1/1 オオヒラタクワガタ レビュー
ピーヒャラピーヒャラ パッパパラワン
タイリクオオカミ!ウンウンペンチウムです。今回の記事は、スタジオソータさんがつい先日発売した、タイトルの製品をご紹介するものとなります。同製品は、リアルな生物造形を得意とする作家や原型師の全面協力のもと、精巧に作られた生物フィギュアを展開していくシリーズ「アニマリエコレクション」に属します。
今回は昆虫標本や昆虫を題材としたアートを制作している福井敬貴氏が原型制作・監修を務めました。
全種共通の部分
基本仕様
定価はカプセル版が500円、ボックス版が660円となっており、後者にはオオアゴを閉じた状態を再現できる差し替えパーツが追加で付属する仕様。
さらにスタジオソータ公式ネットショップで予約をすると、特典としてパラワンオオヒラタクワガタのレッドアイバージョンがついてきました(現在は予約終了)。
ちなみに、オオアゴの開閉を可動ではなく差し替えで再現した理由については福井氏がツイッターで述べられており、要約すると「関節を仕込んだ場合、動かすと本物と違う形状になってしまう」とのことです。
組み立てよう!
ボックス版の全パーツがこちら。左半分にある下半身、脚、触角、そして透明な補助パーツが全種類共通のパーツです。
中央やや右上よりにあるのが、頭部および前胸となります。スマトラオオヒラタ3種においては共通のパーツですが、パラワンオオヒラタだけは専用のやや細身なパーツが入っています。
その右にあるのが全種類で異なる形状のオオアゴで、右下にあるのがボックス版にのみ付属する閉じた状態のオオアゴです。
各パーツの素材ですが、脚と触角のみPP、それ以外はすべてPVCが使われているようです。
フィギュアには必ずコピーライト表記があるものですが、今回は頭部から伸びる組み立て用の突起に配置されています。昔のホテルの鍵みたいでなんかおしゃれ。
自立補助用の台座は、このようにして上に置くだけの仕様、ぶっちゃけなくても飾れますが、細い脚にそれなりの負荷がかかってしまうので、長時間のディスプレイには必要となりそうです。
脚部パーツの接続は丸軸で、でっぱりのある中脚以外は一応回転します。
脚や触角の接続部はかなり外れやすく、公式の説明によれば接着剤で固定することが推奨されるようです。
PPは接着のできない素材ですが、くっついたのを剥がそうとしない限り勝手に取れてくることはありませんでした。剥がそうとしたらあっさり取れたけどな。
スマトラオオヒラタクワガタ
内歯下がり
スマトラオオヒラタクワガタは、内歯(ないし。オオアゴの内側にある突起)の形状違いで3種ラインナップしています。
まずは、最大の内歯が根元側に近づいている「内歯下がり」と呼ばれる個体を再現したものから見ていきましょう。
1/1スケールを名乗るだけあってリアルなサイズ感で造形されており、プロポーション・ディテールともに語ることが無いくらい実物そっくりです。
不満を挙げるとすれば、黒い成型色の質感をそのままにしてしまっている所くらいでしょうか。もう少しツヤ消しに近づけばさらに再現度は高まっていたかと思います。
それはそうと、付属の差し替えオオアゴパーツを取り付けた状態が下の写真になります。
基本的な形状はそのままに、取り付け角度とその周辺のみ変更されています。左右それぞれ独立したパーツですので、片方だけ開いた状態にすることも可能です。
内歯上がり
こちらが、内歯が先端に寄る「内歯上がり」になります。スマトラオオヒラタはこのように歯型の個体差が大きいヒラタクワガタと言うことになります。
極太
オオアゴの太い個体同士を掛け合わせ、極限まで力強い形状を追求した血統の個体をイメージした造形となっています。このフィギュアだと最も太い部分で1.5センチ以上あり、これに咬まれたら指の骨が逝くなと思わされます。
パラワンオオヒラタクワガタ
通常
前述のとおり、パラワンオオヒラタは上半身まで専用の造形となっており、スマトラに比べて細身の体形を再現しています。
さらに頭楯(とうじゅん。昆虫の顔の中央にある部分)の違いまで再現され、徹底的に両亜種間の違いにこだわっていることが伺えます。
レッドアイ
スタジオソータ公式通販で予約することで、まれに見られる目の色が通常と異なった個体を再現したレッドアイバージョンが特典として付属しました(現在は予約終了)。せっかく形状が同じなので、パラワン用の閉じたオオアゴパーツも彼に紹介してもらいました。
ただ目のあたりを赤でベタ塗りしたものではなく、クワガタにはよくある目を覆うように付いた突起はちゃんと避けて塗ってあるのが非常にグッドです。目の中央を黒い線が走っているように見えるのがお分かりでしょうか。
その他
ソータカブクワ組と比較
『1/1ヘラクレスオオカブトver2.0』、『1/1 ギラファノコギリクワガタ』と並べてみたところ。いずれもよく実物を再現した造形となっていますが、筆者は今回のオオヒラタが頭1つ抜けていると感じました(いちばん新しいもん…)
とくに素晴らしいのが裏面で、従来は表に比べてぼんやりしていたディテールがバキッと刻まれています。
クレイジースパイク!
相手を叩きつけて隙を作ってから挟みこみ…
引きずりながら壁に向かって駆ける!
その壁に投げつけて
跳ね返ってきた相手をまた投げつける!
最後に、掴んだ相手ごと飛び上がって地面にねじり込む!新甲虫王者ムシキングにてスマトラオオヒラタクワガタが使用する必殺技、「クレイジースパイク」を可動しないなりに再現してみました。意外といけるもんだ。
つくられたムシたち
レッドアイパラワンを「甲虫王者ムシキング」の改造甲虫に見立てて撮影。改造パラワンは通常のものより若干大きいのですが、今回は対戦相手に実寸大より小さいフィギュアを使用することで相対的に大きく見せています。
生物兵器として生み出され、ただ戦う事だけを強いられた甲虫たち。悲しむべき運命を終わらせるべく、唸れ!スーパーキングトルネードスロー!翅ぐらい開け!
総評
スタジオソータさんの昆虫フィギュアは、古いほうの『1/1ヘラクレスオオカブト』から追っている身ですが(1/1ゴライアスだけ持ってません)、オオヒラタは最新にして最高の造形であると感じました。
ヘラクレスはほぼ完全に固定、ギラファは可動するものの隙間が大きい…といった試行錯誤の歴史を知っているからこそ、パーツの差し替えでポーズ変更と造形の整合性を両立している仕様に感動を覚えます。
差し替えパーツがなくても造形の素晴らしさは揺るがないため、カプセル版もボックス版も胸を張って人におすすめできます。ホントはボックス版を買ってほしいけどね。
最後まで読んでくれてありがとう!じゃあな!