信じているものは何(21)
専門医
直腸に癌が見つかった時の病院の医師は
肛門の専門医でした。
そして次に紹介していただいた、病院の医師も
肝臓の専門医(肝臓の手術に関して)でした。
それを聞いて安心し、先生と今後の治療を相談した。
父の肝臓にある転移した癌細胞は、小さいものが
割と広範囲に広がっており、どのように切り取るか
の説明だった。
肝臓は半分切り取っても、機能するらしく
図で説明を受けながら、切るところの説明を受けた。
手術日が二週間後ぐらいだったと思いますが、
その日が来る前に、少し背中の痛みを訴えたんです。
父「背中が痛いな」
家族「なんかした?」
父「寝方が悪かったかな」
家族「検査の時、どこかにぶつけた?」
父「いや、ないな」
念の為一応医師に連絡した。
すると、医師は
「すぐ検査をしましょう」
と言ってレントゲンを撮った。
それは、新たな転移を疑ったからでした。
検査をしている時も痛かったらしく
かなり疲れた顔で検査を終えて出てきた。
それは、痛みを堪えて疲れたとのことだったようです。
そして、結果は、
医師
「背骨にちょっと影があります。
骨の専門は近くにある国立病院内に医師がいますので
そちらへ向かって診てもらってください。その後、
こちらへ戻って次を考えましょう。」
愕然としました。
肝臓に骨、これって・・・
そう思ってしまったことが、敗北につながったのかも
しれません。しかしそれほどショックだったのです。
大腸の専門から肝臓の専門、そして骨の専門、
言葉を選ばなければ「たらい回し」にされた。
しかし、そうではなく、最善の治療ができるように
最高の機関で処置ができる、そう考えました
再入院
骨の検査を終え、肝臓の病院に戻ってきた。
結果の資料に目を通し、医師が説明を始めた。
「骨も転移してますね。
肝臓の手術は、他の転移がある場合はできない
ので骨の治療を始めて、そこが改善してから
考えましょう。」
気を取り直して、治療に前向きになろうと
家族で話し合いました。
しかし、なかなか簡単には前を向けませんでしたが。
治療方法は、いわゆる抗がん剤治療です。
と言うことで再入院となりました。
今回の再入院は、1回目の入院時より
あまり前向きになはれませんでした。
やはり、骨に見つかったというのが、前向きに
なれない原因でもありました。
骨にあるということは、全身を回って骨に来る、
と聞いたからです。いわゆる最後の部位。
今回は背骨に数箇所みられるということなので
それは落胆しますよね。
この時、大腸発覚から5ヶ月近く経っていました。
抗がん剤は、種類を説明され、投与回数、投与時間
などを説明された。
妹は、例のきのこをのエキスを購入し、
食事の合間に飲ませていました。
そのキノコは、前回思い出せなかったのですが、
アガリクス茸でした。
しかし、日を追うごとに抗がん剤の副作用で、食欲はなくなり
食べれなくなる。
痛みも激しく、耐えられない場合は
モルヒネを打つ。
すると眠る。
そんな繰り返しで、
見る見るうちに、痩せ細っていった。
もちろん、食事の代わりに点滴投与も行いましたが
やはりご飯をあまり食べれないというのが、体力減退に
拍車をかけたようです。
言葉には出さなかったが、私と妹は薄々感じていました。
「もう近いんじゃないかな。」
『父の病気が発覚当初は、治ると信じていた。
不安が常につきまとっていたが、大丈夫と信じていた。
いや、信じていたというより、信じたかった。
これが本当のところだろう。』
再入院から1ヶ月経っていました。
・・・。
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