学校でのスクリーンの選び方
文部科学省高等学校DX加速化推進事業(DXハイスクール)の採択校になり、様々な機器を購入していますが、その中にスクリーンがあります。
今までの教師生活の中で何度かスクリーンの選定に関わったことがあるので、思うことをまとめてみたいと思います。
本校の事情
今の学校に来てから6年目になりますが、着任時の感想として、
「さすが大規模校。プロジェクターの数が違うなぁ。」
というのがありました。
当時、プロジェクターは校内に7個(+故障1個)ありました。
それまで私が勤めた学校だと学校全体でせいぜい1個か2個だったので、全然違うわけです。
プロジェクターに接続して使うタイプの電子黒板も3個ありました。
小中学校や高校に視察に行ったときに全部の教室の天井にプロジェクターが設置されているのを見て驚いたことはありますが、特別支援学校でそんなにたくさんある学校は見たことがありませんでした。
でもすぐに、その割にはあまり使われていないことに気づきました。
「もったいない。せっかくあるのに何で使わないんだ?。」
と思い、自分の授業で使ってみましたが、
「こりゃ使わなくなるわけだ。」
と納得しました。
本校の校舎はデザイン関係の賞をたくさんもらっていて、「光の学校」と言うほど窓が多く、校内がどこも明るいのです
(そのため、夏暑く冬寒いので、県内有数の光熱費の高い学校になっているという話も聞いています)。
集団で集まれるスペースには天窓があり、光あふれています。
カーテンがある部屋もありますが、レースカーテン程度の遮光性能です。
よって、プロジェクターを使うにも周囲が明るすぎて見えないのです。
そのため、もっぱら使われるのは50型程度の大型テレビでした。
でも、当時は全校で7台しかなく、取り合いになっていました。
令和2年だと思ったのですが、全部の教室と特別教室に52型の大型テレビと実物投影機が導入されたことで、取り合いになることはなくなりました。
スクリーンについては、当時は
・視聴覚室の電動スクリーン
・三脚型3本
・小さな三脚型1本
・黒板貼り付け型2本
がありました。
スクリーンのタイプと特徴
電動巻き上げ式
リモコンでスクリーンを昇降できるのは便利です。
今回、DXハイスクールでコンピュータ室に設置しました。
毎時間、三脚型のスクリーンを横から正面に移動するのが手間でした。
工事があるため、業者の下見と工事費の見積が必要です。
場合によっては電気工事が必要になり、ある業者は工事費だけで30万円近い見積を出してきたため、目が点になってしまいました。
今回は工事費節約のために、事前に用務員さんにテーブルタップを既存のコンセントにつないで高い位置にぶら下げてもらいました。
この程度なら第1種電気工事士の資格は不要です。
LANケーブル用のモールでは電源ケーブルが太くて収まらなかった、というハプニングがありましたが。
また、天井の構造によっては後付けで設置できない場合があります。
うちのコンピュータ室では、工事の時に黒板灯を外して天井裏にアクセスしましたが、業者の本心としては、腕が届けばもっと黒板に近づけて設置したかったとのことでした。
今回は120型で、相見積もりの結果、工事費を含めて総額30万円弱でしたが、それだけの予算確保は普段はなかなかできません。
手動巻き上げ式
天井に固定して、使うときはひもや棒で引っ張って出し、片づけるときはばねで巻き上げるものです。
昔はOHPを投影するために、黒板にかぶらないように教室の天井に設置してあった学校が多かったように思います。
うちの学校にはありません。
三脚型
多くの学校でよく見ます。
大きなスクリーンをどこにでも設置できるのがメリットです。
ただ、設置や片付けで怪我をすることがあります。
ポールの伸縮をするときに、ロックを外す人とポールの伸縮をする人に分担した時が危険です。
A:「ポール持ったよ。」
B:「はい。じゃあロック外すね。」
A:「どうぞ。」
B:「あれっ?(外れない)」
A:「どうした?(油断して力を緩める)」
B:「よし!(外れた)」
A:「ギャー!(指を挟まれ流血)」
この光景、何回も見たことがあります。
私は1人でやるようにしています。
床置き式
最近増えていると思います。
三脚型より設置が楽ですし、コンパクトに収納できます。
横幅はコンパクトにできませんが。
本校でもDXハイスクールで1台購入しました。
三脚式より安定感が無く、児童生徒がぶつかると倒れやすいので注意が必要です。
転倒防止の脚を出し忘れると、簡単に倒れます。
フレーム式
コロナ対策で研修時にソーシャルディスタンスを確保する必要があり、大きなスクリーンが必要だろうと思って、120型を買ってもらいました。
サンワサプライで売っていましたが、今はもう無いようです。
ただ、このスクリーンについては不満を持っている教師が多いようです。
・おまえのせいだ
納品の時、伝票に発注者が私だと書いてあったため、当時の事務職員が外箱にあろうことかマジックで大きく「季和先生」と書きました。
そのことで私が購入にかかわったことが誰から見ても明らかになり、使用許可からクレームから、すべて私のところに来ています。
私の私物だと思っている人もいます。
いやいや、私物に自分の名前を「先生」付けで書かないでしょw。
・でかい
大きいものが必要だったので、大きいのは当たり前なのですが、運ぶのが面倒なので、できれば出したくないと思うようです。
コンパクトには収納できるのですが。
・組み立てが面倒
私が初めて組み立てたときの感想が
「絶対壊される。」
でした。
正しい順番に組み立てないときちんと開かないのです。
片付けも同様です。
見ればわかるように、先にたたむ部分に18mmのテプラで「先にたたむ!」と表示しておきましたが、見ていない人が多いようで、不思議な形に折れ曲がって
「あれっ?」
と言っている姿を何度も見ています。
私がやりかたを教えると、
「誰だよ、こんな面倒くさいの買ったやつ・・・。」
と言われます。
おいっw。
でも、儀式的行事や研修会では毎回出して使っているので、うちの学校では必要なものだったと思っています。
マグネット式
黒板に貼り付けて使うタイプです。
理科準備室でケースに入って埃をかぶっていたので、暗幕がある理科室では過去にプロジェクターを頻繁に使っていた先生がいたのかなと思います。
でも、今は同じぐらいの大きさのテレビがあるので、うちの学校では今後は出番が無さそうです。
ホワイトボードとしても使えます。
吊り下げ式
釘やポールにぶら下げて吊り下げるタイプです。
体育館のステージに設置するなら、250型(5m×4mぐらい)を40万円ぐらいで買えそうです。
うちの学校で買ったフレーム型(120型)の2倍(面積は4倍)ぐらいですが、もしかすると、もっと大きくしないと「ゾウさんのマスク」が宙に浮いているみたいになってしまうかもしれません。
初任の学校で、体育館のステージに大きなスクリーンをポールにかけて吊り下げていました。
地区の研究大会で幹事校が回ってきたのに合わせて、当時の校長主導で購入したため、文句を言いながら設置や運搬をしていた人が多かったです。
私にはその時の先入観(偏見)があるのですが、今の学校で必要なのかを考えても、年間使用回数と金額を考えるとどうなのかなと思います。
設置についても、また
「誰だよ、こんな面倒くさいの買ったやつ・・・。」
と言われそうです。
まとめ
今の学校で使うことを考えて書いてみましたが、学校によっても変わってくるかなと思いました。
スクリーンはそう頻繁に購入するものではなく、選定に関わることはなかなかありませんが、予算があった時にすぐに要望が出せるように下調べしておくと役に立つかなと思います。