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■ 其の276 ■ 『 青春と読書 9月号 』より
📘定期購読している「青春と読書」の9月号が届きました。
その中から、抜粋して紹介します。
「石のスープ」という変わった名前には由来がある。お腹をすかせた旅人が石を見せ、「これは煮るだけでおいしいスープができる魔法の石だ」と言って、鍋に石と水を入れて煮始める。途中で味見しながら、「おお、おいしい! でも塩があるともっとおいしくなる」と言うと、興味を持った村人が塩を持ってくる。同じ要領で「野菜があるともっと‥‥」「肉があるともっと‥‥」とあれこれ持ってこさせて、最後には本当においしいスープができた、というものだ。要するに「石のスープ」とは野菜や肉や豆が入った具沢山のスープのことである。
そのころはロックダウン中で、カフェの屋内での営業も禁止じられていたが、近くのO村にあるカフェでは、我がS村のご近所さんであるアントニオとマリオがカウンターでビールを飲みながら談笑していた。「もう屋内OKなの?」と、早とちりした私が喜んで訊くと、彼らは一瞬沈黙して顔を見合わせた。やがてマリオが入口を指さして「ドアを見ろ」と言った。続いてアントニオが「開いているだろ、風が入ってくるだろ」。そしてふたりほぼ同時に「つまりここは屋外だ」と言ってガハハと笑い、私にビールを奢ってくれた。
かつて地方の中核都市には、地元資本のデパートがあり、銀行があった。それらの建物は堅牢な石造りで町のシンボルでもあった。
その町で50年、100年と商売を続けるつもりなら、あんなプレハブ造りが林立するわけはない。
だが、愚痴を言っても詮ないことだ。繰り返すが、全国チェーンの小売店に悪気はない。我が豊岡市も、この夏にはいよいよスターバックスが出店するとあって若い世代の期待は大きい。本学(芸術文化観光専門職大学)の学生たちは、そろそろアルバイトの面接が始まるらしいと噂しあっている。
オーストラリアには、いつも笑っているように見えることから、「世界一幸福な」と形容される動物、クオッカがいます。西オーストラリア州固有の種で、大都市パース沖のロットネスト島にそのうちの多くが生息しています。一目でいいからクオッカを見たい。クオッカの笑顔にあやかり、幸せな気分に浸りたいと願う人々が世界中からこの島にやってきます。
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高校時代は語学や言語学に興味が向いていて、美大に進もうとは思っていませんでした。ただ、幼少期から絵を描くのは好きだったので、体験として、美大を受けるための予備校に行ってみたのです。そこで初めて本当に絵画と向き合って、こんな世界があるのかと震えました。じっくりと物を観察し、長い時間をかけて一枚の絵を突き詰めていく。その果てしない世界に、自分も飛び込んでみたいと思ったのです。
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