ミュートに関するあれやこれや
スネアドラム(に限りませんが)の倍音コントロールを手軽に確実に行う方法として認知されているミュート。
本来、倍音のコントロールはチューニングで行うべきではありますが、ドツボにはまって時間ばかりかかってしまうのでは本末転倒。ミュートをすることでその場における最良の結果が得られるのであれば、私はバンバンミュートしちゃいましょう派です(笑)
ここで、一つ確認というか、しっかり認識しておいていただきたいのは、
「ミュートするという行為は、出音から音を削ぎ落としていくことになり、ミュートすればするほど音は痩せていってしまう」
ということです。
(「これをこうするとローが増えて太い音になるんだよ」なんていう発言を耳にすることがありますが、これは間違いで、ハイが減る分ローが目立っただけなので。。。)
これをしっかり認識した上で、過剰なミュートを避けるように、上手に活用してほしいものです。
ミュートの方法としては、昔ながらのガムテ活用から、最近ポピュラーとなったミュートジェルなど様々です。
ドラムの世界では全能の品として誰からも重宝がられるガムテープは、その使い方によって様々な効果を生み出すことが可能です。
打面やボトムヘッドにベタ貼りして、ガッツリ音を止めたり、ティッシュペーパーなどと組み合わせ、ガッツリかつソフトに止めたり。
はたまた、くるっと筒状にまるめてさり気なく倍音をカットしたり。
まさに千差万別!
私も良く使ってました(笑)
ガムテ以外では、ドラムミュート専用に開発されたいろいろな商品もあります。
最近、そのお手軽さと確かな効果で人気なのがジェル状ミュート。
これは、ミュート材の大きさや貼り付ける量で、簡単に倍音をコントロール出来るので、スティックバッグなどに忍ばせておくと本当に重宝します!
つづいて、昔ながらのアウトサイドマフラー。
最近ではあまり見かけなくなりつつあるのかな?
フープクランプ式で打面にフェルトなどを押し付けるやつです。
BD用なんかも出てますね!
そして、個人的に大好きなリングミュート!
これはドーナツ状のフィルムを打面に載っけるお手軽なやつ。
日本でこのリングミュートが広まるきっかけになったのは、私の記憶だけを頼りにすると、たしか1983年の楽器フェアでタマブースに登場したサイモン・フィリップスさんの影響なのかなと思っています。
ちょうど初代Artstar(バーチシェルの外装・内装にコルディア化粧板を施したシリーズ)を発表した直後ということもあり、非常に注目度が高かったはずなんですが、どうやらこの時のデモ演の際に、サイモン氏がスネアドラムのミュートに使用していたということらしいんです(このとき実際にデモ演をみた楽器店スタッフから聞きました)!
当時、まだ高校生だった私にとっては衝撃的なアイテムだったわけです(笑)
当然のことながら、その頃はまだ、商品としては存在していませんでしたから、明らかに自作リングミュートだったらしいのですが、このミュートに気づいた人たちは、こぞって廃ヘッドを切り抜いてリングミュートを作っていたそうです(かく言う私もその一人)。
スネアドラムの外周部から発生する高次倍音を根こそぎカットしてしまうという、今思えば恐ろしいミュートアイテムなんですが、メタルシェル(← これは完全に個人の好み)のスネアドラムをローピッチチューニングして、暴れ要素をガッツリ抑え込むことで、あの80年代独特のスネアサウンドが生み出されていたわけです!
(あの当時から、私の好きなスネアドラムサウンドはCS系ヘッドでローチューン+リングミュートで作るあの「ダスッ!」という音 www)
というわけで、ためになるのかならないのかよくわからないコラムになってしまいましたが、基本チューニングで何とかする努力を惜しまず、時と場合よってミュートアイテムを上手く使うことで、演奏や音作りに関する様々なストレスを軽減させることは、別に悪いことではありません。
付き合い方次第で、よき相棒となってくれることは間違いないでしょう!
※2018年5月 yahooブログへの投稿を転載いたしました。