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すぐに活かせる「5分で代謝を上げてパフォーマンスを高める方法」ゲスト:プロスポーツトレーナー・山田晃広さん
1月31日(金)、株式会社エイト日本技術開発(EJEC)の東京事業所にて、プロスポーツトレーナーの山田晃広さんをゲストに招き、朝活イベント第二弾【プロスポーツトレーナーから学ぶ 5分で代謝を上げてパフォーマンスを高める方法】を開催しました。

企画・コーディネートは、川内イオさんが担当。2014年より、「世界を明るく照らす稀な人」を追う稀人(まれびと)ハンターと名乗り、記事のライティング、イベント企画、講演、催事などを行っています。
以下、この朝活イベントのレポートをご覧ください。
▼ビジネスにも役立つトップアスリートの思考法
山田さんは、世界トップレベルのサッカーリーグ、スペイン1部リーグに所属するクラブのトップチームでトレーナーに就任した唯一の日本人として知られる。朝活の前半では、高校卒業後、大手スポーツマッサージの治療院で働き始めから、貯金100万円を頼りにスペインに渡り、1部リーグのクラブ、ラシン・サンタンデールで働き始めるまでの道のりを語ってくれた。
印象的だったのは、スペインに渡ってから山田さんが心がけていたこと。誰よりも早く来てトレーナールームの清掃、始業の準備、誰よりも遅くまで残って片付けをするなど、日本人らしい気遣いでスペイン人が面倒くさがることを率先してやってきたことが評価されて、ラシン・サンタンデールとの契約につながったそう。選手のケアや治療をするだけなら、スペイン人のトレーナーでいい。選手、同僚に喜ばれるプラスアルファの価値を提供することで、契約を勝ち取ったのだ。
スペインでの話の後は、トップアスリートの思考法について。山田さんは2005年に帰国後、J リーグ湘南ベルマーレチーフトレーナー、女子プロサッカーなでしこリーグの INAC 神戸レオネッサチーフトレーナー(2010~)などを務めた。神戸レオネッサ時代、山田さんは長らく絶対的なエースとして日本女子代表を率いた澤穂希さんと親交を深め、パーソナルトレーナーとして、2011 年に開催されたFIFA女子ワールドカップにも帯同。キャプテンとして日本代表を優勝に導き、得点王とMVPの二冠を達成した澤さんを、陰で支えた。
翌年、澤さんは男女を通じてアジア人史上初となる「FIFA最優秀選手賞」を受賞するなど、日本女子サッカーの歴史を変えた澤さんと現在も交流する山田さんは、澤さんを例に挙げて、トップアスリートの思考法を紹介してくれた。

ポイントは2つ。まず、なにが起きても後悔しないよう徹底的に準備すること。試合に負ける、日本代表から漏れるという事態が起きた時、あれをやっておけばよかった、こうしておけばよかったと悔やむのが普通の選手。澤さんクラスになると、いつも自分にできる最大限の準備をしているからこそ、「ここまでやって負けたならしょうがない」とすぐに切り替えられるそうだ。
「超一流の人は、文句や陰口を言いません。自分に起こることに関してはすべて自分に責任があると、必ず自分にベクトルを向けています」
もうひとつは、感謝。トップアスリートは常に感謝の言葉を口にし、行動でもそれを表すという。トップアスリートになると、所属先の関係者だけでなく、パーソナルトレーナー、代理人、スポンサーなど多くの人と関わりを持つようになる。その全員に対して常日頃から感謝を伝えているトップアスリートが、大一番を迎える時に「あなたの力を貸してほしい」と頭を下げる。
「そこまで言われて断る人はいませんよね。そうすることでどういう現象が起きるかというと、周りの人のパワーがそのアスリートに向けて一気に集まるんですよ。なにかを成し遂げたいとい時に、自分だけの力なんてたかが知れています。でも周りの人のパワーが少しずつ集まったら、チャンスの道が拓けるんです」
▼オフィスでできる!代謝を上げ、腰痛、冷え性にも効く運動
ビジネスシーンでも役立つトップアスリートの思考法を聞いた後は、実際に身体を動かす時間。最初に、代謝をグッと上げるために欠かせない、身体のなかで一番大きな太ももの筋肉を刺激するスクワットから。
レベル1
① 肩幅より広めに足を広げる。
② 両手をクロスして胸に当てる。
③ 膝を使うのではなく、お尻を突き出し、そのまま下げるイメージで、イスの座面に触れるぐらいまで腰を落とす。
④ これを10回。
レベル2
基本動作は同じで、両手をまっすぐ上げる。そのまま腰を落とす。慣れてきたら、上に挙げた手をチョップするイメージで前後に動かしながら、腰を落とす。その際に、肩甲骨を動かすことを意識する。

山田さんが「人間のメインエンジン」と称する太ももの筋肉を動かすことで、男性ホルモンが刺激されてやる気が出たり、腰痛や肩こり、女性に多い冷え性の改善が期待できるという。
次に、ふくらはぎの筋肉を動かすシンプルな動作。両足の親指にグッと力を入れてかかとを上げて、下ろす。もしバランスを崩しそうなら、壁に手をついてもいい。これを10回以上。電車のつり革につかまりながらもできるシンプルな動作で、冷え性を改善したり、ふくらはぎを細くする効果が期待できるそうだ。

山田さんによると、大切なのはたくさんの回数をこなすことではなく、無理のない範囲でいつ、何回やるかを決めて続けること。その継続力が、結果的に効果を実感する近道になる。
▼自分と向き合うストレッチ。食事は優先順位を決める
代謝を上げる運動を朝にしたら、夜はお風呂上がりのストレッチがお勧め。筋肉を伸ばして身体を柔らかくする効果もあるが、山田さんは「ストレッチの一番いいところは、自分と向き合うこと」と語る。5分でも10分でも時間を決めて、毎日続ける。ストレッチの間、自分の身体を観察し、前日とその日の違いに意識を向ける。今日は身体が硬く感じる、柔らかく感じる、それはどうしてかな、明日はこう過ごそうと身体と対話をすることで、リラックスして眠ることができるそうだ。

身体にいい食事の基本は、自分の体質に合わせて「優先順位を決めること」。例えば、山田さんは太りやすい体質なので、パスタやパンなど小麦を使った食品を食べないと決めているという。
個々の事情とは別に、痩せたい、代謝を上げたいという人は、メインの食事に手を付ける前にゆで卵を食べること。優先的にタンパク質を取ることで代謝が上がりやすくなるだけでなく、先にゆで卵をおなかに入れた分、体重に直結しやすい炭水化物を減らすことにもつながる。ゆで卵ではなく、目玉焼きでも問題ない。
かつて、「コレステロールを多く含む卵は1日1個」などと言われていたが、最近は卵を食べてもコレステロール値に悪い影響はないとされている(参照:https://dm-net.co.jp/calendar/2024/038214.php)。山田さんのお勧めは「1日4個」。栄養価の高い卵を積極的に食べることで、ヘルシーな食生活につながるというわけだ。
山田さんによると、なにを食べる、食べないにしても、筋トレと同じく「こうすると決めてしまえば、楽になる」という。
食事についての話の後は、参加者からの質疑応答。肩こり解消や股関節を柔らかくする動作を教えてもらった。山田さんは「皆さんが少しでもリフレッシュして、いい仕事をしていただければ嬉しいです」と結んだ。

▼参加者の感想
今回、東京事業所の参加者は16名、オンライン参加は10名だった。
Aさん「とてもためになりました。特に、お話しがとても参考になりました。仕事に関しても、気づかい、向上心は忘れてはならない大切なものです。山田様のスペインでどうやって一部リーグに帯同できるようになったかのお話を、ぜひ当社の社員全員に聞いて欲しいです!!
ストレッチも参考になり、無理なく継続していけるように少しずつ初めて行きたいです。早速今日は在宅勤務ですが、2時間おきにストレッチを取り入れ始めました。長時間労働が続くので、ストレッチも皆さんにお薦めしたいです。」
Bさん「山田さんご自身のお話し、一流の選手の方たちのお話し、どれも面白くて勉強になりました。もっと色々なお話しを聞いてみたいです。代謝を上げるスクワット等も教えていただいて、毎日のストレッチに取り入れようと思います。」
Cさん「トレーニングやストレッチは意識を持って取り入れて継続したいです。短時間で大きな動作ではなかったものの、じんわり汗が出てきたのでどこをどう動かすかが重要であることを実感しました。
また、トップアスリートについてお話いただいた内容はアスリートに限ったことではないなと感じました。感謝を忘れずに、後悔のない準備・段取りをするようにしたいなと思いました。」
