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接地を読む。
「選手の足元を見るのがとても好き」である。市民ランナーでもあったから、シューズにも興味があったのだけれども、以前、箱根駅伝は毎年6回通してみると豪語していたPaulさん(長野県在住)が、「最初はテレビ画面を段ボールで隠して選手の接地だけを見るんです」という狂人発言を聞いて、なるほどな。そんな見方があるのか」と目から鱗が落ちたのです。それからというもの、接地が気になって気になってしょうがない。大迫傑選手の「フォアフット」が話題になるころには、大迫選手の顔ではなく、足元だけにカメラのピントをあわせるくらいの変人になってました笑
そうやって接地にも注目して見始めると、なるほど、選手それぞれの特徴があらわれて面白い。一般的にはヒールストライク(かかと着地)・ミッドフットストライク(足裏中央)・フォアフットストライク(前足部)などに大まかに分類されますが、分類よりも、際立った特徴をみつけていくことに面白さがあることに気づきました。
ある選手を数年かけて定点で見続けていくと、まずは接地からはじめり、だんだんとフォーム(動き)までが変わっていくということがわかっていくのです。つまり、フォームの変化は足元からはじまっているようなのです。一番、覚えているのは、新谷仁美選手の接地の変遷です。2019年ドーハ世界陸上と今では身体も接地も当時とは別物ですからね。
あとは音。同じ接地でも選手によって音の違いがでてきます。一番、印象に残っている音はヴェイパーフライを履き始めたときの設楽悠太選手の足音。多くの選手が「バンっ」と地面を叩くような音をするのに対して、彼だけは「キュっキュっ」地面を叩くのではなく、接地の瞬間に足をひねりながら擦るみたいな音がするのです。日本で一番最初にヴェイパーにアジャストした選手は設楽悠太選手だと思っています。天性の厚底使いといいましょうか。厚底シューズのカーボンプレートと足の動きが噛み合うと、足音まで変わるんだなと気付かされたりも。
なかでも「これは真似できないよなあ」という接地があります。個人的には「超フォアフット」と名付けているもので、見てて気持ちが良いのは、元トヨタ自動車の藤本拓選手、ひらまつ病院の上野裕一郎選手でしょうか。彼らはソールのごく前部を使い、軽いタッチで地面を捉え、そのままかかとがほぼ地面につかずに蹴り出していく。後ろ足が大きく跳ね上がるのも特徴です。最近はこの「超フォアフット」にもうひとつお気に入りができました。國學院大山本歩夢選手の「超フォアフット」です。
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