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■ 其の321 ■ 一冊の本11月号 ≪3≫

📘朝日新聞出版の「一冊の本」11月号から抜粋 3つ目です。

📕元外務省主任分析官 佐藤まさるさんが、8月にモスクワを訪れたときの話です。 ウクライナ問題について、日本や西側諸国からすると心配な内容ですが、これが現実なのかもしれません。

 タイトルは、「政治エリートたちとの対話──22年ぶりのロシア訪問」

 西側連合による経済制裁に対してもロシア人は「こんなやり方に負けるものか」と奮い立ち、本気で働くようになった。そして消費財は、ロシア・ウクライナ戦争勃発時よりも豊かになり、去年の経済成長率は3.8%、今年の第一四半期は5%になっている。前回述べた通り、現地の生活水準は高く、東京よりもいいのではないかと思う。

〔P79より〕

  国際関係を見る場合、道義的に「正しい」「間違っている」という価値観と、国力として「強い」「弱い」という現実を区別することが重要だ。戦争では強い国が勝ち、弱い国は敗れる。間違っている国であっても強ければ勝つのだ。ウクライナ軍のクルスク攻撃について言えば、アメリカもロシアも慎重な姿勢をとっている。ウクライナ軍が長期間、クルスク州の占領を続けることが難しいと認識しているからだ。この戦争でウクライナが勝利することは不可能だという現実を直視し、ウクライナという主権国家を生き残らせるために停戦について真剣に考える時機に至っていると思う。

〔P81より〕

 また、中等教育においては、理数系科目の強化を推進している。今後、高い数学力が必要になるから、大学で教えてきた数学を義務教育のカリキュラムに組み込む。歴史教育においても西側史観と決別した教育を行う。理系科目を強化し、ロシア・ウクライナ戦争の正当性を織り込んだ歴史教育を軸に中等教育の再建が進められている。
 幼児教育、初等教育にも独自性が表れている。私の友人の子どもは、来年、小学生になるが、幼稚園の段階で行われる適性検査で数学適性があることがわかり、数学教育に特化した小学校に入学することのなったと話してくれた。数学の他にも音楽やスポーツ分野で幼児のうちに優れた素質の持ち主を見出し、才能を伸ばす学校が設置されている。
 つまり、ロシアは、社会制度、モラル、教育などの面において西側諸国とは別の世界になりつつあるのだ。

〔P82より〕


┄┄トランプ大統領再登板、北朝鮮軍も合流してのクルスク攻撃など、ウクライ
  ナにとっては、厳しい局面がおとずれそうです。

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