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準備の徹底

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世界陸上オレゴンの2ヶ月前。プリフォンテーンクラシックを取材するために開催地オレゴンユージーンへ。プリフォンテーンクラッシックはダイヤモンドリーグの中でも珍しい2日間開催。わざわざ日本から行くなら2日間開催のほうがたっぷり楽しめる。せっかくだから世界陸上オレゴンのロケハンもかねて滞在期間を伸ばすことにした。

ちょうどTrackTownJPNで東洋大酒井俊幸監督と富士通の松永大介選手がゲスト出演したこともあったので、お二人に競歩コースのロケハン映像を送ることにした。松永選手は世界ジュニアでユージーンに来てはいるが、そのときはヘイワードフィルド、つまりトラックでの競歩レース。世界陸上の競歩コースは世界陸連のサイトで「このあたり」という地図表示があるだけで、全く想像がつかないだろうと思ったし、コース動画を競歩チームで共有してもらえばいいと考えたからだ。

競歩というのは、とにかく脳を酷使するスポーツだ。マラソンと違いペースメーカーもつかないこともあって、序盤からペースの上げ下げといった勝負の駆け引きだけでなく、警告ボードで各選手の状況も把握しておかねばならない。事前にコース映像を見て、「見慣れた景色」として脳が認識しておけば、レース中も脳に余計な仕事をさせずにすむ。

レンタサイクルを借りて、地図にある場所を訪ねることにした。陸上競技場ではなく、オレゴン大学のアメリカンフットボールグラウンド、オーツェンスタジアム前の道路が競歩、及びマラソンのスタート・フィニッシュ地点。

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これが大学の競技場?!と、その規模にびっくりするのだけど、生島淳さんによると、「オレゴンは上の下くらい。これくらいの規模の大学はアメリカには無数にあるのです」という。

スマホで動画を録画しながら、レンタサイクルでコースを往復する。酒井監督と瑞穂コーチに動画を送ると、すぐに返事がきた。日差しや風向き、そして路面状況といった質問に答えていった。お役にたてたかなあと思っていたら、競歩チームの対応はその斜め上を行くものだった。オレゴンに一足早くついた瑞穂コーチから「疑似コースを作りました!」と。

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現地に早めに入った競歩日本代表チームは、大会前から、本来の競歩コースから並行に数百メートル南下した場所に「疑似競歩コース」を計測してつくり、20km、35kmのレース時間の気温、風向き、日差しと同条件での練習ができるようにしていた。レース日まで出走時間となるべく近い条件で練習をし続けることで、ユージーン順化をしつづけていった。

写真中央にいるのは練習を終えた山西利和選手。日差しは強いとはいえ、夏レースとしては暑すぎないコンディションに「競歩にとっては最高のコンディションじゃないですか?」と訊くと「ちょっと乾燥しすぎですね。大陸に住む選手たちは、こういう気候に慣れてますが、日本はここまで乾燥しないですから。ぼくにとっては悪条件になったほうが有利です。だって、向こうが落ちてきてくれますからね笑」と、さすがの分析をみせた。そして金メダル。

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