TOKONA-Xによるヴェイパーウェイヴ(?)
ヴェイパーウェイヴ(Vaporwave)とは、2010年代初頭に始まった主に80年代から90年代のポップスをサンプリングしてリバーブというエフェクトをかけた音楽である。ヒップホップのサンプリングと比べたら原曲がそのまま残っている印象、姿煮みたいな感じ。
原曲よりも遅く再生する事によるゆったりした雰囲気や、そこにかけるエフェクトにより音の輪郭がぼんやりするという点からVapor(蒸気)という名が与えられた。確かに風呂感はある。
タイトルにはTOKONA-Xと書いたが正確にはILLMARIACHIでの作品である。その曲はアルバム「Tha Masta Blusta」に収録されている「ドンファン DA MARIACHI feat. BLAZE」という曲だ。
なんと、この曲含むアルバムは1997年にリリースされている。ヴェイパーウェイヴというジャンルが形成される契機となった作品(VektroidがMacintosh Plus名義でリリースした「フローラルの専門店」)が2011年なので凄く早い。また、「Vektroidよりこっちの方が早い」という例でよく出されるOneohtrix Point NeverがChuck Personの名義で出した作品でも2010年作。それらを踏まえると、この質感を1997年に生み出しているのは凄いことではないだろうか。とか思ってしまう。
そして、気になるサンプリングの元ネタはS.O.S. Bandの「No One’s Gonna Love You」1984年作。 80年代の音楽をサンプリングに用いた90年代の音楽から2010年代を感じるのもヘンな話だなぁとか思ったりして。
自分はたまたま「ドンファン」を聴いてヴェイパーウェイヴを感じただけだが、他にも似たような質感の音楽は存在するのかもしれない。80年代のポップスをサンプリングすればあの質感が手に入るのだろうか。だとすれば、探せばヴェイパーウェイヴを先取りしているような音楽が他にも見つかるかもしれない。
上の仮説が事実だとすれば、特定のジャンルをサンプリングした質感が、そのまま新しいジャンルとして受け入れられる可能性を提示したと言えるかもしれない。試行回数を重ねれば新しい音楽が生まれるかも!既存の音楽は宝の山だ!全部の音楽をサンプリングしてエフェクトと回転数をイジりまくれ!
こういうのってAIにやらせれば効率いいのかな。AIに詳しくないから知らんけど。