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全国高校駅伝と長野県の強さ

2024年の全国高校駅伝。女子は長野東、男子は佐久長聖。ともに長野県の強豪校が優勝した背景などを見ていくと、留学生を起用しない高校でもありますが、とりわけ両校が“準高地”という練習環境を共通点としていることが興味深いと感じました。

長野県といっても標高はさまざまで、長野市内であれば400mを切るくらいですが、佐久長聖高校は海抜740mです。今年、エチオピアの首都アディスアベバ郊外(標高2600m)にある土のグラウンドを走るパリ五輪マラソン金メダリストのトラ選手や、ハーフマラソン世界記録保持者のケジェルチャ選手の姿を見ながら、私はこう思いました。「一年を通して、ずっとここを走っていたら、そりゃ強くなるよな」と。一方で、その景色には既視感がありました。「ここ、両角先生が自らブルドーザーで造成した佐久長聖のグラウンドみたいだな」と笑。

長野東も佐久長聖も、才能のある選手が集まっていることや有能な指導者がいるという前提はありますが、地理的条件が強さに直結しているのは明らかだと感じます。近年、高地トレーニングの効果が認められるにつれ、多くのトップ選手や実業団選手は狙うレースの前にわざわざ長野県の菅平や湯の丸といった高地に合宿を張り、心肺を鍛えてレースに合わせて下山するという手法をとっています。エチオピアの選手たちはポイント練習時に車で3~40分ほど移動し、標高3000mオーバーのエントト山に行くような距離感ですが、標高に差はあれど、エチオピアのような環境が長野にはある。つまり、高地トレーニングが身近な環境にある、ということです。トップ選手がわざわざ出向くような環境が、長野にはそろっているのです。

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