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■ 其の349 ■ 一冊の本1月号 より

📘朝日新聞出版の「一冊の本」1月号から抜粋します。

山崎やまざき雅弘さん / 戦史・紛争史研究家  
問題山積の日本社会、どこから手をつけたらいいのか?

 三菱重工業は、2020年から2022年にかけての三年間、毎年3300万円を自民党の政治資金団体に献金していましたが、2022年12月の『防衛三文書の見直し』により、日本の軍事費は五年間で43兆円に大きく増額することが決定しました。これに伴い、三菱重工業の防衛省との契約額は、22年度の約3652億円から、23年度は約1兆6803億円へと一年で4.6倍に激増しました。

P9

 武田砂鉄さん / ライター
「いきり」の構造  NEW&SPEED

 マスコミにもネットにも、真実と噓がある。真実は見る人間がどこに立つかで変化する。部屋に寝転がっていれば天井のシミが見えるし、腕立て伏せをすれば床の凹みが目に入る。寝転がっていると凹みは見えない。腕立て伏せをしていると天井のシミは見えない。同じ場所にいても見えるものは異なる。自分たちだけは真実を知っていて、他の人たちは知らない。それはただ、同じ位置に立っているから彼らなりの真実が見えているだけの話である。

P11

ジェーン・スー / 作詞家・コラムニスト
往復書簡 日々の音沙汰 3  他者と混ざりたい

 さて、「人と会う」とはどういうことか。あれからぼんやりと、しかし鳴りやまぬ通奏つうそう低音のようにずっと考えていました。そしてわかったのです。私にとって「人と会う」とは自分と他者を混ぜあわせる行為だと。
 言うなればコンタミネーションです。異物混入です。原材料に意図せぬ不純物や異物が混ざってしまうこと。略してコンタミ。生まれたばかりの自分が原材料のみで作られた製品だとするならば、そこから良くも悪くも親という不純物がコンタミし、そこからは毎日とにかくなんらかのコンタミの連続であります。それを教育や影響や交流といった言葉で言い表すことに不満はないものの、「ありのままの私」なんてものは、単なるコンタミの連続が生んだものでしかないとも思います。

P35~36

川原繁人 / 言語学者、慶應義塾大学教授
言語学者、生成AIを危ぶむ 

 人間が言葉で相手に何かを伝えるとき、その文の「意味」と「意図」が異なる場合があります。例えば、友人と食事をしていて、私の横にお茶が置いてあるとしましょう。その友人が「お茶ある?」と発した時、その文の「意味」は「お茶は存在しますか?」という「疑問」ですが、この場合の本当の「意図」は「お茶をとってください」という「依頼」でしょう。このような例は、人間同士のやり取りでは日常茶飯事です。
 しかし、Cotomoには本当の意図が伝わっていないと思われる場面がありました。
                   ※ Cotomo= 音声会話型AIアプリ

P41

佐藤まさる / 作家・元外務省主任分析官
混沌とした時代のはじまり ますます混迷する世界とニヒリズム

 大統領選に勝利した後の演説では「多くの人々が、神が私の命を救ったのには理由があると言った。その理由とは、この国を救い再び偉大にすることだ」と述べている。
 つまりトランプ氏は、自身を選挙によって「選ばれた王」と思っていると考えたほうがいい。純粋な大統領は法に縛られるが、自らを神に選ばれた人間だと認識しているトランプ氏には法を超越した部分がある。法を超越した存在は神だ。そして王権は神から授けられものなのだ。
 この議論は決して突飛なものではなく、アメリカを独立に導いたジョージ・ワシントンを、大統領としていただくか、王として戴くかの議論があった。結局、ワシントンは大統領に就任したわけだが、王になる選択肢もあったわけだから、王的な性格を帯びた大統領がいても不思議ではない。

P70

📕こうして取り上げてみると、
 自分が漠然と思ったり、感じていたことを、
 「そうだよな」と納得し、感心した話ばかりです。
 


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