心電図検定対策問題009
問題009
(1)aVF誘導を標準肢誘導の関係性で正しいものをすべて選べ。
a) I/2ーII
b) ーI/2+II
c) ー(II+III)/2
d) (II+III)/2
e) ーI/2ーIII
(2)A:右手,B:左手,C:左足によるアイントーベンの三角形(△ABC)とするとき,aVF誘導を導出する際の基準電極(陰極)の位置はA~Gのどこか。
【正解】 c) ① (II+III)/2,② F (正解率34%)
X/Twitterの仕様で選択肢(オプション)を4つまでしか設定できず,かつ煩雑さをさけるため,以下のような問題で投稿しました。
問題 (2024/2/5)
①aVF誘導を標準肢誘導で表せる?
②アイントーベンの三角形ABC(A:右手,B:左手,C:左足)で,aVF導出する際の基準電極の位置は?(①と②の正しい組み合わせは?)
a) ① I/2ーII,② C
b) ① ーI/2+II,② G
c) ① (II+III)/2,② F
d) ① ー(II+III)/2,② E
ただ,noteでは自由がきくため,2問に分けました。基本的な問題でしたが,正解率は決して高いとは言えないと思います。1問ずつ解説します。
◆問題(1)正解: (b),(d)
Einthovenの偉大さはいくつもあるが,1つは2電極間の電位差(Φ,双極誘導)をベクトル計算と同等に議論できる下地を築いたことのように思う。note記事の制約上,両文字の上にベクトル矢印記号を表示するのが容易ではないため(一応可能だが...),いまベクトルABと太字で代用する(例:I=Φ_B-Φ_A=AB)
あとは,図と“睨めっこ”しながら,簡単なベクトル加減算をすれば良い。
aVF誘導は,左足(LL)の単極誘導の一つとして捉えるのがよく,ベクトルとしてはFCに相当する。
aVF=FC=AC-AF=II-I/2・・・①(IとIIによる表現)
これをIIとIIIで表すには,
I+III=II(Einthovenの法則)
を用いると良い。
∴ aVF=II-(II-III)/2=(II+III)/2・・・②(IとIIによる表現)
もちろん,IとIIIでも表現可能であり,詳細は省略するが,I/2+III・・・③(IとIIIによる表現)となる。以上を(a)~(e)のうちから適宜選ぶ。
◆問題(2)正解:F
aVF誘導の基準点,すなわち陰極は,Goldberger(ゴールドバーガ)中心電極の一つに相当し,点F(右手〈RA〉と左手〈LA〉の中点)である。陽極は点Cで,こればベクトルFCの意味である。
なお,時にGを基準と解説している書籍も散見されるが,これは誤りである。Gが胸部誘導の基準にも用いられるWilson中心電極であり,ベクトルGCは「Wilsonの単極肢誘導」の一つVF(Fは下付文字)に該当する。
【診断タグ】
#増幅肢誘導 #Goldberger中心(基準)電極 (2024/2/8)
【参考URL】For deeper dive:
*Dr.ヒロの学び直し!心電図塾(第29,30回)増幅肢誘導【前編】【後編】Augmented limb leads
https://www.jmedj.co.jp/premium/rlec/data/5173/
https://www.jmedj.co.jp/premium/rlec/data/5175/
(無料公開は限定期間付き)
*増幅肢誘導の概念おさらい(Dr.ヒロ|えかげますたぁ's X/Twitter)
https://x.com/ekagemaster/status/1566988306755121152?s=20
*“増幅肢誘導の父”Emanuel Goldberger
https://x.com/ekagemaster/status/1669116359975010304?s=20
from えかげますたぁ|Dr.ヒロ @ekagemaster (on X/Twitter)