駅伝と中距離
日本インカレが終われば、出雲駅伝。いよいよ学生三大駅伝が開幕。ここにきて東洋大学の取り組みが面白い。真夏の北海道マラソンに3選手をエントリーし、柏優吾選手が2位でフィニッシュし、大学生ながらMGCファイナリストを獲得。オリンピック、世界陸上で培った競歩ノウハウを投入し明らかに狙って獲りにいったMGC。これだけでもご飯3杯は軽くいけるほど面白さがあります。しかし、今年の東洋大は一味違います。時を待たずして2の矢が放たれたのです。
MDC(ミドルディスタンスサーキット)東京1500mに長距離ブロックから14名がエントリー。
5000mや10000mが主戦場とする箱根ランナーたちが1500mを走るだけでも、かなりの違和感があるのだけど、このエントリーを興味深いものにしているのはMDC東京が9月17日であるということ。この日は日体大記録会の開催日であるのです。
箱根駅伝を目指す数多くの大学が夏合宿の走り込みを経て、その成果をみせるのは、日体大記録会5000m。9月の日体大といえば、大学駅伝界にとっては、新戦力お披露目であり、強豪校にとってはここで出雲駅伝のメンバーが決まると言っても過言ではない大事なタイミング。ここで5000mを走らずにあえて1500mをあえて走るのです。菅平でトレーニングをしていたTWOLAPSの横田コーチに酒井監督自ら声をかけエントリーを打診したという経緯からも、この大量エントリーがゲストランナー的なものではなく、秋以降の駅伝に向けた強化の一環であることがうかがいしれます。
よくよく考えると、北海道マラソンでMGCをとった柏優吾選手は昨年の出雲駅伝のアンカー。駅伝の定石でいえば、経験者を優先させそうなものですが、柏選手は4月から北海道マラソンへの準備をすすめてきた。夏マラソンのダメージは一ヶ月そこらでは抜けきらない。つまり、春の時点で柏選手は出雲駅伝メンバーから外れているということ。
日差しが強く、気温もあがる出雲駅伝のアンカー。とくに昨年の出雲駅伝では数多くのアンカーたちが脱水症状に見舞われました。このときは青山学院大 横田俊吾選手に終盤刺されて総合3位となりましたが、この時点で酒井監督らは柏選手に夏マラソンへの適正を見出していたということかもしれません。
「競歩のアプローチから夏マラソン」が北海道マラソンだとすれば、MDC東京1500mへのエントリーメンバーの顔ぶれから「トラックのアプローチから駅伝・マラソン」というコンセプトが見えてきます。鍵となるのは、世界陸上オレゴン長距離種目における中距離的なラストスパートです。
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