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■ 其の151 ■ 漫画を読んで┄┄カムイのうた
🔣先日午前の映画を見たあと、ロビーに置いてあるチラシを数枚持ちかえりました。昼に焼魚定食を待ちながら目を通していると、その中に「カムイのうた」という作品の原作漫画が紹介されていました。原作は北海道出身の菅原浩志さんで、絵を描いたのはわたしと同郷の山口県の山陽町の方でした。縁を感じて、そのあと書店に買いに行きました。
その昔この広い北海道は、私たちの先祖の自由の天地でありました。
という言葉から始まるアイヌにまつわる物語です。
十九年の短い生涯をアイヌ文化継承に捧げた知里幸恵(ちりゆきえ)さんをモデルに、アイヌの誇りと情熱を描いた話です。
🔣沖縄の人が自身のことをウチナーンチュ、本土の人をヤマトンチュと言うは知っていましたが、アイヌの人が自分たち以外の日本人をシサムと呼ぶのは知りませんでした。ひどい差別と迫害の場面が続きます。
▼┄┄こうしてわたしはテルを登別から連れ出したのです┄┄
あの辺りの一帯も もともと わたしたちアイヌの土地だったのにね
みんなシサムに盗られてしまったんじゃ
▼列車なんかに乗るんじゃない アイヌは歩いてこい!
この線路はアイヌが敷いたものよ! なぜ乗っちゃいけないのよ!!
▼先生! なんか臭くて勉強できません!!
席を離してください!
みんな鼻をつまめ!
▼アイヌの子たちだけが突然集められ 上川第五尋常小学校へ移された
のだった そこは「土人学校」と呼ばれていた
▼日本語で話せ!!
アイヌ語は禁止だと言ってるだろうが!!
やめてください!
なんだと! 生意気な アイヌのくせに!!
▼アイヌを一日も早く我々の手足として使えるようになることは急務で
ある!
▼人一倍優秀なのはわかってるが あの学校は軍人の子供が行く学校だか
らな どんなに成績が優秀でもアイヌが行くわけにはいかんのだよ
▼あーら アイヌのおふたりさん なんか野生の臭いがすると思ったわ
なめるんじゃないわよ!! 土人のくせに生意気よ いつもさ!!
胸が詰まる場面がたくさん出てきます。
でも主人公のテルは、くさらず、誇り高く、やさしく生きていきます。
そして、文字を持たないアイヌのコトバと文化を、後世に残しました。
🔣最近の教科書は改訂されるにつれて、アイヌに関する記述をよく見かける気がしていました。それで手元にある中学の歴史教科書を調べてみました。
◆最も古い平成8年度版(28年前)は、3カ所で合わせて1ページほど。
江戸時代・・・蝦夷地とアイヌ民族
明治時代・・・北海道とアイヌ
現代・・・・・アイヌ民族に対する差別
◆現在使っている令和版では、6カ所で合わせて合わせて3ページ半ほど。
室町時代・・・アイヌ民族の交易活動
江戸時代・・・アイヌ民族との交易活動
探求学習・・・アイヌ文化とその継承
明治時代・・・北海道の開拓とアイヌの人々
大正時代・・・差別からの解放
現代・・・・・アイヌ文化振興法(1997年制定)
中学生には教科書だけでなく、この漫画「カムイのうた」も読んでもらおうと思いました。