「traveling」のMVの宇多田ヒカルのリズムの取り方
宇多田ヒカルの「traveling」は子供の頃に音楽番組のランキングでよく目にした映像だ。その頃から気になっていた事があり、最近その理由がわかったような気がした。その気になっていた事がタイトルに書いてある事だ。
該当のシーンは最初のサビで横からのアングルで後ろに諸々を連れ、音楽に合わせて首を縦に振っているところ。それだけでは普通の事に思えるが、何故か気になった記憶がある。今、凄くフワッと書き始めている。
音楽を聴くときにどのように首を振るのが正しいとかはない。しかし、その時の俺は首を下に振る動きを基準にリズムにノるのが普通だと思っていた。表の拍子を強調する感じ。もちろん当時は子供だったのでそんなに細かく考えていた訳ではないが、その感覚が宇多田ヒカルの動きに対する「何となく違和感」に繋がっていた。
いきなり結論だが、宇多田ヒカルは裏拍を強調するノリ方をしている。それに気づいたのは、リズム感を良くする為にメトロノームの音を裏拍に感じるようにする練習をしたからだ。具体的に言うと、「ピッピッピッ」となる音を裏で鳴っているように捉えて演奏する練習で、上手くいくと「ッピッピッピ」と聴こえるようになる。
出来るようになると、裏拍を強調するリズムの取り方があるのを知る事になる。表拍を強調するときは首を下げるように振る動きだけで出来そうだが(首を上げる動きを意識する事すらなく)、裏拍はそうではない。リズム全体を体幹でうねるように感じると裏拍を強調しやすい。それで首を振ると、裏拍の動きの方が強調されtravelingの宇多田ヒカルの動きになる。全体が映ってる場面をよく見ると胴体も使ってリズムを取っているのがわかる。首を上げる動きがはっきりしているのも特徴だ。
ちなみにMV中の顔アップの時と全身が写っている時とでは、首の上げ下げが逆になっている(顔アップは表で下げ、全身は表で上げてる)。「じゃあ話が変わってくるんじゃないか!?」と思われるかもしれないが、身体での表現がリバーシブルになっているだけで頭でのリズムの捉え方は一緒だ。なので大した問題ではない。
「ひょっとして子供の頃の違和感の正体ってそれじゃない?」と言われればそうかもしれないけど、今、重要なのはリズムの取り方の話だ!幼き頃の違和感を通してヒッキーのリズムに気付けたのなら、それでいいじゃないか!
「体幹でうねる」の感覚を細かくいうと、例えば「1、2、3、4」とリズムを刻み、首の動きを奇数で下げ、偶数で上げ、を繰り返すとする。この時、裏は2と4で、裏拍を感じるなら首を上げる動きを強調する事になる。しかし、裏を感じるには大前提として表をキープしなければならない。1と3が分からなければ2と4も分からなくなるからだ。2と4は首の上げる動きで裏拍を感じる一方で、1と3は体幹をうねらせるようにすることによって脈動させる事ができる。結局、全身でリズムを感じているけど強調するタイミングで首が動くイメージな気がする。
更に分かりにくく(?)説明すると、胸から上の辺りで車輪が一定のリズムでバックスピンしてる感じ。場合によってはハトみたいな動きになります。