ギターにおけるイップス
イップスと言えば野球でよく聞く「ボールの投げ方がわからなくなる」症状だ。当たり前のように出来ていた事が過度な緊張によって出来なくなってしまうという厄介なものだ。
自分はギターを弾いているが、過去になりかけた事がある。自分の経験を元にギターにおけるイップスを振り返ってみる。
イップスの発生
おそらくギターでイップスになる人は速弾きの練習をしている人に多いのではないだろうか。自分の場合「地獄のメカニカルトレーニングフレーズ」で練習している時、それは起こった。
そのフレーズの速さは「弾けそうで弾けない、たまに弾ける」ぐらいのものだった。100%を発揮できれば弾けるが、そうでないと弾けない。しかしそういったフレーズはことごとく失敗するのだ。
失敗を重ね続け、遂に指が失敗する形を記憶してしまう。そうなれば「次も失敗、また失敗」と悪循環が続き、終いには弾こうとしても変に力が入って弾けなくなってしまう。酷い状態になると、最初の一音すら力が入ってうまく弾けなくなる。イップスの完成だ。
克服方法
克服する為にやるべき事はは2つあり、1つは遅いテンポから始めるという事。メトロノームを用いると良い。きっかけが与えられない状態で自分から弾き始めようとするとタイミングが決められず、力が過剰に入り、弾けなくなる。頭の中でもいいからテンポを刻んで入ればうまく弾けるかもしれない。
もう1つは弾く前から指板に指を置かないという事。手に力が入って弾けないのは弾く前からフレットに指を置いているのが原因だった。
なので、ゆっくりリズムを刻み、入るタイミングで指を動かし始めると良い。それまでは指板に触れない。脱力状態から始める事が大事だ。
対策を考える
煮詰まった状態での練習は良い練習にはなりにくい。疲労が溜まった状態で練習を続けていると、変なクセが出てきてうまく弾けなくなり、うまく弾けないまま練習し続けると良くないフォームのまま体が覚えてしまったりする。
具体例を挙げると、自分の場合は右手の薬指を支えにピッキングするのだが、右手が疲れてくると薬指の位置が外側に流れてしまい弾けなくなるという癖を発見した。恐ろしい事に余裕で弾けていたフレーズすら軒並み弾けなくなる。
結局原因に気付けたので事なきを得たが、「さっきまで弾けたのに」と悪い状態で無闇に練習するのは逆効果だと反省した。
イップスは「自分はこれぐらいの速さで弾ける」というイメージとそれに自分の能力が追い付かなかった時の悪循環が原因で起こる。気持ちが逸り、理想と現実が乖離するとそうなる。それっぽい症状が出始めたら意地を張らずにゆっくりやり直すのが良い。急がば回れというやつだ。
最も良い状態というのは何も意識しない自然な状態である。失敗は変に意識してしまう状態によって引き起こされる。練習で出来ていた事が本番で出来なくなるのも変に意識してしまうからだ。少し難しいフレーズを意識し過ぎると失敗する事がある。本番だけでなく練習でも煮詰まると変に意識をしてしまい、そこから悪循環が始まる。全く考えないのも駄目だろうけど考え過ぎも良くはない。
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