心電図検定対策問題006
問題006 (2024/1/25)
50歳,女性。数時間前からの胸部違和感を主訴に来院。来院直後(006-1)とベラパミル点滴30分後(006-2)の心電図をそれぞれ示す。
問題:50歳,女性。心電図診断として適切なものはどれか。
a) 心房頻拍・粗動 (AT/AFL)
b) 房室結節リエントリー(性)頻拍 (AVNRT)
c) 房室回帰(性)頻拍 (AVRT/ORT)
d) 洞頻脈 Sinus tachycardia
【正解】b) 房室結節リエントリー(性)頻拍 (AVNRT) (正解率49%)
R-R:整なNCT(narrow QRS-complex tachycardia)の鑑別。心拍数129bpmとやや遅めで,明らかな洞性P波,粗動波ともにない。有意なST低下も認めず。頻拍停止時と思われる2枚目(006-2)との比較で,II/III/aVFの偽性s波(pseudo-s wave),aVR/V1で偽性r'波(pseudo-r' wave)を見たら,“common”(slow-fast) AVNRTと診断するのが鉄則。
Dx: Common (slow-fast) AVNRT, 129bpm
補遺:
フィルター設定に関して一言。来院直後の心電図(006-1)では,「ハム,筋電,ドリフト」と表記されています。こういう場合,全てのフィルターをそれこそ“ルーチン”でONにしている病院のことが多いです。
ただ,PSVT(今回はAVNRT)症例では,(ただでさえ見にくい)P波を本気で見ようとする場合には(とくに筋電図除去)フィルターは皆さんの診断の邪魔をします。
「そのフィルター,本当に必要?」――常にその視点が大事ではないでしょうか。
【診断タグ】
#発作性上室頻拍 #PSVT #房室結節リエントリー(性)頻拍 #AVNRT #通常型 (2024/1/27)
from えかげますたぁ|Dr.ヒロ @ekagemaster (on X/Twitter)