い國學院を作ってきた平林、山本と精神的な柱が抜けるのは痛いですよね。山問題も1年で解決するとは思えずなかなか初優勝とはならないかなと予想しています。
 中央も下級生の戦力が非常に大きいですし、抜ける戦力もさして大きくはない。スーパールーキー濱口にも注目ですし、上手く前半シーズンを過ごせば優勝候補に名乗りを上げてくるかもしれませんね。
 この五校以外の優勝は想像できないかな。創価、城西はちょっと抜ける戦力が大きい。特に創価は吉田響の穴を埋め得る選手はしばらく現れないでしょうし、城西も往路メンバー3人が卒業します。
 その他の大学では順天堂は非常に楽しみ。今回の箱根でシードは逃すも復活の糸口は掴んだでしょうし、非常に若い選手が充実しているので再び強い順天堂が見られるのでは。
 今年まさかの箱根出場を逃した東海大も来年が戦力的には充実しているんですよね。絶望的なまでの怪我人の多さと予選会の弱さを克服すれば復帰1年でシードに返り咲く可能性も高いと踏んでます。

 まあこんな私の予想なんか簡単に超えていくので箱根駅伝は面白いんですけどね。

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