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街裏ぴんくとディアンジェロ


 街裏ぴんくとはR-1ぐらんぷりで優勝経験を持つピン芸人だ。彼の漫談はシュールでありもしない世界線でのエピソードトークという感じ。
 まぁ、よくよく考えたら漫才だってありもしない事を言っているのだから、それを2人でやるか1人でやるかの違いなのかな、と考えさせられる。
 でも1人でそれをやっているのに凄みを感じる。笑いだけでなく様々な感情を引き出してくれるので、個人的にはすごく刺さってます。

 そんな彼の歌ネタに「おっ!」と思わされた話です。


その歌ネタ

 「だんご3兄弟」というネタがある。「過去に『だんご3兄弟』の編曲を頼まれた」という設定で話が始まる。当時はトガッており、ありきたりなものには絶対にしないというスタンスで編曲したが、ボツになったのでこの場を借りて歌う、という趣旨のネタだ。

 そのアプローチに独特な雰囲気を感じた。

 原曲「だんご3兄弟」の雰囲気を保ちつつ、ちょっとクセのある歌い方をしようとしている。結果的にバックコーラスが前に出てきた感じになっている。そこで、頭に過ったのがディアンジェロだ。

 ディアンジェロの作品はリズムに関して語られる事が多い印象があるが、今回は彼のボーカリストとしてのアプローチに注目してみたい

ディアンジェロの歌い方

 ディアンジェロのボーカルのアプローチはリードボーカル感がない。リードする立場なのにリードしていない。ゴスペル感が強い。それによりブラックミュージック感が強くなる。

 ファーストアルバムの表題曲「Blown Sugar」は例外的な曲かもしれない。この曲はちゃんとリードしている。音量バランスの関係もあるだろう
 セカンドアルバムになると、独自のボーカルとしてのスタンスがより強固なものになっているように聴こえる。有名な「Feel like makin' love」すら控えめな雰囲気で歌っている。

 人によっては「普通に歌ってないからピンと来ない」みたいな事もありそうだな、と思ってみたりもする。たまに「難しい名盤」みたいな扱いを受けるのはリズム云々より、歌が理由なのではないだろうか

主旋律から外した感じのボーカル

 街裏ぴんくはこの歌ネタを作るのに何を意識したのか。おそらく、原曲を軸に捻りを加えたメロディを考えたのだろう。その結果が独特なボーカルのアプローチになった訳だ。
 それが、どれほどディアンジェロに接近しているのかは具体的には分からない。正直、思い付きで言ってるところもある

 ただ、街裏ぴんくの歌からはアカペラで歌っているのにも関わらず、ボーカルが前景に来ない雰囲気がする。原曲のイメージありきだから、という理由もあるが、それだけでないように思える。

 
 実際やってみたら独自の雰囲気とか全く無く、奥行きもへったくれも無い仕上がりになる可能性もあるけど。

余談

 ボーカルがリードしている感じがないという点で、類似しているタイプの音楽をちょっと考えた。

 ceroのアルバム「 e o」に収録されている「Sleepra スリプラ」を聴いてみよう。Aメロはリードボーカルの存在感がある、しかしそれ以外の部分でリードしていない感がある。
 アルバム自体、全体的にコーラスが多いが、リードボーカルはちゃんと存在感を示す。しかし、所々に背景に溶け込むような瞬間がある。あくまで程度の違いといったところだけど、そんな中、特にリード感が弱めに思えたのが「Sleepra スリプラ」だ。アルバム全体にそういった要素が点在している印象がある
 ディアンジェロほどその方向に振り切っていないし、その必要があるとも思わない。


 具体例を出して伝わりやすくなれば、と思ったが余計分からなくなってしまったかもしれない(汗)。これが所謂モーダルな響きなのか、とかも考えたりもする。
 ノットリードなボーカルの話でした。

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