学校におけるプロジェクターの活用
大型提示装置として学校でよく使われるものに、大型テレビとプロジェクターがあります。
本校では全ての教室と特別教室に大型テレビ(先日倒産したFUNAI製)があり、普段の授業で頻繁に活用されています。
プロジェクターは、行事や集団での活動、研修会などに活用されていますが、スクリーンを出す手間がかかります。
私はスクリーンが常設されている部屋で授業をすることが多かったので、県内の特別支援学校の教師の中では授業でプロジェクターを使うことが多いほうではないかと思います。
今回はプロジェクターについて思うことを書いてみます。
プロジェクターの思い出
子どものころ
私がプロジェクターで覚えている一番古い記憶は、小学生のころ、デパートのレストラン街でCRTプロジェクターを見たことでした。
当時は、何で赤・青・緑のランプの光をスクリーンに投影するとカラー映像になるのだろうか、1つのランプにできないのだろうか、と不思議に思ったものでした。
小中学生のころ、大型提示装置と言えばOHP(オーバーヘッドプロジェクター)でした。
でも、授業で使う先生は少なかったですし、たまに使った先生も出来合いのトラペンを使っていました。
28型くらいのブラウン管のテレビをクラス全員で見ていた気がします。
大学には講義室にプロジェクターがあり、講義の中でVHSのビデオを流すのに使われていました(学園祭の夜に〇〇〇〇ビデオを流した強者がいるとかいないとか)。
卒業研究の発表会ではOHPを使ったので、自宅にあったAppleのColorStyleWriter2200(当時はアップルでプリンターを売っていたんですよね)でインクジェットプリンター用のOHPシートに印刷しました。
高価で使えなかった初任のころ
初任の学校にはプロジェクターが1台ありました。
当時(2002年頃)のプロジェクターは定価で100万円ほどだったため、ICT関連の研究助成で購入していたようでした。
プロジェクターの利用方法としては、デジタルDVビデオカメラをRCA(赤白黄)でつないで行事の事後学習に使うのが多かった気がします。
ランプが切れたらアウトだと言われていたので、恐ろしくて普段の授業では使えませんでした。
あと、光源が暗かったので(1,200ルーメンだった気が)、部屋を暗くする必要がありました。
うちの県の特別支援学校では、2001年にMicrosoft Office 2000 Professionalがインストールされたパソコンが各教室に導入されていため、一部の教師が授業や発表でPowerPoint2000を使い始めていました。
研究発表会に行くと、研究よりもスライド作成に時間がかかったのではないかと揶揄したくなるほど豊富なアニメーションを入れたPowerPointスライドを作るのが流行りになっていました。
安くてコンパクトに
2011年に異動した学校では、初任校と同じ100万円の暗いプロジェクターを使っていました。
ある学校の説明会に行ったとき、コンパクトなプロジェクターをひょいと持ってきて準備しているのを見ていいなと思い、調べてみると、10万円程度で2400ルーメンのものが買えることがわかりました。
虎視眈々と買える機会をうかがっていると、ある時10万円ぐらいの物品を寄贈してもらえるという話があり、すぐに「プロジェクター!」と声を挙げたところ、買ってもらえることになりました。
明るいプロジェクターがほしい
今の学校で、コンピュータ室にあった2400ルーメンのプロジェクターを使って授業を始めると、大問題に気づきました。
部屋の両側面がガラス張りで暗幕が無いので、時間によっては太陽光が明るすぎて投影した映像が見えないのです。
窓ガラスに紙を貼るのは防炎上の問題があります。
暗幕を買う予算はありません。
明るいプロジェクターが使いたいと思い、4200ルーメンの中古のプロジェクターを自腹で購入しました。
解像度もFull HD(1920×1080)で、文字が格段に見やすくなりました。
でも、私物では私が異動した後の人が困ります。
また虎視眈々と狙っていると、ある事業に採択され、補助金で4800ルーメンのレーザー光源のプロジェクターを購入することができました。
プロジェクターの選び方
明るさ
今の学校に3600ルーメンのものがありますが、教室でも体育館でも問題なく使っています。
もっと明るい方が見やすいですが。
2000ルーメンでは暗幕で部屋を暗くできるなら何とかなりますが、教室等では普通のカーテンで電気を消しても厳しいです。
解像度
最近のディスプレイはFull HD(1920×1080)のものが増えてきています。
プロジェクターの解像度が低いと、解像度の低い方に合わせてしまうので、ノートパソコンの画面の解像度も低くなる、つまり、表示される範囲が狭くなります。
Full HDのプロジェクターなら、ノートパソコンの解像度の変更が無いので違和感が無いです。
でも、価格が高くなりますし、プロジェクターはスクリーンからある程度離れて見るので、XGA(1024×768)でも問題は無いと思います。
そうは言っても、Full HDの精細な投影画面を見てしまうと見劣りしますし、文字は格段に見やすくなるので、アクセシビリティの観点からもFull HDが望ましいです。
光源
ランプ式は安いのですが、玉切れが起きるとランプ交換が必要、起動が遅い、などの欠点があります。
レーザー式だと玉切れが無く、起動も速いのですが、高価です。
接続方式
昔はアナログRGBケーブル(VGAケーブル)が主流でしたが、今はHDMIケーブルが主流です。
機種によってはMiracastに対応していて、キーボードの「Win」キーを押しながら「K」キーを押下すると無線で接続できるものがあります。
でも、機種による相性があるようで、1時間ぐらい経つと勝手に接続が切れてしまったり、プロジェクターは見つかるのに接続できなかったりすることがあります。
無線を使う場合も、安全策としてHDMIケーブルを用意しておいた方がいいです。
また、Wi-Fi接続とMiracastによる接続のどちらか一方しか選択できない機種だと、設定を変えてしまうことでクレームが来ることがあります。
FireTVやChromecastを接続すれば、ミラーリングすることもできます。
LANケーブルで接続できる機種もあります。
プロジェクターのトラブル
プロジェクターはある程度の人数に向けての提示に使うため、トラブルが起きると多くの人に迷惑をこうむります。
よくあるトラブルと対応策を書いてみます。
断線
「ケーブルをつないだら映像全体が緑がかっている。」
「映らない。プロジェクターがPCを認識しない。」
本当によくあるのが断線です。
RGBケーブルだと、「コネクタのピンが1本折れている」「途中で被膜が破けて断線している」などがあります。
HDMIケーブルだと、「コネクタが曲がっていて接触が悪くなっている」ことが何度もありました。
対応策としては、予備のケーブルを用意しておくことです。
10mのケーブルも断線することがあるので、予算を見つけて予備を買っておかないと、いざというとき困ります。
昔、ビデオカメラ用の4極ミニーRCA(赤白黄)ケーブルが断線して音が出なくなり、即席でナレーションを入れて乗り切ったことがありました。
電源ケーブルの異常
「電源が入らない。」
キャスター式のプロジェクター台に載せて運んでいると、電源ケーブルの差し込みが外れかかっていて、電源ボタンを押しても電源が入らないことがよくあります。
本人は焦りますが、ケーブルの接続確認は基本です。
珍しい事例では、電源ドラムやテーブルタップの異常だったことや、普段使わないコンセントでブレーカーが落ちていたことがありました。
映像が真四角に投影されない
プロジェクターに台形補正の機能が付いていますが、暗くなり、解像度も下がるので、基本的にはプロジェクターのスクリーンの位置関係を調整して、光軸とスクリーンが垂直になるようにします。
どうしても無理な時のみ補正するという気持ちのほうがいいです。
投影以外の使い方
ビッグアートの下絵
黒板アートや模造紙に絵を描く場合に、下絵をプロジェクターで投影すると簡単です。
プラネタリウム
真っ暗にした教室に複数のプロジェクターを設置して、iPadアプリの「星座表」を投影します。
日周運動で同時に動かすのは難しいですが、星空全体の動きがよくわかります。
まとめ
長々と書いてしまいましたが、プロジェクターには大型テレビと違った利点があるので、効果的な使い方ができるといいと思います。