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クールだけど、その方法論は一番泥臭い。

いつもクールな印象がある大迫傑選手が
珍しく感情を爆発させた姿を目の当たりにしたことがある。

2012年の日本選手権10000mでロンドンオリンピック代表を逃したとき。2016年日本選手権10000mのゴールシーン。
(前年、日本選手権5000m決勝。ラストスパートで差し切られ
   ゴール直前に村山紘太にやられたガッツポーズをおかえしした)
そして、今回の東京マラソンである。

大迫傑の強さの本質は「勝つまでやりつづけること」にある。
いつもそうだ。高い壁に弾き飛ばされては、
一番強いものが集まる場所に身をおき、
一番下からスタートしてトップとのギャップを埋める努力をしつづける。

クールだけど、方法論は一番泥臭くてかっこ悪い。
勝つためには、かっこ悪いこともいとわない。

以前、出雲駅伝のゲスト解説としてテレビ出演したときに、
不慣れさを指摘されたことに対して
「こういうことはトレーニングすればできるようになる」
と、意に介さなかったことがある。
走ることも、話すことも、彼にとってアプローチは同じなんだろう。
いまや、ユーモアを交えながら話す姿をアプリ動画などでみかける。
(ひとり喋りというのは本当に難しい)
たぶん、これも自分なりにトレーニングをしたのだと察する。

これまでの彼には「いかに負けないか」というプランがあったように思う。
初マラソンのボストン。そして日本記録を更新したシカゴ。
ボストンはゲーレン・ラップ、シカゴはモーファラーに注目が集まり、
日本とは違い、彼はさほどプレッシャーやマークをされることなく、
チャレンジャーとして自分のペースでレースにのぞみ、
すすめることができた。

東京マラソン2019、そしてMGC。
名実ともにNO.1ランナーとなり、
その言動が広く知られるようになった。
「下馬評は圧勝」という大迫傑の前に現れた
最大の難敵は「プレッシャー」であった。

今回、大迫傑が感情を爆発させた理由。
それは「プレッシャー」という敵を克服できたからではないか。
自分の内面に打ち勝ったからこそ、感情が爆発した。
直接、本人に聞いたわけでもないから
本当のことはわからないけれども。

でも、スピードだけでなく、
メンタルをもコントロールできるようになった大迫に死角はない。
あとは速くなるだけでいいのだから。

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