萩ちゃんの第二章
ダイヤモンドリーグ・チューリッヒの前日練習。グラウンドで身体をほぐすディーン元気選手と雑談をしてると、ふと思いだしたかのようにつぶやいた。「そうそう萩谷が復帰するんですよ。」やり投げ選手から突然言われた「萩谷」という名前に「思わず誰?」と聞き返した。「萩谷ですよ。萩谷楓。」ああ、あの萩谷!「そうあの萩谷です」。
一番印象に残っているレースは2021年の福岡クロカン。田中希実選手らを置き去りにして、圧勝したレース。反発がない芝生での走りに脚力のない女子選手たちが腕を横に振る女の子走りでロードやトラックのような走りができないなかで、萩谷だけは、腕を縦に大きくふり、まるでうさぎのように軽やかに駆け抜けていく。「おおっ!かっこいい!」と素直に思った。それ以来、引退まで「エディオンの萩ちゃん」を追いかけ続けてきたところがある。
「最近、トレイルとか走ってるんだよね。SNSでみかけたよ」「いや、そういうのとは違って、オリンピックを目指して本格的に競技復帰するんですよ。なぜか、佐藤友佳さんが自転車で萩谷を引っ張ったりしてて。なあ?」休養がてらチューリッヒまで同行していた、おなじくやり投げの佐藤友佳選手に水を向けると。「そうなんですよ」と笑いながら言う。
身体だけでなく、心も大きく、物怖じしない上に、英語も堪能。洒落や冗談も通じるとあって国際試合におけるディーン元気選手は陸上日本代表の父みたいなところがある。長距離選手の萩谷選手が相談したのも、なんとなくわかる気がする。ちなみに、陸上日本代表の母は寺田明日香選手と勝手に決めている笑
で、当時の話では当初は所属もコーチもいるわけではなく、関西を拠点にトレーニングをはじめ、将来的にはマラソンでオリンピックを目指すのだという。「そのうち出てくる話だと思うので、心にとめといてください」言われたとおりに心にとめておいたら、「そのうち」は意外に早くにやってきた。
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